Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 409

    ちょこ

    ☆quiet follow

    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    外は晴れており絶好の散歩日和のなか、琥珀はパソコンの前で必死に原稿を進めていた。ここ連日の没討伐で中々原稿する時間が無く、今日で二日寝ていない。いつも整頓されている机の上には空のドリンクや紙くずが散らばっていた。ここ二日まともなご飯すら食べてなかったが、それすら惜しい。いつも以上に手を動かしているとインターホンがなった。誰か来たのか分からず、琥珀はボサボサの髪を軽く整えてドアの覗き穴から見る。見えた相手にいささか驚いて扉を開けた。
    「琥珀先生、すみません突然」
    「え、遼貴なんで……。あ、ごめん今原稿が片付かなくて風呂もまともに入ってないから臭う」
    そこには遼貴がなにやらレジ袋を持って来ていた。彼は高校生のニジゲンで何度か没討伐で一緒になったことがあった。たまに家に呼んでご飯を一緒に食べたことがあった、その縁で何度か彼は家に遊びに来たことがある。
    「原稿修羅場な琥珀先生に甘いものでもと思いまして」
    「……甘いもの」
    その時琥珀の腹から音が鳴った、ドリンクしか飲んでいなかった胃では耐えきれなかったのだろう。音が鳴ったことに少し照れくさそうにする琥珀。遼貴のつくる甘いお菓子は美味しく、琥珀も好きだった。レジ袋の中身からして琥珀のキッチンを借りて作るのだろう、つまり出来たてが食べれる。そうそう想像しただけでまたお腹の虫が鳴った。それで遼貴は笑いつつ琥珀の玄関に入った。
    「カップケーキなら出来るので」
    「……あ、あー……遼貴。お願いがあるけど……」
    「なんですか?」
    「……カップケーキつくるなら、うさぎみたいな感じの……作れるか」
    遼貴は琥珀がうさぎが好きなのを知っていた、恥ずかしそうに言った琥珀に遼貴は笑って任せてください、と言ってキッチンへ行く。琥珀は恥ずかしさで熱くなった頬を触りつつ、気分を変えるために、そして臭いが気になるままで遼貴には悪いと思い浴室へと向かった。
    二日ぶりの風呂から上がるといい匂いがしてきてそっとキッチンを覗いた、丁度生地が焼けておりデコレーションをしていた。琥珀に気づいた遼貴は側までやってきた。
    「あぁ琥珀先生、もう出来ますよ」
    「遼貴すごいな……お菓子作り習おうかな」
    琥珀は笑って言うと椅子に座った。しばらくすると遼貴が皿にカップケーキを盛って持ってきてくれた。そのカップケーキをみて琥珀は思わず固まった。
    それは白うさぎと茶色いうさぎのカップケーキだった、耳は縦長のビスケット、クリームで顔面、チョコペンで顔を可愛く書かれていた。白うさぎは生クリーム、茶色いうさぎはチョコレートクリームだろう。お店で売られてもおかしくない出来、そしてその可愛さに固まった琥珀の横で心配そうに声をかける遼貴。
    「あのー……琥珀先生?」
    「……どうしよう、可愛くてもったいないな……でも作ってくれたし……あ、スマホ……ちょっと取ってくる」
    慌ててリビングを出た琥珀をみて笑う遼貴、いつも落ち着いている琥珀が好きな物の前ではあそこまでなる事がどこか新鮮なのだ。数分後、スマホを持ってきた琥珀は思う存分に撮ってから少し食べるのに躊躇しつつ、ゆっくりと食べ始めた。
    「……美味しい……胃にしみる……」
    「それは良かったです」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    ssaw

    DONE侑佐久
    侑のリアコオタが侑佐久の結婚発表に失恋する話
    あなたを好きなことは私の自慢だった 昼休みに開いたSNSで推しの結婚を知った。
     
     宮侑、男子バレー全日本代表にも選出された超優秀なセッター。私の生きがいであり、支えであり、好きな人である自慢の推し。その人が今日、入籍をしたらしい。お相手はかねてよりお付き合いしていたという同じ実業団に所属する佐久早聖臣選手。
     「パートナーとしてこれから先もずっと支え合い、共に生きていきたいと思います。」
     ファンや関係者への感謝と共に綴られた短い文章を、信じられない思いで何回も読み返した。何かのドッキリであってほしいと願う気持ちを、ふたりの手書きの署名が粉々に打ち砕いていく。心臓がバクバクと鳴って、スマホを握る手に尋常じゃないほど汗が浮かぶ。

     目をつぶって深呼吸をしもう一度SNSを開けば、ふたりの結婚を驚き寿ぐネットニュースの見出しがいくつも並んでいた。おそるおそる、検索から侑のアカウントに飛ぶ。先ほど見た報告文の白い画像、そうして今、ちょうどもうひとつ新しい投稿が追加されたところであった。指が勝手に投稿された写真を押してしまう。侑が写真を投稿したら音速で拡大して見てしまうのは、もう癖なのだ。何年も何年もそうしてきたから。そして、スマホの画面に大きく映し出された推しの笑顔に今度こそ涙が出た。
    4033