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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    エガキナ交流小説

    サクリくんお借りしました!

    遭遇 ある晴れた日のこと、人通りの多い街中を歩いていた琥珀。今日は編集の人と打ち合わせの帰りだった、スマホで時間を確認しつつふと、とある路地裏を横目で見た。
    道は狭く奥は暗く、ゴミやら落ちており普通の人ならまず歩くことは無い道。だが、何かを感じ取った琥珀は思わず素通りしそうになったのをやめ、少し考えたあとそっと路地裏へ足を運んだ。もしかしたら近道になるかもしれない、そんな考えも持ちながらコンクリートで舗装された道と違い、コンクリートがはげ土が見えているところもある道を歩く琥珀。
    そして琥珀が路地裏に入ったのをじっと見ている人影に気づくことはなかった。
    「……歩きにくいな……」
    入って数分、雑踏とした先程の道からシン、と音のない空間に入ったかのように静かな路地裏。野良猫が琥珀の姿を見て急いで逃げたり、他にも道が分かれていたりと入り組んでおり、まるで迷路みたいだと琥珀は一息吐く。だが次書く小説の描写にいいかもしれない、と軽くメモでも書こうかと思ったその時、ふと誰かの気配を感じた。
    琥珀はピタリとボールペンを取ろうとした手を止めた、こんな路地裏に自分みたいな物好きが入るのだろうか、と。
    琥珀は少し考えてポケットに入れてあったボールペンではなく万年筆を握る。この万年筆は琥珀のマキナでもあった、もしかしたら没の可能性も捨てきれなかったからだ。残念ながら想像力が今は無いため剣にはならないが、威嚇程度にはなるだろう。
    琥珀は気付かないふりをして歩き、分かれ道に入った所で待ち伏せをした。耳を済ませる、ザリ、ザリと誰かの近づく音、そして気配が近くに来たところで万年筆を思い切り振りかざした。
    「うわ! 琥珀先生!」
    その声でピタリと動きを止めた琥珀。ばっと道から出るとそこには遼貴がいるではないか、両手をあげて驚いた顔で琥珀をみる遼貴。
    「びっくりしましたよ琥珀先生……刺されるかと思った……」
    「……どうしてここに?」
    「どうしてって……たまたま琥珀先生がこの路地裏に入るの見たので、どうしたのかなって思いまして」
    遼貴は少し笑ってぽりぽりと頬をかく。琥珀はそんな様子をただ黙って見ていた、目の前にいるのは遼貴のはずなのだが、何か違和感が先程から消えないのだ。何度も遼貴の顔は見たし、話した事もある。
    なのに、"この目の前にいる人物は遼貴ではない"そう脳が訴えているのだ。
    そもそも、自分を見かけたからと言ってわざわざここに来るのか? 確かに遼貴の性格を考えるなら心配して入ったのかもしれない。けれど自分は走ってここに入った訳でもない、ずっと歩いていたのだ。ならいつでも声をかけられるタイミングがあったはずだ、何も考えずにここまで着いてくるような事を遼貴はしない、琥珀はそう考えた。なら、この目の前にいるのは誰なのだろうか。
    遼貴は先程から万年筆を自分に下ろすことなく、黙って自分を見ている琥珀に怪訝そうな顔をする。
    「あ、あのー……その万年筆下ろして欲しいんですけど……」
    「……お前、誰だ。遼貴じゃないな?」
    琥珀はそっと万年筆を下ろさずに距離を取り始める。すると、琥珀がそう言った時、遼貴はニヤリと口角をあげて笑い出す。
    「なんだ、つまんねぇの。すぐ分かっちまうんだ」
    「……!」
    すると先程の遼貴の格好からみるみるうちに変わっていく、服装も、目の色も。あの特徴的な髪色だけは遼貴そっくりだった。もしかして遼貴の作品の関係者だろうか、そんな予測を立てながらも相手をじっと見る。相手は琥珀の顔を見つつそっと近づき、笑いながら口を開いた。
    「そんな怖い顔しないでくれよ、俺もあいつとなんら変わりないんだぜ? あんた、よくあいつと一緒にいるよな? 一言ご挨拶しにきたってわけ」
    「……」
    あいつとは恐らく遼貴の事だろう、相手は相変わらずゆっくりと琥珀に近づいていた。琥珀の脳内で警報が鳴るような感覚に襲われる、想像力もない以上、万年筆を剣に変えられない。ならここは逃げるしかないが、それにしても何ら変わりないと言う割にはどこか別人のように思ってしまったのは気のせいだろうか、と思ってしまった。琥珀は万年筆を下ろすと相手に言った。
    「何ら変わりない、か。……俺からしたらお前と遼貴は別に見えるが……。……じゃぁな!」
    琥珀は咄嗟に勢いよく相手に突撃した、突然の事で避けきれずにそのまま琥珀に当たり受身が取れずに地面に倒れそうになった相手。今だ、と琥珀は全力疾走で元来た道を走り出した。後ろを一切振り返らずに道という道を抜けて走り出す、一方相手は立ち上がって既に遠くなった琥珀の背中を見た。
    「くそ、逃げられたか……。まぁいいや、いずれきちんと挨拶するしな」
    それにしてもいきなり突進してくるとは思わず、そしてそのまま避けきれなかったりと、どこか苛立ちが募りつつも相手は路地裏の奥へと歩いて消えていった。
    琥珀は無我夢中で走って路地裏から抜け出した、抜けた先の道では少し町から離れた人通りの少ない広い道へと出る。少しの息切れの後、即座に後ろを向き先程の相手が追いかけていないのを確認してほっとしたように近くのベンチに座った。
    「はー……なんだったんだ……」
    遼貴となにか関係がある人物だというのはわかった。遼貴に聞けばなにかわかるだろうかと思いつつ、相手がニジゲンで、なんの能力があるのか分からないまま突進したのは些か間違った選択だったのではないか、と考え出す琥珀。とりあえず遼貴に聞いてみよう、と息を整えたあと遼貴に会いにベンチから立つと歩き出した。
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