カロンの畔にてごうごうと音を立てる濁流の前に、頼りなげな金髪の少年が立っている。
やめろ、そっちへ行くな。
「ねぇ、ココ君――」
やめてくれ。
君は冥銭を稼いでいるんだね。
そう宣ったのは情報源の一つだった、大陸系の占い師の爺だった。
死者があの世で困らないように、弔いのために燃やす金。
赤音さんのことを知っている、そしてイヌピーのことも知っているという脅しだろう。
これからも御贔屓に、と流暢な日本語で握手を求められた。食えない爺だった。
握手をしながら片手ではその手を切り落とすための刀を握りしめているのが大陸流だ。
関東卍會として動くようになって、金の使い方も派手になった。兵隊は金がかかるし、ましてやチンピラどもは鬱憤が溜まればどこぞになびきかねない。
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