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    mii_wannyantyu

    @mii_wannyantyu

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    POIPOI 22

    mii_wannyantyu

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    ポッキーの日。カナエさんとしのぶさん。付き合ってる。

    カナエさんと。
    付き合ってる。

    「しのぶ〜、今日が何の日か知ってる?」
    「今日?第一次世界大戦の停戦記念日でしょう?」
    ……。そう言うと思ったわ。勤勉なしのぶのことだもの。うん。分かってたわかってた。
    しのぶはこういうイベントごとには疎いもの。
    気落ちする自分をなんとか持ち上げて、次のステップに行こうと自分を奮い立たせた。手には昨日買っておいた赤い箱を持って。

    「今日はね、ポッキーの日、なのよ。しのぶ。」
    「ポッキー?ああ、日付の形がってこと?ふーん。安直なのねぇ。」
    「そういうこと言わないの。」

    私は箱をベリっと開けて、中から銀色の袋を取り出した。中袋を開き、一本のポッキーを取って、しのぶに差し出す。
    「しのぶ、ポッキーゲーム、しましょう。」
    「?いいけど。」

    どうやらしのぶは、ポッキーゲームを知っていたようで、ぱくり、とポッキーの、チョコのついている方を咥えた。
    ……なんか、これだけでクるものがあるわね……。いけないことをしている気分だわ。

    いけないいけない。気後れしちゃだめ。負けないように頑張らなくっちゃ。

    「じゃあ、いい?」

    私は邪魔になる横髪を掻き上げて耳にかけ、チョコが付いていない方を咥えた。

    いつもは下から見上げてくる瞳が、真っ直ぐに私の瞳を見つめる。菫色が、私を捉えて離さない。
    ぽり、ぽり、とお互いに少しずつ食べ進めていく。その度に、しのぶの瞳が、近づいてくる。
    顔に、熱が集まるのを感じる。
    ポッキーは、あと残り数センチ。それほど、私たちの距離も近づいてしまっているということ。もうすぐおでこが、ぶつかりそう。しのぶに息が、かかってないかしら。
    彼女は笑いもせず、ただじっと私を見つめる。
    待って、これ以上近くで、見つめられたら、私
    「ーーっ!」

    ぽきり、と軽い音がした。
    私を見て得意げに笑うしのぶの顔で、私が負けてしまったことがわかった。
    「やった。私の勝ちね、姉さん。」

    なんてしのぶは嬉しそう。
    なんだか思っていた結果と違って、年甲斐もなくムッとしてしまう。
    そんな私を見てか、
    「ふふっ。私、ポッキーゲームじゃ負けたことないの。」

    と自慢げに話すしのぶ。……ふーん、他の子とも、したことがあったのね。……負けなし、か。そうよね、しのぶのあんなに綺麗な顔があんなに近くに来たら、見つめられないもの。でも

    「しのぶ、引き分けには、なったことある?」
    「え?ないけど。引き分けなんてあるの?」
    「……じゃあ、やって見ましょうか。」

    もう一度、ポッキーを咥えなおす。今度は、負けない。耐えてみせる。

    私としのぶは恋人同士なのよ?何度もしてるじゃない、そのくらい。いつも目を閉じているけど、今日はそうじゃないってだけ。だから大丈夫。大丈夫なのよカナエ。

    なぜか弱気になる自分自身を励ましながら、しのぶの方に顔を向けた。
    きょとん、とした顔をしながらも、反対側をぱくり、と小さな口で咥えてくれる。

    どちらからともなく食べ始める。
    ぽり、ぽり、とお菓子を齧る音だけが、部屋の中に響く。しのぶとの距離は、あと数センチ。
    じっと私を見つめる瞳が、揺れた。しのぶから、熱が伝わってくる。気づいたのかもしれない。このゲームの引き分け方に。

    あと、少し。というところで、しのぶが不意に顔を逸らそうとした。それを、私が許せるはずもなく。開いていた左手で、しのぶの顎を掴んだ。ぐいっと引き寄せ、視線を合わせる。

