Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 399

    ちょこ

    ☆quiet follow

    げんそ〜小説
    ダミアさんお誕生日おめでとうございます!

    レイフがダミアの誕生日がもうすぐと聞いたのは約二週間前、それこそ建国祭が終わってしばらく経ったある日。話の流れでもうすぐ誕生日だと言った相手の顔は笑っており、レイフは驚いた顔でダミアを見た。
    「え、誕生日……もうすぐじゃないですか」
    「そうそう、ここ最近クエストとかでバタバタしてたしなー」
    「あ、あの、お祝いしたいです。なにか作りますよ」
    「料理以外なら受け取る! 」
    料理以外ならってなんだと少し拗ねたように言ってしまったが相手は笑って楽しみにしてると言ってその日は別れた。帰り道レイフは雑貨屋など覗いて見たが、生憎ピンと来るようなものはなかった。そもそも、友達にプレゼントなど渡したことのなかったレイフにとっては、何を渡したら喜ぶか検討がつかない。それこそ物と言えば建国祭の時にユキノハナを渡してしまった。どうせなら何か記念になるようなものを送りたい、が、思いつかない。その日は何も買わずに帰った。
    「……何をあげたらいいんですかね」
    家で1人呟いたが当たり前だが返ってくる言葉はない。まだ少し日にちがあるとはいえ、こうも決まらないとあっという間に誕生日が来てしまう。悩んでふと、部屋に置いてある、ある物に目が入った。
    「……あ、そうだ」

    あっという間にダミアの誕生日となった、当日誕生日と聞いたダミアの顔見知りの冒険者達がお祝いをしているのを遠くの方で眺める。楽しそうに笑う親友の顔を見てレイフも微笑む。エルフや竜人のような長寿は誕生日をお祝いすることはあっても、永い時を生きる身としてはどうもあぁ、来たのかと思ってしまう。
    昔一回だけ、とあるクエストで獣人の住む村に行ったことがある。その時ちょうど誰かの誕生日でその村だけではなく近くの村の人たちもお祝いに来ていた。その人達いわく、寿命がほかの種族より短いからこそ、産まれた日を大事にすると言う。そしてまた、ここの人達と巡り会えるようにという願いを込めてお祝いをしていると教えてもらった。
    その時はへぇ、としかどうも思えなかった。長寿と短命の考えの違いというものだろう、けれど、今だったらあの時教えてくれた意味がわかった気がした。
    お祝いは夜まで続く、レイフはタイミングを見計らってダミアに近づいた。お祝いで作られた綺麗な花の首飾りやらなんやらがダミアにかけられていた。
    「ダミア、今いいですか? 俺からもお祝いさせてください」
    「おっ! レイフのお祝いどんなのだろうな〜」
    「えっと、あそこの広場まで来てくれませんか」
    そういって皆から少し離れ、ちょっとした広場へと行く。近くにあった椅子を指さすとダミアは座る。何をするのだろうかとどこか楽しみそうに見てくるダミアに笑うと手を振りかざしてポン、とバイオリンを取り出した。ちょっとした転送魔法だ、最初から持っていると弾くのかとバレてしまう。やはりサプライズは大事だ、バイオリンを転送してきた様子を見たダミアはおー、と声を出す。声を出すのはまだ早い、と言わんばかりにダミアに笑いかけてバイオリンを弾く。弾いた曲を聴いてダミアはすぐに分かる、故郷の曲だ、と。レイフとダミアは同じ出身だ、だからだろうと思っていたが、まさかここで故郷の曲を聴けるとは思わなかっただろう。満天の星空と綺麗なバイオリンの音色が包む。曲を弾き終えたレイフにダミアが拍手を送る。
    「すげー! バイオリン弾けたんだな! めっちゃ上手いじゃん」
    「まぁ一応……前までは嫌だったんですけどね。けど、親友のお祝いで弾くの、すごく楽しかったです。……誕生日、おめでとうございます。ダミア」
    「いや〜、まさか演奏がプレゼントとは思わなかったな。レイフの事だからあの時のユキノハナみたいになんか贈り物するかと思った」
    「それも考えたんですけどね……。……考えてる時にバイオリンが目に入ったんです、その時演奏をプレゼントしよう、って決まったんです。プレゼントを送るだけがお祝いじゃない……と言いますか」
    「なんかレイフらしー、なぁなぁ。もう一曲なんか弾いてくれよ」
    「……分かりました、なら一曲」
    ダミアにそう笑いかけバイオリンを構えると弾き始める、聴き慣れない曲に一瞬だけ耳を動かしたダミアだったが、すぐに嬉しそうに笑う。実はこの曲はレイフが作曲したものだが、言うのが恥ずかしいため言わなかった。ちょうど今綺麗に見えるこの星空を見ながら作曲したものだ。ダミアの反応を見て気に入ってもらったようで嬉しかった。昔の自分だったら考えられなかっただろう、誰かのために弾いて、しかも曲を作るなんて。ここまで演奏が楽しいと思えたのは中々ない、胸の中が熱く感じる。この時間がずっと続けばいいのにな、と演奏をしながらそう思う。
    ダミアと親友になれて良かった、と弾きながら思って笑ってしまう。これから先、目の前の親友に幸あれと願い、演奏を終えた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏🙏🙏🙏💯☺💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
    1309