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    雨月ゆづり

    @10_Libra_08

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    雨月ゆづり

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    マヨイのピアスが性癖に刺さるという、ただそれだけの動機で書き始めた掌編です。
    かなり短め。

    #ニキマヨ

    ピアス「あれ、マヨちゃんこんなところにピアスの穴開けてたっけ」
     マヨイのドラマの撮影が始まったり、ニキも全国ツアーが始まったりしてしばらく会えない日が続いた後。久しぶりのデートをして、夕食を済ませてから一緒に椎名家に帰って来て、ニキは気が付いた。
    「お仕事で必要だったので開けましたぁ。ドラマの時、ピアスつけていたの気が付きませんでしたか?」
    「いやぁ……まさか本当に開けてるとは思わなくて。マグネットピアスとか、ぱっと見普通のピアスに見えるアクセサリーもあるんで、そういうのつけてると思ってたっす」
     耳の上の部分の軟骨に、塞がりかけたピアスホールがある。マヨイの髪は長くて耳が隠れがちであること、そして今日は特に、出かけていた日中はほぼずっと変装用につばの広い帽子を被っていたから、気が付かなかった。
    「え、もしかして刺青も……?」
     今第二話まで地上波で放送されているドラマでマヨイが演じたのは、主人公が懇意にしている治安の悪い下町に住む情報屋の役だった。かなり個性的なキャラらしく、マヨイの怪演が巷で話題になっているという話は、ニキも最近耳にした。
     今流行っている漫画を原作にしたドラマで、マヨイの演じたキャラは見た目は長い髪を無造作にひとつにくくった、腕に派手な龍の刺青を入れた美青年なのだが、マヨイがキャラのイメージにぴったりだと原作ファンからも好評だという。
    「いいえまさか! 刺青はさすがに消すのが大変ですから、それっぽく見えるようにメイクさんに頑張っていただきました」
    「消すのが大変って理由で断ったんすね?」
    「元々本当に刺青を入れる予定は監督の方にもなかったようですから安心してくださぁい」
    「じゃあ、ピアスも、無理に開けなくて良かったんじゃないっすか?」
    「そうですけど……でも、前にライブで着る衣装に合わせてピアスつけたときに気が付いたんです。私、どうやらピアスホールが塞がりやすい体質のようでして。すぐに塞がるなら他のお仕事にも支障は出ないかと思って、ピアスの方は本当に開けちゃいましたぁ」
     マヨイの口調はいつも通りで、今回のことも仕事だからという感情以上のものはなさそうだ。マヨイは、あまり自分が傷ついたり、痛い思いをすることは気にしていないようで、今みたいに仕事のために必要であればすぐにピアスの穴を開けてしまう。
     開けた後も、普段からピアスをつけてオシャレをする訳でもなく、必要がなくなればすぐにピアスを外して、さっさと穴を塞いでしまう。そして、また必要があれば穴を開ける。それを平気で繰り返すマヨイの感覚は、未だにニキには理解が出来ない。
    「ショックでしたか? 私が椎名さんに黙って、ピアスを開けたこと」
     しばらく塞がりかけた穴の部分から目を離せないでいるニキに、マヨイが声をかける。
    「……もしかして、私が傷つけられたと思って、怒ってます? 大丈夫ですよ、すぐに塞がって見えなくなるんですから」
    「怒っているというか……すぐに見えなくなるなら自分を傷つけてもいいって思えるマヨちゃんが心配なんすよ。もちろん、マヨちゃんがおしゃれするためにピアスしたいって思って開けるなら止めないっすけど、そういう訳でもなさそうなんで」
    「……そうですか。ふふ」
    「何かおかしいっすか?」
    「いえ。大切にされているんですね、私。……分かりました。これからもお仕事でどうしても必要であればピアスをするとは思いますけれど、特に必要なければ代用品で済ませます」
     マヨイは幸せそうに笑った。
    「だから、許してくださいね。今回のこと」
    「その笑顔はずるいっすよ……」
     マヨイが嬉しそうにしていると、何も言えなくなってしまう。同意するように、ニキの腹の虫が鳴いた。
    「お腹空きましたか? 帰りに買ったお菓子が私の鞄に入ってますけれど、食べるなら出しますよ」
    「食べる! じゃあ僕はお茶淹れてくるっす」
     はぁい、とマヨイが返事をする。さっき見つけたピアスホールは、もうマヨイの髪に隠れて見えなくなっていた。
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    雨月ゆづり

    DONEニキマヨドロライさんのお題をお借りしました。

    ついマヨイを年下扱いしてしまいがちなニキと、年下扱いをやめてほしいマヨイ。
    一緒に住んでいるニキマヨ。
    「同い年」 話があります、なんて改まって言われたものだから、これは悪い話かもしれない、と思わず身構えた。

    「話ってなんすか」
     律儀にカーペットの上に正座しているマヨイに合わせて、自分も慣れない正座をしながらニキは尋ねた。
    「椎名さんにお願いがありまして」
    「はい」
    「私のこと、年下扱いするのをやめていただけないでしょうかぁ……」
    「……はい?」
     マヨイは視線をさまよわせた。
    「ええと、その……言葉の通りですぅ。ほら、私今日誕生日じゃないですか」
    「うん、おめでとうっす」
    「ありがとうございますぅ。……このやり取り何度目でしょうか」
    「何度目だろ、数えてないっすね」
     日付が変わった時に一回、朝起きて目が合った時に一回、あとは朝食後に、前日からこっそり用意していた誕生日のケーキを見せた時にも一回。マヨイが誕生日を迎えたことを実感するたびに自然とお祝いの言葉が出てしまい、そのたびにマヨイがお礼を言う、というのをもう今日になってから何度も繰り返していた。
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    雨月ゆづり

    DONE5月23日はキスの日……でしたが盛大に遅刻しました。
    いわゆる事故ちゅー。

    ニキに昔彼女がいた描写を含むため、苦手な方は要注意です。
    キスの日のニキマヨ 礼瀬マヨイは混乱していた。
    「ど、どうしましょう、あれ、絶対、その……キス……しちゃいましたよねぇ……!」
     置き去りにしてしまったニキの顔を、今更振り返って見る勇気はなかった。マヨちゃん、と呼ぶ声が聞こえた気がするものの、そんな呼びかけすら振り切るようにして天井裏にもぐりこんで、出来るだけ遠くへと這うようにして逃げた。
     これは、ニキとマヨイがうっかりキスのような、そうではないような、一瞬の触れ合いをしてしまってからはじまるお話。

     いつものように天井裏から降りようとした時のこと。降りようとした場所にニキが立っていて、とっさによけようとしてよけきれずにぶつかった。それでも最初から唇が触れた訳ではなくて、額をぶつけたらしいニキが額をさすりつつ顔をあげた瞬間と、ぶつけたところを確認しようとマヨイがニキの顔を覗き込んだ瞬間、そして二人の顔の角度が、奇跡のように合わさって、そうとは分からないほど一瞬だけ唇が触れた――ような気がしただけのこと。
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