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    neko

    @neko22suki
    ポイピク始めました。
    ジャンル垣根なしの雑多垢です。
    好きなものを好きなだけ。ネタバレありです。
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    neko

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    ロハンさん(っぽい人)が「誰だ!!!!!アイツの荷物にビキニ👙仕込んだ奴は!!!!!💢💢」ってブチ切れてる夢を見たので……。
    一体誰の荷物に入っていたんだろうな……なんて思ってしまったのです。
    読み返していないので支離滅裂だったり誤字脱字があったりすると思います。

    ##アイマヒ

    発端はカバンの中から突然現れることもある 褐色の手が開けたチャックから思いがけないものが飛び出てきた。
    「え?」
    「ん?」
     折角海の近くにきたんだから泳ぎたかったよな、などと軽口を叩いていたマヒアが一切の動きを止めた。アイヴスも同じく身を固める。
     本来ならば、そこからは工作員お手製のプラスチック爆弾が出てくる予定だった。小さい革製のボストンバックは普通の旅行カバンにしか見えないが洗面用具や着替えに混じってピルケース大の小型爆破物が複数入っている。銃は手に馴染むが、国境から国境へ持ち運ぶのには些か面倒が生じる。威力は半減するが細工がしやすくて現地調達でも作れるコレは重宝していた。
     だが現在開け口からはみ出しているのは固い危険物ではなく、防護服にもならない薄い生地の布切れだった。
     しかもそれはカバンを挟んで対面している二人の大柄な体型に適しているとは間違っても言えないような代物である。
     アイヴスが停止から再起動して口を開きかけた。その前に件のモノは視界から消え失せる。まるで手品か或いは魔法のようだ。華麗な手腕にタネや仕掛けの方に意識が向きそうになる。
    「なぁ、今のは」
    「俺のじゃない」
     言い終わらない内に荷物の持ち主はキッパリと否定を放ってきた。食い気味の返答に嘘ではないと察する。
     まぁ、そうだろうな。アイヴスは大した感慨もなく何度か頷いてみせた。個人の趣味嗜好にとやかく言うつもりはないが、マヒアの私物よりも違うという方がまだ確率は高い。
    (大体、女物の水着だったしな)
     鍛えられた動体視力が捉えたのはエメラルドグリーンが美しいツーピース型の水着だった。布地の面積上、アレを男が着るのは少々難がある。控えめに言っても収まるはずがないのだ、色々と。
     堅物な軍人の推理はそこまでしか到達しなかった。けれど、すんなり納得した相仕にマヒアは別の勘繰りをしたようだった。
    「言っておくけど、ナンパしたとかでもないからな」
     尖らせた口で言い訳じみた台詞を吐いた。予想してなかった方向の話題に冷たい温度を思わせる冷色の瞳がパチリと一つ瞬きを打つ。
     その反応にマヒアは一瞬ひどくつまらなそうに眉を寄せてから「なんでもない」と首を振った。
     打ち切りになったが刹那に浮かんだ不興がどうにも引っかかり、アイヴスは途切れた話を繋いだ。
    「これから仕事だという時にそんなことしないだろ?」
    「信用してもらえて光栄だけど、残念ながら絶対にやらないなんて約束はできないな」
     冗談とも本気ともつかない声音が至近距離で嗤う。
     挑発に似た発言に、ふつりと煮湯の泡みたいな苛立ちを覚えた。理由は分からない。小馬鹿にした態度に対してか。それとも軽率な内容の方にか。
    (……いや、別にいいだろ。プライベートに立ち入れるような間柄でもあるまいし)
     冷静になって自身を必死に言い含めても一度煮立った湯気は中々消えてくれない。
     未消化の感情を持て余していると、ふっくりした唇から漏れる吐息が頬にかかった。さぞかし笑えるほど不機嫌そうな顔をしていたのだろう。
     吹き出したマヒアの呼吸で自分達がまだカバンを挟んだだけの距離にいることにはたと気づいた。
     何故今更そんなことが気になるのか。任務中、鼻と鼻が触れ合うほど近くに寄せ合ったことだって数えるのも馬鹿らしいほどあるというのに。それでも居心地が悪くなって自然を装い半歩身を引く。
     けれど、機微に聡い捕獲者が小さな逃亡を許すはずがない。
    「なぁ、アイヴス」
     耳を擽るのは、これから大事なことを言うからよく聞けよ、というシーンにお誂え向きの囁き声だった。
     通常は迷彩服に身を包んでいるが此度は観光客に扮する必要があった。首にかかるスカイブルーのカジュアルなネクタイに器用そうな指がスルリとかかり、キュッと引き寄せられる。アイヴスは些細な物音に予感する。あぁ平穏が崩れる音はこんなにも小さいものなのか、と。
    「なんで俺がナンパするかもって話でそこまでお前の機嫌が悪くなるか、ちゃんと考えないと後悔することになるぞ」
     意味が頭を巡る頃にはマヒアは目の前からいなくなっていた。ぼうっとしている間にホテルの扉を開け放って誰かを呼んでいる。
     ドア前に来たのは隣に部屋を取っている同行者のロハンだった。離れた場所からは断片的な会話しか聞こえない。どうやら荷物に紛れた異物について報告しているようだ。
     あの、こんな状況になった原因の。
     マヒアからロハンの手に移った鮮やかなエメラルドグリーン。よくよく見ると黄色い花びらのような模様が入っていた。
    「そうか、分かった。こっちで預かっておく」
    「頼むね。しっかし、どこでこんなの混じっちゃったんだか」
    「そうだな。不思議だな」
     とても疑問に感じているとは思えない抑揚のない低音でロハンが言う。恐らく途轍もなく怒っている。荷造りをしたのはロハンのチームだ。己のチームの失態に対しての怒りを鉄壁の理性で押さえつけているのだろう。
    「ロハン、気にするな。肝心な物はちゃんと揃っている」
     アイヴスもカバンを指差し、フォローを入れる。けれどもロハンの無表情に変わりはなかった。
    「そうそう。むしろ俺達としてはラッキーだったりして」
     マヒアの一言にアイヴスはどういう顔をすればいいか分からなくなった。
    【END】
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