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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    エガキナ
    よその子さんお借りしてます

    ##エガキナ
    ##すずこは

    無自覚な煽りと余計な行動 とある平日の昼間、琥珀は鈴鹿の部屋に遊びに来ていた。鈴鹿と付き合って少し経つが、毎回鈴鹿の部屋に来る度に嬉しいからか、顔が緩んでしまう。遊びに来てする事と言えば、Freyに絵を教えてもらったり、鈴鹿が描いた油画をみて短編小説を書いてみたり、一人暮らしの鈴鹿に料理を作ったり、自分の料理を食べて嬉しそうに笑う鈴鹿の顔を見ると、こちらまで嬉しくなる。
     今日もなにか作ろうかと思い、家に来るまでに鈴鹿に頼んで一緒にスーパーへと行き、リクエストを聞きながら食材を買った。まだ作るには少し早いため、食材を冷蔵庫に入れた後、部屋に入って座っている鈴鹿の隣に座る。なにやら鈴鹿はなにか本を開いており、横目で見る。
    「何見てるんだ?」
    「今度講習するテーマのイメージ掴みで見てるの、一緒に見るか?」
    「へぇ……うん、見たい」

     そう答えて琥珀も一緒に見た、どうやら世界の風景を写真に収めた写真集らしく、さまざまで綺麗な風景が写っていた。それを見て、外国まで行かなくていいにしろ、どこか鈴鹿と旅行に行きたいな、と気持ちが生まれてきた。近場の温泉街でも、少し遠くの観光地でもいい。鈴鹿と一緒ならどこでも楽しいだろう、その時は自分のニジゲンのめんどうは、二人の共通の親友である創に頼もうかな、と考えて思わず笑う。
    「? 何笑ってるん?」
    「いや、こういうの見ると旅行に行きたいな、って思って」
    「旅行か、いいな」
     そう言って笑う鈴鹿の横顔を見る。その横顔を見ていると、やはり自分は相手の事が好きなんだな、と改めて感じた。それと同時に、鈴鹿に口付けをしたい、との気持ちも生まれる。普段は自分からするなど恥ずかしく、中々しようとしても出来なかったが、今なら出来るかもしれない、と思った時には勝手に口から言葉が出ていた。
    「鈴鹿」
    「ん?」
     琥珀から呼ばれて顔を向けた鈴鹿は固まった。顔を向けたら琥珀の顔が近づいていて、口付けをしたから。口付けをした後、やはり恥ずかしかったからかすぐに離れる。目をぱちくりとさせ、驚いた様子で琥珀を見る鈴鹿に対して、微笑みつつ言う。
    「えっと、したくて……」
     そう言った時、鈴鹿の手が丁度壁側に座っていた琥珀の壁に手をつき、琥珀を見る。真っ直ぐと見つめてくる鈴鹿の顔に、今度は琥珀が固まってしまう。
    「……これでも我慢してるんだけど」
    「……え、あ……」

     我慢、という言葉に一瞬なんの事を言っているのか分からなかったが、ゆっくりと頭の中で言葉の意味を理解した時、かぁ、と顔に熱が集中する。顔だけではない、もしかしたら耳まで真っ赤なのかもしれない。そもそも、鈴鹿もそういった感情を持っていた事に内心驚いていた。
     琥珀の反応を見て吊られたからか、鈴鹿も顔を赤らめていた。しかもこの体制、結構距離が近い。琥珀はゆっくりと手を挙げて、鈴鹿の服の裾をきゅっ、と掴む。
    「……我慢しなくていいけど……」
     恋人同士なら、いずれか口付け以上の事をするのだろう。行為に対してはあまりいい印象がないのも事実、自分で処理する事すら嫌悪感を覚えているほどだ。けれど、好きな相手からそうされるのなら、その相手が鈴鹿ならいい、と思っている。現に、何度か鈴鹿と口付けをした事があるが、幸せに満ちていく感覚になるのだ。
     一方、琥珀の言葉に思わず顔を上へと向ける鈴鹿。その後、消えるような声が聞こえる。
    「……あんまりいじめんで……」
    「……? 我慢してるって言ったのは鈴鹿だけど……」
    「そうだけど! ……今日はダメ、ゴム……買ってないから……」

     この流れを想定してなかったからか、鈴鹿は頭を掻きながら目線を泳がせる。鈴鹿の言葉にますます顔を赤くしてしまう。けれど、ほんの少しだけ、安心してしまった自分がいた。鈴鹿も自分とそういった事をしたいのか、と。その事実に嬉しさが込み上げてきた。
     そういえば、琥珀は鞄の中から小さな紙袋を取り出す。これは鈴鹿に会う前に、創が鈴鹿に渡してくれと頼まれたものだった。中身を聞いたが教えてくれず、勝手に開けるのもな、と思ってそのまま受け取ったのだ。琥珀が紙袋を出した時、鈴鹿が怪訝な顔をする。
    「琥珀? 何それ」
    「創が鈴鹿に渡してくれって」
    「なんやろ……」
     鈴鹿が紙袋を受け取り、中を見て固まる。鈴鹿の様子にどうしたのだろうか、と琥珀も見て思わず同様に固まる。それは小さい箱で、数字が書かれており───所謂、避妊具だった。ご丁寧に極薄とも書かれている。
    「え、なにっ、創あいつ……っ!」
     まさか中身がそれだと知らず、琥珀は慌ててしまう。すると、隣にいても分かるほどの怒りが伝わってきて思わず鈴鹿の顔を見る。鈴鹿はふるふると体を震わせており、ぐしゃり、と箱が潰れる音がした。
    「……なぁ琥珀、明日って創暇かな」
    「明日……? あぁ、確か暇って……」
    「そっかぁ」
     その一言を言った後、そのまま箱を忌々しく見るように捨てる鈴鹿。その様子を見た琥珀は、ここにいない親友の顔を思い浮かべて、頭痛を引き起こしながらため息を吐く。
     明日、創の運命はどうなるのか。予測しなくても分かりきっていた。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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