お出かけ勇者と花はき魔王 いつか、どこかの国。
戦いから始まった出会いだけれど、やがて心を通わせた二人。勇者と呼ばれる男の子と魔王を名乗る魔族は良い友だちとなりました。
これは、そのあとのふたりのおはなし。
ある日のこと。
魔王がいつものように男の子の家のドアを叩こうとすると、がちゃりとドアが開きました。
「おや、こんにちは」
目をぱちくりとさせて挨拶する男の子は大きな袋を背負って丈夫そうな靴を履いています。
「せっかく来てもらったけれど、これから出かけるところなんです」
「どこへ行くというのだ」
「王さまのお城にお呼ばれしたもので」
このあいだのことです。
森に迷い込んで困っている女の子を助けたところ、なんと女の子はお城のお姫さまだったものだから王さまがお礼をしたいとお呼びなのだと男の子は語って聞かせました。
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