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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    琥珀は少し大きめの手提げのカバンを持ってカナタの住むアパートへと足を運んでいた。琥珀はリインがこの世界に顕現してからよくカナタの所に泊まりに来るようになった、最初は一人で住むには広い部屋に落ち着かなかったが、それと同時にこの広さを一人で住んでたカナタを思うと寂しくなかっただろうか、とも考えた。琥珀が泊まりに来ると嬉しそうに笑うカナタを見て毎回ほっとして笑う琥珀。今はリインと暮らしているから寂しくないのだろうなと考えつつカナタの住んでいるアパートの扉のインターホンを押す。押したと同時に勢いよく扉が開いた。
    「琥珀!」
    「リイン、いきなり扉開けたら危ないし、ちゃんと確認しないと」
    「琥珀だー! ってすぐわかったからいいんだよ! 何して遊ぶ? ヤキューか? それとも水鉄砲か!?」
    「わかったから引っ張らなくていいよ」
    リインがキラキラした笑顔で琥珀を引っ張るように中に入らせた、中に入ると遅れてカナタがやって来て琥珀の荷物を持ってくれた。カナタはまだ少し仕事が残っていると言うことでそのまま荷物を置かせてもらい、コートをかけるとリインと外に出た。外はそこまで暑い、という訳では無いが運動すると汗ばむ気温。公園に行く前に自動販売機で飲み物を買ってから二人で走っていく。
    アパート近くの公園に行くと丁度誰もいなかった、遊びは水鉄砲で遊ぶことになり、公園内にある蛇口で水を入れる。水を入れると早速リインは琥珀に水を当てようとした、すぐに気づいた琥珀はすぐさま避ける。
    「あー! 琥珀避けちゃダメだろー!」
    「ははっ! 濡れたくないし!」
    「うぉっと!」
    琥珀は少し後ろに下がってから水を当てる。リインは当たらないように避けるとそのまま周りを逃げていく、リインの動きは早く中々ヒットできない。琥珀が水を当て、仕返しでリインが水を当てる。水補給の時はお互い攻撃しない約束のため、補給の時は少しの平穏が来る。琥珀は濡れて頬に引っ付く髪を払いつつニヤリと笑うと走って水鉄砲の引き金を引いた。
    「……濡れたな琥珀!」
    「……リインもだろ、タオル持ってきて良かったけど……そろそろ帰ろうか。着替えて晩御飯の買い物あるし」
    「おう! 俺ハンバーグがいい!」
    「なら一緒に作ろうか」
    お互いずぶ濡れになり持ってきておいたタオルで軽く拭くと一旦アパートへと帰る。濡れた服を洗濯機に入れてから着替えてそのまま買い物へと行こうとした時、物音で仕事部屋からカナタが出てきた。買い物に行くと言うとお金を渡してくる。いいと断る琥珀にカナタは笑った。
    「琥珀遠慮しなくていいから、それで美味しいご飯作ってくれよ」
    「そうだぞ琥珀ー! それで美味しい肉買おうぜ!」
    「……カナタさんありがとうございます」
    琥珀はお金を受け取るとリインと手を繋いでスーパーへと行き買い物をすませるとアパートに帰る。アパートに帰った後、二人で手を洗うとエプロンに着替え、キッチンに立った。
    「琥珀! 何すればいい?」
    「……そうだな……そのボウルにひき肉と卵と入れて、俺が玉ねぎ切るから」
    「おう!」
    リインがボウルに肉と卵をいれ、その横で玉ねぎをみじん切りにする琥珀。玉ねぎを本来炒めるが、琥珀はそのまま生のまま玉ねぎを入れる。それに牛乳に浸したパン粉、塩コショウを入れるとリインが捏ねると言って一生懸命捏ねた。
    「うん、そのくらいでいい。形作ろうか」
    「おうー!」
    「こうやって、空気抜くようにして」