    ねえしのぶ、私を、見て。

    そしてそのまま、私たちの距離はゼロになった。



    「ね、さ」
    「ん〜?」
    顔を真っ赤にして、ゼイゼイと息を荒げているしのぶ。あんまりにも可愛くて、なかなか離してあげられなかった。甘いチョコの味が、口にべっとりと貼り付いている感覚。

    「……これ、ぜったい、ほかのひとと、しないで。」
    「それはこっちのセリフよ?しのぶ。」
    「……もう。」
    ぷぅ、と膨れてしまったしのぶの頭を撫でながら、私はポッキーの箱を引き寄せた。
    「もう一回、する?」
    「……する。」

    取り出した、一本のポッキー。
    ぱくりと両端を咥えて、サクサクと食べ進める。しのぶとの距離は、あと、数センチ、数ミリ、……ぜろ。




    (このあと一箱分まるまるなくなるまでやった。)
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    mii_wannyantyu

    DOODLEさっきお話ししてた、モブさんに告白されて言い出せなかった💧さんとそれにもやっとしてしまう🍑さんのお話。らくがきです。まだ続くけど一旦ここまで。大丈夫!ハッピーエンド仲直りするよ!(これは僕のために言っています…)
    仲直りして!!!「どうして、言ってくれなかったの」
    ……愛莉ちゃんのこんな顔見たの、いつぶりだろう。
     私を見下ろす愛莉ちゃんを、真っ直ぐに見つめる。愛莉ちゃんの後ろには天井が見えて、ああ、私、今倒れてるんだ、なんて。
     形が良くて愛らしい眉毛がきゅっと寄って、私を映す桃色は、悲しそうに細められてる。いつもは綺麗に上がっている口元も、への字みたいに下がり切っていて。
    「えっと……」
    事の発端は、私が、この前出演したドラマの相手役の人に告白された事だった。もちろん、私には愛莉ちゃんがいるから断ったけれど、お付き合いしていることは、まだ内緒にしておこうって愛莉ちゃんと二人で決めたからちゃんと言えなかった。
     その人は愛莉ちゃんとも仲がいい人だったから、愛莉ちゃんになんとなく言い出しづらくて、切り出すタイミングを伺っていたらどんどん時間が過ぎてしまって、もう一週間。どういうルートを辿ったのか、私があの人に告白されたことが愛莉ちゃんの耳にも入っていて、おうちに帰ってきた瞬間、愛莉ちゃんに手首を少し痛いくらいに掴まれて、ソファにぐいって押し倒されてしまったの。
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    mii_wannyantyu

    MOURNING『現代鬼殺のお話①』
    前に呟いていた、現代鬼殺のお話。書きたくて書いたものの、何書いてるのかよくわからなくなったので供養。
    現代鬼殺のお話①

    「はあっ!!」

    私に向かってくる、異形のものに対し、私だけの刃を振るう。ガシャン、プシュウ。一閃。ドサリという物音と、ぶわりと巻き上がる黒い靄。ふよふよとこの場を漂うけれど、それはもう無視。なんの害もこちらには及ぼせなくなっている状態のはずだから。耳をそばだて、気配を探る。……よし。もうあいつらはいない、みたい。依頼の内容も、一体だっていう報告だったし。

    「ふう。任務、完了」
    『今の刀の振るい方、なんだか粗くありませんでした?』

    ……ああ、また始まった。

    「うるっさいなあ」
    『蟲柱たるもの、もっと美しく、軽やかにこなしてもらいませんと』
    「ふんっ。そんなことにばかり拘ってるから、この間みたいに失敗するんじゃないの?」
    『なんですって?!』
    「ほらほら、しのぶ。後は隠がやってくれるから。今日はもう帰っておやすみ」
    「社長」
    『お館様』

    急に目の前に現れた雇い主の姿に、跪く。この位置からは見えないけれど、多分もう一人の私も、同じ格好をしてる。

    「そんなにかしこまらないでおくれ。しのぶ、今日はどうだった?」
    「はい。任務は、つつがなく。相手は人型を取ってはいま 2898

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