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    第2回スモ受けワンドロワンライ
    クザスモ

    その後、サングリア仕事終わりにクザンに連れてきてもらったのは、いつも行ってるような薄いエールと傷だらけの小汚いカウンターの酒屋ではなく、ウィスキーが何種類も並び、マホガニーの深い赤色が美しいカウンターのショットバーだった。
    一杯目を飲み干して、次を考えあぐねていると、マスターに珍しいワインを勧められたがスモーカーはどうしても飲めないと断ってしまった。

    「へぇ、お前ワイン飲めないの」

    「悪酔いしちまうんですよ」

    代わりに頼んだモヒートのミントをグルグル回しながら隣を見れば、ワイングラスを傾ける仕草はとても様になっていて、ぐぅと変な声が出る。上がってく体温に言い訳をしたくて大きく角度をつけてグラスを煽った。

    「なんで俺なんか誘ったんですか?」

    「んー?たまには可愛い部下と飲みたいじゃない」

    「はぁ。俺なんかと飲んでも楽しくはないでしょうがね」

    「いやいや、こうやってお前の可愛いところも見れたんだし俺は楽しいよ」

    「そういうのはもっと別の人のために取っとくべきでは」

    「お前にしか言わないよ。こんなこと」

    クザンは普段から冗談めいたことを言っているけれど、時々本当にそう思っているような顔をする。だからきっと他の人も彼のこういうところに惹かれてしまう。言うなればタチの悪い勘違い製造機。いつまでたっても女の影がチラつくのは、女のせいではなくこいつのせいだ。

    「その顔は信じてないな」

    「いえいえ。上司の言うことを信じない部下はいないでしょう」

    「野犬が何言ってんだか」

    控えめに笑うクザンの横顔を見ながらスモーカーはため息をつく。この人と飲むとついついペースが早くなっていけない。モヒートも氷とミントを残して無くなってしまった。次は何を頼もうか。どうせこの人の奢りなんだし、いつもは飲めないような高い酒でも注文してしまおうか。ぼんやりとボトルが並んだ棚を見下ろしていると、クザンがマスターを呼び止める。

    「こいつにさ、さっきのワインとジンジャーエール混ぜたのを飲ませてやってよ。辛口のやつ」

    「かしこまりました」

    なに勝手に頼んでやがる。という目で見てると、ニヤリと口角をあげた。

    「ねえ知ってる? このカクテルの名前」

    「ワインは飲まないって言いましたよね」

    クザンの顔がグッと近づいて耳に息が当たる。

    「ヒント。ベッドの上のスモーカー」

    バッと体を大きく引いて遠ざかった。酒のせいにできないくらい顔が赤くなっている気がする。

    「ねェマスター。そのカクテル、なんて名前なんだっけ」

    「キティでございます」

    「ほら、ピッタリでしょ」

    斜め下から除くような角度。ほんと、こういうところが、ほんとに、ずるい。
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    ちりむく

    MEMO妄想小説その3

    迷子のシキ(植物園管理棟に住み込み中)とジェイドのお話。
    長編のお話の中の一部分です。わかりづらくてごめんなさい。

    not監督生です。
    その晩は、なかなか寝付けなかった。
    昼休みの時間に眠ってしまったせいだろうか。それともロウドが言った言葉がシキを不安にさせているからだろうか。机の上に置いた時計は、11時を指していた。シキはベットから起き上がると椅子に掛けてあった上着を取ると羽織り部屋を出た。

    シキが寝泊まりしている場所は植物園の中にある小さな管理棟であった。部屋は2つあり入って直ぐは事務所で机や椅子があり何か問題事や調べ物がある時は植物園を管理している5人のドワーフ達が集まり話し合う。廊下を挟んだ奥にある部屋は居住スペースになっており小さいながらもお風呂と洗面台もあった。シキはその部屋を借りて暮らしていた。手前の廊下にはミニキッチンとトイレもあったので1人生活していくには十分であった。植物園の管理責任者であるドワーフのロウドがシキの面倒を見てくれており、仕事、生活のアドバイスを時折してくれた。ここで仕事をしているドワーフ達は魔法も使えるらしく、事務所兼シキの部屋は外からは見えなくなっており外部の人間が入って来ることがないように防衛魔法が張られてあった。

    植物園の中は薄暗く静かで、いつも聞こえてくる虫の音も葉擦れの 1382

    tomoe1218

    DONE2020/5/5発行のるろ剣夢アンソロジー「花綵-はなづな-」(@ruroken_ym_x )に寄稿させていただいた斎藤一夢小説です。再録解禁になったので早速。わたしは常に再録したいマンなので……ポイピク使ってみたかっただけなので、いずれ支部にも上げます。アンソロジー、まだ在庫あるみたいなのでよろしかったら〜。素敵なるろ剣夢がたくさん見れます。表紙からやべーですんで……
    【るろ剣】だいきらいなひと【夢】 人は私を小町と呼ぶ。もちろん本名ではないのだけど、いつの間にか定着してしまった。親しみが込められた呼び名だし、嫌なわけではなかったからそのままにしている。
     どうして小町なのか。理由は単純。私が蕎麦処で働く小町娘だから。ただ真面目に働いているだけなのに、蕎麦小町なんて呼ばれるようになっていた。率直すぎて素直に喜べないけれど、町に溶け込めているならそれでいい。
    「はい、天ざる二ツ、お待ちどおさま」
    「ありがとうねェ、小町ちゃん」
     私が働く蕎麦処は小さな店で、寡黙な店主、店員も私ともう一人だけだ。もう一人の店員である静さんは初産を控えていて、いまはお休みを取ってもらっている。なのでいまは実質二人でこの店を切り盛りしていた。幸いというかここは大通りではないし、お客さんも気心の知れた常連さんばかりなのでなんとかやれている。私が蕎麦小町ともてはやされた頃はご新規さんもたくさんいたけど、何度も繰り返し通ってくれるのは親父さんの蕎麦にこそ惚れた人だけなのだ。
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