    琥珀が隣でする工程を見よう見まねでするリイン。その様子に微笑みつつあらかじめ熱しておいたフライパンに焼いていく。少し大きめのがあったためリインに聞くとそれはカナタの分だと言う。それに笑いつつ焼いていく。その間にリインには洗い物を頼んだ、すると匂いにつられたからかカナタがひょっこりと来る。
    「美味しそうな匂いだな」
    「今日はハンバーグだぞカナタ!」
    「カナタさん、あともう少しで出来ますけど……」
    「あ、もう終わるから」
    ハンバーグを焼いたり、スープやサラダを作ったりとしていくうちに夕ご飯の時間になる。食卓を囲み食事をする、普通の人達なら当たり前の光景だが、琥珀にとっては大事な時間だと思う。目の前で食べるカナタとリインは美味しそうに食べる。その様子を見て少しだけ思うことがあった。いや、前々から思っていたことかもしれない。

    ──なぜ自分にはニジゲンが顕現しないのだろうか。

    夕ご飯の時間が終わり、お風呂の時間やテレビを見たりと時間はすぎていき、もう寝る時間となっていた。カナタやリインに寝る挨拶をしてから客室用として使っている部屋に入ると布団に入り目を閉じた。
    入ってどのくらい時間が経っただろうか、目を閉じても寝れる気配はなく。ゆっくりと起き上がる。時計を見ると23時を少しすぎており、布団に入ってから約一時間経っていたことが分かる。琥珀は胸に生まれたモヤ付きがどうしても消えてくれず、そのままそっと部屋を出ると、リビングに行きベランダに出た。ベランダに出ると心地の良い風が琥珀を優しく撫でるように吹いた。
    「……」
    空は雲ひとつなく星空が見えており、三日月がこちらを見下ろしていた。それをじっと見る、胸のモヤ付きの正体は分かっていた。先程思っていたことだろう、なぜ、自分にはニジゲンが顕現しないのか、リインを見た時すぐに自分にも顕現するものだと想っていた。けれど、それから琥珀の作品からニジゲンが顕現することは無かった、もちろんあの時も──。
    「寝れないのか?」
    「え、カナタさん……?」
    突然声が聞こえて驚いて後ろを振り返るとそこにはカナタがいた。カナタは目隠しをしているが感覚で分かるのだろう、ゆっくり歩いて琥珀の隣に来る。
    「どうした? ご飯の時、声が元気なさそうに聞こえたけど。その時は遊び疲れてるのかなって思ってたが……」
    「……カナタさん」
    「なんだ?」
    「……俺が弱いから俺のニジゲンは来てくれないのでしょうか」
    「……何言って……」
    カナタは思わず琥珀の方をむく、琥珀はカナタの顔を見るのが怖くそのまま真っ直ぐ外を見て言う。
    「……俺が免許取ってからもう九年です、今日まで一度も俺のニジゲンは顕現してくれなかった。……俺が弱いから、呆れて出てきてくれないのかな。……親友すら守れなかった俺だから……」
    「馬鹿! そんなわけあるか!」
    夜にも関わらず大声を出したカナタに琥珀は驚いてしまった、今回ばかりは目隠しをしているカナタに感謝した。今の顔は、見られたくなかったから。カナタはそのまま話しだす。
    「お前が弱いわけない。すくなくとも、俺やリインは絶対にそう思わない。……琥珀みたいな優しくて強い子はいない、いないからそうやって自分を卑下するな。創だって同じ事言うと思う」
    「……」
    「多分きっかけが必要なんだよ、琥珀のニジゲンは寝坊助って思ってればいい。ほらもう冷えるから中に入ろう」
    「……うん」
    カナタの言葉にどこか胸が軽くなった、自分は以前カナタに酷い事を言ったと言うのに。それでもカナタは疎遠になってた時期でも自分のことを心配していた。今もこうやって励ましてくれた。カナタの服をそっと握る琥珀。ありがとうカナタさん、そう小さく呟くとカナタは笑った気がした。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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