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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    高月

    幼少期の話

    ##高月

    昔の、ある話 冬星は自分の部屋で一人ポロポロと泣いていた、どうにか涙を拭おうと手のひらで擦っているが、それでも涙は引っ込んでくれない。ぐす、ぐす、と声をもらして泣いていると、部屋に誰か入ってきた。
    「冬星、どうしたの?」
    「……兄ちゃん……」
     後ろをむくと、自身の双子の兄である渚月が部屋に入ってきていた。泣いている冬星に対して、優しく微笑みかけて目尻に溜まった涙を拭う。渚月を見た時、また涙が溢れてきた。そして、おもむろに渚月に抱きついた。抱きついて、渚月の胸の中で泣きじゃくる冬星。
    「にいちゃぁん……」
    「よしよし、どうしたの」
    「……兄ちゃんと僕は本当に双子なんだよね?」
     そう、泣いていた原因はそれだった。たまたま並南の家に来ていた遠い───ほぼ冬星にとっては、並南にとっても他人と言っても差し支えない遠い親戚のある人物が、冬星にこう言ったのだ。

    『双子だと聞いたが、君は渚月くんとほんと似てないな。本当に双子なのか、そもそも並南と血が繋がってるのか』

     まだ幼い冬星にとってはショックだった、確かに渚月と顔立ちなど似ていないのは知っていた。けれど、父親も母親も似てないからと言って、この人物のように言ったこともない。
     それに、渚月といつも一緒にいるのだ、疑いすら思わなかった。もしかしたら、自分は本当は父親と母親の子ではないのかと、渚月と本当の兄弟ではないのかと、不安に思ってしまった。未だに泣きじゃくる冬星に対し、頭を撫でながら渚月は答えた。
    「もちろん、俺達は双子だよ」
    「……ほんと?」
    「ほんとだよ、似てない双子って珍しくないんだよ」
    「……そうなの?」
     渚月は説明をしてくれた。冬星にとっては少し難しかったが、渚月の説明を聞いて安心したのか、いつの間にか涙は流しておらず、落ち着いていた。
    「……なら僕はちゃんと父さんと母さんの子供?」
    「もちろん」
    「……兄ちゃんと本当に双子……? ……えへへ、兄ちゃん」
     さっきまで泣いていた顔から、安心して嬉しそうな顔になる。渚月と自分が双子で、自分は父親と母親と血の繋がった子供だと改めて分かってホッとしたのだ。渚月は冬星の頭を優しく撫でつつ、目を細めて聞いてきた。

    「……ねぇ、言ったやつは誰だい?」
    「え……? ……その、今日来てた人……」
    「……あぁ、あの人? すごく遠戚の」
    「あの人苦手……父さんの事、悪く言うもん……。兄ちゃんの事も悪く言ったもん。僕、酷いこと言わないでって言ったら、そう言われたから……。あの人怖い……」
    「怖かったね、もう大丈夫だから。……冬星は優しいね」
    「だって父さんもだけど、兄ちゃんの事悪くいうの嫌だもん!」
     思い出して無性に腹が立ってきたのだろう、不機嫌そうに頬を膨らましている冬星に対して、笑って渚月は答える。
    「もう元気だね、おやつあるよ食べようか。先に行ってて」
    「うん! あれ、兄ちゃん食べないの?」
    「後で来るから」
    「わかった!」
     そう言って嬉しそうに部屋を出る冬星、渚月が来てから一緒におやつを食べようと思いながら、先程とは打って変わって足取り軽く、廊下を歩いた。
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    ちょこ

    DONEよそのこさんお借りしてます
     倒された落武者を見て終わった事を察した、里は刀を仕舞うと、燕志の元へ行く。まだ後ろ姿でしか見れてないが、息が上がっているのか肩が上下ゆっくりと動いているのが分かった。里は小走りで走ると、燕志に声をかけた。
    「えーじ……」
     里の声に気づいたのか、燕志が後ろをむく。怪我をしない日はないのではと言うほど、燕志はよく怪我をする。今もこうして、腕を斬られたのか一部服が血で滲んでおり、そこだけではなく他の所も怪我をしているのが見て分かった。これは看護班の所に連れていった方がいいな、とそう思った矢先に、燕志から唐突に抱き上げられた。
    「え、えーじ下ろして……」
    「……」
    「……えーじ……」
     これが初めてではなかった、落武者との戦闘が終わっても昂っているのか分からないのだが、こうして里の事を抱き上げるのだ。里としては、自分を抱き上げるより治療しに行って欲しいのだが、強く拒絶してはいけない気がして、あまり抵抗出来ないのだ。先程のように、一応下ろしてと言ったが、降ろされたことは無い。そうしているうちに、燕志は里を抱き上げたまま歩き出した。このまま看護班の所へ行くのだろう。
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