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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    回想死因
    創ログイン小説
    よその子さんお借りしてます

    その声と物語で霧が消えた ここは同人地下帝国にあるとある施設のこれまた地下室の一角、そこは薬品の瓶が棚や机の上にこれでもかと置かれており、部屋中薬品の香りがしていた。一応人が生活するスペースがあるのだが、ベッドがわりの実験台に座る人物がそこにはいた、金髪の短い髪に緑色の目の青年がじっとテレビを見ていた。
    テレビの内容は海に大型の没が出たということだった、青年は無表情でその内容を聞いていたが、すぐに耳から抜けていく。この青年は三年前からの記憶がないのだ、自分の名前が創ということと、作家だったことはわかるのだが、それ以上の事がわからなかった。
    するとドアをノックする音が聞こえたかと思うと入ってくる人物が、三年前創を助けてくれたニジゲンであるCQ×2だ。CQ×2はそっとテレビを横目に創になにか差し出した、それは本だった。
    「ほれ、気分転換にいいだろ」
    「……ありがと」
    CQ×2は創に本を渡すと部屋の隅に置かれている椅子に座るとなにやら薬の配合をしだす。三年前、血まみれで瀕死だった自分を助けてくれた相手、記憶のない自分をここに匿わせてくれた相手。たまによく分からない薬で自分の事を実験体にしようとしてくるのはやめて欲しかったが、そのおかげでだいぶ傷の方は癒えていた。ただ、胸あたりに大きな傷は残ってしまったが、創は特に気にしなかった。
    ただ、三年経っても記憶はもどらなかった。CQ×2に自分の事を聞いてもあまり収穫は得られなかった。三年間、創はある夢を見ていた。自分の名前を泣きながら呼ぶ相手の夢だ。その相手の顔は霧がかかったように見えなくて、誰か分からなかったが、自分にとって大事な人だった気がするのだ。けれど思い出せない、誰なんだろうか。
    創は本を見る、タイトルは【Frey】どうやら子供向けの冒険小説だった。挿絵の青年がどうやら主人公らしい。なぜかどこかで見た事のある青年だ、なんて思いながら創はページを開く。開いて読んでどのくらいの時間が経っただろうか、ふと、とある文に目が止まった。
    【君の未来は明るい空にある】
    「……あれ、このセリフ……」
    どこかで見たことがある、どこだ、誰が書いているんだと本の最後のページを開くと作者の名前が書いてあった。灰野こはく、と書かれている名前に創はなにか、何かを思い出せそうで頭を押さえる。頭が割れるように痛い、もう少しで思い出せそうだ。霧がかかった記憶が、そして──。
    『創!』
    あの日、相手──琥珀を庇った日を思い出した。
    「……あ……!」
    創は勢いよくその場から立ち上がるやいなや、CQ×2の肩を思い切り掴む、調合に集中していたCQ×2はビクリ、と体を震わせると慌ててこちらを向いた。そして創の表情をみて慌てた様子で声をかける。
    「え、おい!? どうした!」
    「思い出した、思い出したんだ! 俺は、俺の名前は江波戸創! 認可作家組合の作家だ! ……全部、思い出した。……思い出した」
    「……そっか、よかったな!」
    CQ×2はそう笑うと震えて泣いている創の頭をぽんぽんと撫でる。そして創はハッ、とした表情でCQ×2を見た。
    「琥珀は!? 琥珀は無事なのか!」
    「大丈夫だ、お前の親友さんは生きてる。お前の事をずっと探してた、相当心配してたぞ」
    「……なら早く会わないと……。……なぁ、俺を運んでくれたの、俺のニジゲンだろ。……カインは……?」
    「……アイツは……」
    「……。どうせ責任感じて雲隠れだろ、……わかった。……俺はあそこにいく、今テレビで行っていたところに。そこになら、琥珀はいるはずだからな」
    「よし! なら行ってこい! ほれ、これお前さんのだ」
    そう言ってCQ×2が箱を渡してきた、箱を開けるとそこには創のマキナである万年筆がそこにあった。つくづくCQ×2には頭が上がらない、創はそれを力強く握ると部屋を飛び出るように扉のドアノブを強く掴む、扉を開けた時、CQ×2の方へ顔を向けた。
    「三年間俺を助けてくれてありがとな! またお礼はさせてくれ! ……ありがとう、俺の命の恩人」
    「いいってもんよ、その時は実験に付き合ってくれ」
    「ははっ、お手柔らかにな!」
    創は笑って部屋を飛び出した。飛び出した時、ポツリと創は呟いた。
    「……いるんだろ、カイン。……お前は何も責任を感じなくていい、俺はこうして生きてる。……俺に着いてきてくれるなら、また隣にいてくれ」
    創はそう呟くと走り出した、はやくあの海に行かないと。琥珀が待っている。三年間ずっと行方知れずだった自分を必死に探してくれた大事な親友が、あの海にいるかもしれない。会って安心させてやりたい、もしかしたらあの事のことを怒られるかもしれない、琥珀の事だからな、なんて思いながら急いで走った。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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