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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    没討伐でちょうど出現したエリアまで行く途中、同じく琥珀と同じ目的で移動していたヨセフと丁度合流した。ヨセフは猫の獣人で服装からでもまるで貴族のような印象を持つが、本が書かれたのが百年前ほど昔からか、博識で物腰が柔らかく、誰にでも丁寧な言葉で接していた。そんなヨセフの姿にどこかカッコイイと憧れににた何かを琥珀は持っていた。ヨセフは琥珀に気づくと駆け寄ってきた。
    「琥珀少年! 君も吾輩と同じところに行くのかね。ちょうど良かった、少年のサポートに回ろう」
    「あ、は、はい」
    少年という言葉にどこか恥ずかしさを覚える、訂正した方がいいのだろうかと迷っているうちに没がいる所までやってきた。今回の没は一体だけではなく複数体居た。どれも人型のようにみえ、大きさも琥珀よりやや小さい。そして同じような形に見えたため、もしかして分身しているのかと琥珀は考えた。
    「……ヨセフさん、どう思います?」
    「ふむ……、試しに一体斬ってみるかね」
    「そうですね……」
    ヨセフは没の一体を浮遊させて動きを止めた、琥珀は没の首を狙って斬る。斬られた没はどこから声を出しているのか、断末魔をあげたが、斬られた切り口からぶくぶくと何がが膨らむやいなや、なんと修復されて元に戻った。そしてなんと、斬られた首が周りの没より小さめの没になった。綺麗に戻った没、そして増えた没をみてお互いに顔を見合せ、琥珀はヨセフの側まで下がった。
    「……戻りましたね、しかも増えました」
    「ふむ、もしかしたら同時に首を斬らないと討伐出来ないのかもしれないな。だが六体か……六体同時に動きを止めないと……恐らく六体同時に斬らないといけないかもしれない」
    「……ヨセフさん、風で六体をなるべく近くに集めて貰っていいですか? それで俺に追い風してください」
    「少年、それで大丈夫なのか」
    「えぇ、もし危なかったら避けるなりするので」
    琥珀がそう言うとヨセフは頷き帽子を被り直す、バラバラに散っている没を風を起こして六体をなるべく近くまでまとめた、もし近すぎたらさきほど分裂して増えた没の事だ、もしかしたら吸収して大きな没になるかもしれない。没が出現したところはそこまで広くなく、もしそうなったら不利だ。ヨセフはそこまで考えていたが、もしかしたら琥珀もそう思ったのだろうと思いつつ琥珀に声をかける。
    「少年、あれくらいでいいか」
    「ありがとうございます、流石ヨセフさん。じゃあ行きますよ……! 追い風お願いします!」
    琥珀はそう言うと剣を片手に走り出した。琥珀の戦い方はとにかく素早く動くこと、それに加えてヨセフの追い風でいつもより素早く動ける、まるで突風のような速さになるのだが、琥珀は慣れた様子で足を動かす。没は琥珀めがけて攻撃するが、攻撃が届く前にヨセフの風で散っていく。
    「少年! 大丈夫かね!」
    「大丈夫です!」
    琥珀は待っていた、没がバラバラに攻撃しているのをやめる瞬間、その一瞬を。そしてさきほどのヨセフの風のおかげでその一瞬がやってきた。今だ、と琥珀は踏み込む。その踏み込みを見たヨセフは琥珀が仕掛けるのだとすぐに分かりさらに追い風をした。ヨセフの追い風にニヤリと口元が緩む、剣を力強く握り、そのままスピードに身を任せて剣を振るった。
    ヒュン、その音だけが聞こえた。一瞬の速さで琥珀は六体同時の首を斬る。斬った後すぐに体勢を整えて即座に離れた。ヨセフも警戒してみている。首を斬られた没は一瞬何が起こったのか分かってなさそうに動きを止めると、突然暴れたかと思うとそのまま散り散りとシュレッダーゴミになった。シュレッダーゴミになった没をみてホッとしたように笑う琥珀はそのままヨセフの側まで走った。
    「ありがとうございました、あそこで追い風をしてくれて」
    「琥珀少年もいい動きだった、おかげで支援しやすかった。またよろしく頼むよ」
    「はいこちらこそ。……あ、あの」
    「ん? どうした少年? もしかしてどこか怪我でも……?」
    「あ、いえ怪我はしてません。……その、少年はちょっと。俺二十四なので、もう少年って歳じゃないからですね……」
    琥珀は申し訳なさそうにそう言った、前々から言おう言おう思っていたことだ、やはり流石に少年と連呼されるのは恥ずかしいし、どこか子供扱いされてるんじゃと思ってしまうのだ。琥珀がそう言うとヨセフはどこか驚いた顔をしたかと思うと帽子を取り胸に当てると頭を下げた。琥珀はまさかヨセフがそうするとはおもわず慌てた。
    「ヨセフさん!?」
    「これはこれは失敬、では琥珀君。でいいだろうか?」
    「……琥珀君」
    ヨセフは笑って片目を閉じて琥珀にそう言った。琥珀は君呼びをされておもわず口元が緩み、琥珀のその顔を見てニコリと笑い帽子を被り直すヨセフ。
    「ヨセフさん、報告が終わったら一緒に食事でもどうですか」
    「それはいい! ご一緒させて頂くよ」
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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