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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます

    ##エガキナ

    ライラック「夜岸、これあげる」
     灯都はそう言って夜岸に何かを差し出した。夜岸はそっと受け取って中身を見ると、それは押し花だった。大きさから見て栞に使えるようにリボンもついており、紫色の花が可愛らしかった。
    「どうしたのこれ?」
    「母さんの知り合いさんから貰ったんだ、ライラックって花みたいで」
    「へぇ……ありがとう」
     綺麗に加工されていた押し花、ライラックを検索してみると紫色の可愛らしい花の画像と、花言葉が出てきた。その花言葉のひとつに、【大事な友達】と書かれていた。

     夜岸は灯都の顔を見ると、どこか照れた様子で頬を指でかいていた。どうやら意味を調べたらしいその様子に思わず笑う。
    「ちょっと、笑わないでよ」
    「ごめんごめん」
    「……ほんとに、夜岸の事は大事だと思ってるから」
     ぎゅ、と灯都は夜岸の手を握った。夜岸だからこそ、一緒に漫画を描きたいと思っているのだ。自分の手を拒まずに、一緒にしたいと言ってくれた相手を大事にしないわけがない。そんな灯都の様子に、夜岸は口を開く。
    「うん、いつもありがとう」
    「……こちらこそ」

     夜岸と別れ、一人歩く。手には先程のライラックの押し花の栞が二つ入った小さな紙袋を持っていた、灯都はまだ渡したい相手がいたのだ。けれど、その相手に本当にこれを渡していいのか、迷っていた。
     形あるものを渡すのは、相手にとっては残酷で、辛い事なのを意味していたからだ。クリスマスの時はその相手───枢にホタルガラスのブレスレットを渡した。今それをどうしてるかは分からない。
     また形あるものを渡していいのか、灯都は酷く悩んだ。けれど、枢の事を夜岸と同じくらいに、大事な友達、親友として見てしまうのだ。相手が死人だとしても、関係なく。

    「……」
     渡さない方がいいのだろうか、と心臓が痛くなるような感覚に陥りかけた時、見知ったニジゲンを見かけて灯都は思わず走って追いかけ、腕を掴んだ。
    「ん? お前……」
    「……っ」
     その相手は、枢と共にいる柩夜だった。咄嗟に追いかけて腕を掴んでしまったが、ここからどうすればいいのか、と灯都は悩む。柩夜はじっと灯都を見てくる。話さないと、と思うが、言葉が上手く出てこない。どうにでもなれ、と半ばやけくそ気味に先程の小さな紙袋を相手に差し出した。

    「なんだこれ」
    「こ、これ。押し花の栞、で……あんたと、その……枢の分もある。……だから……。……」
     捨ててもいいから、と消えるように呟いた。本当はもっと言いたいことはあったが、上手く言えずに押し付けるように柩夜に渡すと、灯都はそのまま来た道を走って立ち去った。ずっと走り、立ち止まって息を整える。勢いで渡してしまった、と頭をおさええつつ、近くのベンチに座った。
    「……」
     枢は、あの花の花言葉を調べるだろうか、なんて考えつつ、目を伏せた。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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