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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    出逢えた君と 専門学校の廊下を歩く灯都、目的は廊下に飾られる作品だ。定期的に課題の作品を廊下に飾ってるのを見ては落胆するような態度を毎回する灯都、灯都は自分と一緒に作品を作ってくれる相手を探していた、自分の作品に絶対的な自信を持っていた灯都からしたら、自惚れかもしれないが、自分が納得する相手と作りたいと日々思っていた。
    だがそう簡単に自分が納得する相手を見つけるというのは中々に難しい。灯都は心のどこかでは、どうせ収穫もないのだろうと思いつつ、作品の飾られてる廊下へとついた。廊下の壁には色んな絵が飾られていた、花を描いた絵、動物、風景、色んな絵が飾られており、どれもレベルが高かったが灯都の心には何も響かなかった。灯都からしたら、色彩豊かな絵が色あせて見えるのだ。
    何も響かない、記憶に残らない。まるでテレビで流れるCMのように流れて忘れてしまうような、そんな感覚なのだ。また収穫がないか、と最後の絵を見た時、灯都は息が一瞬止まった。時が止まった、周りの空気も、音も、聞こえなかった。
    「……!」
    自分が一瞬だけ呼吸を忘れていた事に、灯都自身が一番驚いていた。その絵は、色鮮やかな花の絵でもなく、暖かな雰囲気を感じ取れる動物の絵でもなく、晴れやかな気持ちになる風景の絵でもなかった。
    その絵は、一瞬だけの恐ろしさを感じ取れた絵だった。暗い色合いの空間を際立つような白い人らしき絵が歩いているのだが、その人の背中には矢らしきものが刺さっていたり、歩いている道には瓦礫らしきものが散らばっていた。だが、暗い色の中にまるで綺麗な星空が所々に隠れて見えていた、まるで雲の中に隠れた星空だ。
    どこか恐ろしく、だが思わず目に留まる。心臓の音がうるさく、思わず胸を押えた。
    「……綺麗、だ」
    勝手に言葉が出た、この絵が灯都にとっては綺麗で、心を奪われていた。よくある恋愛小説の表現ではないが、まるで恋に落ちたかのように、高揚感が溢れ出そうになった。どうやら自分はこの絵を描いた相手に惚れてしまったらしい、この絵を描いた相手と一緒に描きたい、一緒に作品を作りたい。この絵を描いたのは一体誰なのだろうか、と絵の横に飾られているプレートの名前を見た。
    プレートには【鋼衣良 夜岸】と書かれていた。灯都はその名前にどこか見覚えがあった、確か同じクラスだとすぐに思い出す。あの子が描いたのか、と灯都は慌てて廊下を走って教室に勢いよく入った。中にいた生徒は普段見せない灯都の様子に怪訝そうな顔をしていたが、灯都は気にせずに探していた人物を見つけてずかずか、と歩いて彼──夜岸の目の前に来た。
    夜岸は突然来た灯都に驚いたからか固まっていた、周りの生徒も物珍しそうに見ている中、灯都は口を開いた。
    「ねぇ、放課後暇?」
    「えっ……えっと、うん。暇……だけど……」
    「なら時間をくれない? 話がしたいんだ。また放課後になったら声かけるから」
    「え、え……?」
    夜岸は展開についていけてない様子だったが、丁度チャイムがなりそのまま有耶無耶になってしまった。灯都は話せた満足感からか、その後聞いてきた生徒らの事を無視していた。灯都からしたらなぜ関係ない人に話さなければならないのか、との考えだったが。
    放課後、灯都は夜岸の手を取って使っていない教室に入った。夜岸は何かしたのだろうか、といったような様子だったが、灯都は気にせずに話し始めた。
    「廊下に飾られてた君の絵を見た」
    「え? ……あ、ありがとう……?」
    「回りくどい事言いたくないから、直球で言うね。……君の絵に惚れた。君の絵に、すごく惹かれて忘れられないんだ。今でも心臓がうるさくて。……だから、俺と一緒に作品を作らないか? 俺と一緒に漫画家になって欲しい」
    「え……えぇ!? えっと……よろしくお願いします……?」
    夜岸の返事に喜びかけた灯都だったが、どうも夜岸の反応を見るに状況がわかってない事がわかり、灯都はカバンの中からファイルを取り出し夜岸に渡した。夜岸はなんだろうかと思いつつ受け取ると、灯都は話す。
    「君、何も分かってないでしょ。……これ、俺が作ってる作品。コピーだけど……これを見て、俺と組みたいか決めて」
    「え、う、うん……」
    「返事はゆっくりでいいから、それじゃ。呼び出してごめんね」
    そう言って灯都は教室から出た、夜岸が自分と果たして組んでくれるのか、それだけが不安だった。自分はお世辞にも人付き合いが上手い方ではない、むしろ取っ付き難いとよく言われる。
    夜岸にとって自分の今の態度で怖がらせていたらと、後悔しかけていた。こんな事を考えるのも初めてで、灯都は慣れないことだらけだったが、できれば彼と組みたいと心から願った。
    次の日、灯都が教室に入ると夜岸が恐る恐ると言った様子で話しかけてきた。そして昨日話した教室に連れていかれると、夜岸は昨日渡したファイルを見せた。
    「え、えっと、読んだよ。……すごく良かった、面白くてあっという間に読んでて……。だから、昨日の話だけど、組みたい。……僕でよかったら、よろしくお願いします……!」
    そう言って勢いよく頭を下げた夜岸に、灯都は固まっていた。固まった後、灯都は手を差し出した。夜岸は差し出された手を見てそっと握り返してくれた、それに微笑む灯都。
    「……こちらこそよろしく、夜岸って呼んでいい?」
    「えっ、う、うん。……なら僕も灯都って呼んでも?」
    「いいよ、今日からよろしく」
    窓から入り込む朝日が二人を眩しく照らした、これが後に二人の名前をアナグラムにした【都岸灯夜】の結成に繋がるのであった。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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