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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    道を歩いていると運悪く灰純とばったり会ってしまった琥珀。相手は琥珀を見てわらいつつ近寄った、その時、道の脇からいきなり没が現れたのだ。琥珀は咄嗟に後ろに下がり万年筆を取り出す、灰純はというといつの間にか拳銃が握られていた。
    没は琥珀を見て突撃するようにこちらに向かってくる。ここで戦うのは不味い、と琥珀はそのまま路地裏の方へ走り出した。ここでならサクリが出ても大丈夫だと、そう考えて。
    琥珀が路地裏へ行くとそのまま着いてくるように追いかける没、そして灰純。琥珀の影からサクリが出てくるやいなや、指を琥珀の口の中に突っ込んだ。琥珀は予想していたからか、少しだけサクリの指の皮膚を噛み血を出すとそれを飲む。そして万年筆のペン先をなぞって剣にした。
    「げ、あいつもいるのかよ」
    「それよりも没だ。……灰純が何もしなければいいけど」
    没は狭い路地裏にも関わらず暴れ始めた、体長はそんな大きくないからか、建物が崩れたりはない。琥珀は避けつつ真正面から走り出して没を斬る。その鮮やかな流れに灰純は思わず感心してしまう、暗殺者の自分から見ても琥珀は無駄な動きをしていないのだ。
    「わぉ、アンタやるねぇ」
    「お前の相手は俺だ」
    「こわいねぇ、何もしないってのに」
    サクリは槍を振りかざして灰純を刺そうとする、灰純は避けるとそのまま発泡した。どうせ当たらない、と諦めながら。案の定、サクリに銃弾が届く前に落ちた。
    琥珀は乱闘し始めた二人を見てつい呆れてしまう、すると、突然没は何かしら腕らしき部分を伸ばし始め鞭のように奮ったかと思うと、二人の方へ攻撃し始めた。
    「おい危ない!」
    琥珀の声の前にいち早く反応したサクリは咄嗟に影の中に隠れたが、運悪く反応が遅れてしまった灰純は頭に当たってしまった。そのまま倒れた灰純を見て琥珀は急いで没の腕を斬った、そしてそのまま首を斬る。
    没は声にならない叫び声を上げてシュレッダーゴミになり風に散っていく。それを確認したあと琥珀は急いで灰純の元へ走り出す、その時サクリが叫んだ。
    「そいつを助けるな!」
    「おい! 大丈夫か!?」
    琥珀はサクリの言葉を無視して灰純のそばまでやってきた。灰純は頭から血を流して倒れていて、ニジゲンが死亡してしまうと没になることは周知の事実だった。琥珀は咄嗟に灰純の胸に耳を当てる、鼓動の音が聞こえてどうやら死んでないのはわかりほっとしたかと思うと、いつの間にか琥珀の影から出ていたサクリが琥珀の肩を掴む。
    「おい、そいつ助ける気か」
    「……だからなんだ」
    「お前、そいつから目玉狙われてるの自覚してるのか? 俺は助けるなって言ったよな。それでも助けるって言うのか、そいつを」
    「……」
    サクリは無表情で琥珀を見下ろしていた、不機嫌な顔でもなく、人を馬鹿にするような顔でもなく、ただ無表情でこちらを見ていた。思わず冷や汗がポタリ、と流れたが琥珀は真っ直ぐサクリの目を見て言った。
    「……ここで助けなかったら、後悔する。例え敵でも」
    「……お人好しも大概だな、ほら貸せ」
    サクリは琥珀の言葉と表情を見て呆れたように言うと、ひょいと魔法で灰純を浮かばせて運び始めた。どうやら灰純が住んでいるアパートの付近まで連れていくとのこと。その場所は琥珀もよく知っていたため、黙って後ろを着いていく。
    「……ごめんな、本当は嫌だろ。怒ってるか」
    「……別に、怒っちゃいねぇよ。そのお人好しに呆れてるだけだ」
    そう言いつつなんだかんだと琥珀がこうしたい、と言ったことをしてくれるサクリに思わず微笑んだ。今回のように、敵である灰純を運んでくれたりと。本人に言ったら怒るのだろうなと思いつつ歩く。
    アパート近くの建物の影に灰純を下ろしたサクリ。歩きながら治療をしてくれていたのか、頭の出血は抑えられていた。
    「ほらこれでいいだろ、帰るぞ」
    「あ、ちょっと待て」
    琥珀はポケットからメモ帳とペンを取る。メモにさらさらと書くとまだ寝ている灰純の手にそっと握らせた。
    「すまない、帰ろう」
    「……何書いたんだ、お前」
    「別に、お大事にとかそんな感じ」
    そんな会話をしつつサクリは琥珀の影の中に潜り、琥珀はそのまま離れるように歩いた。しばらくすると灰純はそっと目を開けた。
    「……あれ」
    先程と違う場所で目が覚め、頭が追いついていない状態で周りを見回した。どうやらアパート近くの場所らしい、没の攻撃に当たったところまでは覚えていた。そっと頭を触ると傷が塞がっていることに気づく、そして手に握られているメモ紙を見つけ読んだ。
    【お大事に 怪我はちゃんと診てもらうように】
    綺麗に整った字を見て琥珀が書いたものだとすぐに分かった、灰純はその短い文を見て笑う。心配している気持ちは分かるのだが、あの人結構なお人好しだなと思いながらゆっくり立ち上がるとそのまま自分の住んでいるアパートへ歩いていった。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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