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    硲先生と次郎ちゃんが宅飲みをする

    金曜日の水曜日のネコ 山下家で三人でテーブルを囲むのはもはや習慣だ。大抵の場合、スーパーで買ってきた惣菜は皿に移さずにパックのまま箸をつけるしその箸は割り箸だ。山下次郎が部屋を片付けながら二人を待っていると、施錠していないドアが開いて硲道夫が姿を見せた。
    「山下くん、舞田くんは遅れて来るそうだ。先に始めていて構わないと連絡があった」
    「あら、そうなの? それじゃ遠慮なく始めちゃおうかねぇ」
     道夫が提げるエコバッグは几帳面な折り目を残しながらも膨らんでいる。酒肴は近所のスーパーで売っている揚げ物や寿司が多いが、その日の品揃えによっては変わることもある。鼻歌とともにエコバックを覗き込んだ次郎は惣菜のタッパーに詰められた半透明の物体を目にして「ん?」と眉をひそめた。
    「はざまさん、何買ってきたの?」
    「生春巻きだ」
    「生春巻き?」
     名前も見た目も知っているが、どんな味だったか。食べたことはあるはずだと記憶を手繰る次郎の前で道夫はエコバッグの中を探り、「今日はこれを買ってきた」と汗をかいた缶のラベルを次郎に向けた。
     いつもの銀色のラベルではなく、水色をベースにした淡い色のラベル。描かれた猫の絵に惹かれつつ「水曜日のネコ?」とラベルの文字を口に出すと、道夫は静かにうなずいた。
    「山下くんはクラフトビールは苦手ではないだろうか」
    「ビールなら何でも大歓迎ですよ。……美味しかったら、るいの分も泥棒ネコしちゃおっかなぁ」
     言いながらプルタブを引けば、軽やかに炭酸が弾けた。
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