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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    エガキナ

    記憶喪失時代の話、よその子さんお借りしてます

    ##エガキナ

    今はおやすみ 砂埃の舞う外にいた、創は困惑したまま周りを見る。自分は確か、寝ていたはずだ。CQ×2というニジゲンがいる診療所の一室で、寝ていたはずだ。
     ふと、自分の格好も違うことに気づいた。茶色いコートに、黒ベストにズボン。そして、長い髪を結んでいることにますます混乱した。自分の髪は、短いはずだ。この格好だって知らない、わからない。なんでこの夢を見ているのかすら分からない、手にはレイピアを握っていた。なんで、と思う前にただならぬ"殺意"のような感覚が襲い、思わず前を向く。

     前を向くと、自分の身長より大きい【何か】が目の前にいた。その【何か】は髪らしい部分を蛇のように揺らし、鋭い目が創を突き刺すように見る。
    「なん、だよ……あれ……」
     知らない、あんなの知らない。けど、知らないというのに何か知っているような、そんな矛盾を抱く。すると、唐突に頭が痛くなってきた。何か強く固いもので後頭部を殴られたような、そんな痛みが走る。
    「い、たい……」
     激痛で立っていられなくなり、思わず座り込む。同時に胸も痛み出した。何か、刃物より鋭い物で切りつけられたような痛み。血は出ていないはずなのに、そこから血が滲み出てるような感覚に襲われる。そんな事になっている間に、その【何か】は髪を靡かせると、勢いよく創に襲いかかった。

     その時、「創」と名前を呼ぶ誰かの声が聞こえた気がした。

    「……っ!」
     ばっ、と勢いよく飛び起きてしまった。汗という汗をかいており、体が震えていた。目の前の光景は、いつもの部屋だった。やはり夢だった、との安心感と夢に思えない光景が頭にこびりつき、吐き気が出るほどの気持ち悪さが体を占める。そっと後頭部と胸を触る。痛みもない、血が滲み出てる感覚もない。ないけれど、気持ち悪い。
     呼吸を整えようと深く息を吸い込み、ゆっくりと吐く。物音に気づいたからか、ノック音の後に誰か入ってきた。その誰かはよく知っていた、自分を助けてくれたニジゲン、CQ×2だった。CQ×2は、創の普段と違う様子にそばに駆け寄る。
    「どうした、どこか痛いのか」
    「……っ………」
     大丈夫、と言いたかったのだが、体の震えは止まらない。この状態では大丈夫と言ってもそうには見えないだろう。創は迷った末に、ポツポツと話し出す。
    「……なんか、髪がながくて……女性みたいな、化け物……の夢みた」
    「……他は?」
    「自分の姿も今のと違くて、俺、髪長くて……もしかして、俺……あの化け物に……」
    「落ち着け、深呼吸しろ」
     CQ×2の言葉の通りに深呼吸をする。けれど、落ち着こうにも落ち着けない、もしかして自分は。あの化け物みたいな【何か】が原因で、今の状況になっているというのだろうか。分からない、記憶が無いから定かではない。その記憶が無い、ということに不安が押し寄せる。

    「俺、俺は……俺って何……。なんで俺はあんな化け物と? 誰かを助けるために俺は……? 創ってなに……俺の名前なのに、俺じゃないみたい……俺の名前を呼ぶ相手は誰なの……」
     自分でも混乱している事は分かっていた、けれど不安を言葉に出さないと自分が押しつぶされてしまいそうだった。
     記憶のない自分、自分の名前は創ということは知ったが、今はその名前で呼ばれたくなかった。今の自分は、創であって創ではない。そんな感覚なのだ。
    CQ×2が助けてくれたと言うのに、恩を仇で返しているような感覚に涙が溢れてきた。違う、そう思いたい訳ではない、けれど、もうわからない。思わず泣いてしまい言葉を吐き出せないでいると、CQ×2がそっと頭を撫でる。
    「……不安だよな、そらそうだ。むしろ、不安じゃない方がおかしい。というか、我慢してたのはわかってたしな。……思い出すの、怖いか」
    「……怖い……。今は、怖い……。……創って呼ばれたくない……。だって、今の俺は……」
    「……なら無理して思い出さなくてもいいんじゃないか。初めに言ったように、まずは治療が先だからな。記憶はゆっくりでいい。決めるのはお前だな、けど、お前の帰りを待ってる人はいる」
    「……」

     CQ×2の言葉に、創は考えるように目を伏せる。CQ×2は答えを急かすような真似をしなかった、どのくらいの時間が過ぎただろう、創は毛布を握りしめ、CQ×2の顔を見る。
    「……。……思い出したい。……待ってる人がいるのなら、何年かかっても……思い出したい。それで、その……。創以外の呼び名を、CQ×2が決めて欲しい」
    「俺が?」
    「うん、なんでもいい。……今は創って名前を背負うの、少し重いかもしれない」
    「んー……わかった。とりあえず寝な、おやすみ」
    「……おやすみ」
     CQ×2が部屋を出る前に、創は小さく「ありがとう」と呟いた。それが聞こえたか分からなかったが、ドアを閉めた時少しだけ笑ってるCQ×2の顔が見えた気がする。
     横になり考える、今はほんの少しだけ【創】はお休みだ。そう捉えよう、そう思って目を閉じた。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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