花見「桜綺麗ですね理人様ー!」
「そうだな」
「桜と理人様……凄く儚げに見えますわー!」
「……」
またコイツは……と言いたげな顔をしている理人と、そう思っているとはつゆ知らず、興奮したように話す九子がいるのは、桜で有名なスポットである公園だった。公園と言っても、敷地は広く、その広い敷地にはたくさんの桜が植えられている。毎年桜で有名になるこの公園には、花見目的の人で溢れるほどだった。理人と九子が来た頃は満開だったため、あちこちで弁当を食べながら花見を楽しんだり、お酒を飲む人。そして屋台なども出て賑やかだった。
花見など行く気がなかった理人だったが、九子が行きましょう! や、お弁当作りますわ! と決まってもいないのに話が進んでしまい、今に至る。九子の手には作ってきたであろう弁当の包みが握られていた。
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