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    神谷幸広とアスラン=BBⅡ世:秘せられし翠色の魔酒:神谷とアスランがサラダを食べる話

    神谷幸広とアスラン=BBⅡ世:秘せられし翠色の魔酒:神谷とアスランがサラダを食べる話 ベビーリーフとレタスにドレッシングをかけただけのサラダも、アスラン=BB二世の手にかかれば極上の一品になると神谷幸広は知っていた。
    「!」
     ドレッシングはほぼ透明。オリーブオイルと塩を混ぜただけにも見えたのに、口にしたとたんに香ばしい刺激が舌を走った。
    「驚嘆すべき魔香であろう!」
     幸広がサラダの一口目を頬張る瞬間を見計らってアスランが高らかに告げる。爛々と輝く瞳からして、今日のサラダの味付けには何か工夫が凝らされているらしい。
    「待ってくれ、アスラン」
     顔面いっぱいに笑みを広げるアスランが種明かしをする前にと、幸広は口の中に広がる味わいへと意識を研ぎ澄ませる。
     オリーブオイルと塩の風味は確かにあり、そこに何かを足したのだろう。香ばしさからはナッツを連想するが、テーブルに置かれたサラダボウルの中にはナッツの破片はひとつもない。ドレッシングが透明なことから考えても、ナッツのペーストすら入っていないのだろう。
    「…………」
     そして何より、舌に感じた刺激の正体が知りたい。
     辛味を連想するものの、胡椒とも唐辛子ともつかない。知っている味と香りではあるものの、サラダとはなかなか結びつかない何かなのかもしれない――考えるうちにアスランは食堂を中座し、すぐに何かを片手に戻ってきた。
    「刻限だ! 見よカミヤ、これこそが此度の魔香にして魔酒だ!」
     差し出された瓶の中には淡い翠の液体。
     そして、ラベルにはピスタチオのイラストが描かれている。
    「ピスタチオの――ウオッカか!」
    「然り!」
     言われてもう一口食べれば、レタスの瑞々しさの上にはピスタチオの濃厚さが香る。
     大きめの塩の粒をピスタチオの香りとオリーブオイルがまろやかに感じさせ、ウオッカの刺激と共に口に広がって喉奥まで風味を満たす。顔を綻ばせる幸広が「すごいじゃないか!」と声を上げると、アスランも満更ではない表情だ。
    「仔羊たちの饗宴にはいささか不向きであろう。なれば、翠色の魔酒は我とカミヤ、そしてソーイチローの贄とならん!」
    「はは、そうだね」
     飛んでいないアルコールが喉を焼く。それすら心地よく感じながら、幸広はサラダを取り分けて。
    「この美味しさは、俺たちだけの秘密にしよう」
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