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    psychimma

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    psychimma

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    分裂ネタのらくがき(鳥斉)

    #鳥斉

    「斉木さん!!!一生のお願いがあるんスけど!!!」
     久々に聞いたなソレ。いつもの返しした方がいいのか? お前の一生は……、
    「これをやって欲しいんスけど!!」
     お前の一生は、いったい何度あるんだ。
     ……という、お決まりの台詞すら言い切らせないせっかちさで、僕の目の前に差し出されたのは開かれた雑誌であった。えーと、なになに……、
     それはまあ、鳥束が持っている本の形をした物といえば誰もが想像つくようにエロ本であり、そしてそこには尋常じゃない短さのスカートの学生服を着た女生徒が仁王立ちになって尻餅をついた気弱そうな少年を見下ろしている図が描かれていたのだが……、
    (……ん?)
     凝視する眉根が寄る。立ちはだかる女性は2人いて、それは別にいいのだが、その顔が全く同じだったのだ。え? 何これ? 双子? クローン? どういう性癖?
    「分裂! ってヤツっスよ! 2人に増えちゃった彼女に迫られてタジタジ……っていうの、男冥利に尽きません!? でー、斉木さんならできるなって思ったんスよ!」
     思ったんスよ! じゃねえ。拳を握りしめていい顔で言うな。
    「え? できないんスか?」
     いや、できなくはないが……。
    「やったーさすが斉木さんだぜ! オネシャス! シャス! シャス!!!」
     九十度以上のやっすい最敬礼と共に簡略化された懇願が頭頂部から聞こえる。これはもう断ってもしばらくうるさくて面倒なやつだな……。
    ーー仕方ないな。
    「えっマジで!?」
     しぶしぶと頷けば、自分で強請っていたくせしてびっくり仰天という様子に目が見開かれた。失礼な。僕も男だ、たまには恋人の願いくらい叶えてやるさ。
     やれやれ、この能力はもう封印する予定だったんだがな……。
     おもむろに手を伸ばして、左の制御装置を外す。同時にぐん、と身体を巡る強大な力。
     目を閉じて、イメージする。もう1人の自分を。
    ーーダブル!
     ぴか、と部屋に雷が落ちたような白い閃光が満ちた。そして煙と共に現れたのは……、
     僕の横に立つ『2人』を見て、鳥束がわくわくと輝かせていた瞳をたちまち曇らせて頭を抱えて叫ぶ。
    「ちっがーーーーう!! いやちょっとだけ想像してたけど! でもせめて斉木さんと顔のいいアシ雄ペアかと思ってた!」
     思ったなら敢行するな。冷ややかに返してやれば、目を剥いてこちらを指さされた。
    「にしても!! よりによってクリーチャーとクリーチャーってどうなんですか!?」
     ……そう。まあ、だいたいお察しの通りでご指摘通り。
     僕のダブルは増えるごとに精度が落ちる。今回はその特性を利用して初回からちょっとやる気なく生み出して……それをまたコピーさせて……、
     色んなところから触手の生えた、ピンク色の宇宙人的な生き物が2人、僕の横には立っていた。
     まあ、これでもだいたいは僕だから。能力も同じだし尻の中も同じじゃないのか?
    「雑かよ!!!!」
     おざなりに返してやれば大声でつっこまれた。やれやれ、さっきからうるさいな。心外だぞ、せっかくお前の願いを叶えてやろうと寛大な心で対応してやったというのに……。
    「いや絶対遊んでるでしょ……。ていうか、やっぱりダブルじゃだめっスよ」
     ? どうしてだ?
     問えば鳥束は神妙な顔になって腕を組んだ。
    「だって、ダブルには意思があるんでしょ? てことはいくら似てても斉木さんじゃないし……それなら、もしも見た目がおんなじだったとしても、やっぱ抱きたくはないっスよ」
     静かに、子どもに諭すように語る声は、心のうちともそう大きな差異はなく……。
     鳥束……。
     ……お前にしてはいいこと言ったふうだが、アシ雄なら揺らいでた癖して今更そんなこと言っても遅いからな。
     容赦なく突っ込んでやれば、鳥束は悪びれもせずに「テヘヘ」と頭を掻くのみだった。自覚ありか。まったく……。
     というわけで、馬鹿な思いつきはこれでおしまいになるはずだった。
     けれど……まだ遊びたいとごねるダブルを説得してようやっと消したところで、背後からポン、と手を叩く男共に呑気な声が聞こえてきた。
    「あ、それならオレを増やすのはどうですか?」
     ……は?
     何言ってんだ。てかもうその話題いいだろ。すげなく返す前に、また割り込んで鳥束はキメ顔で言った。
    「逆転の発送っスよ! たくさんのオレに迫られて斉木さんタジタジ♡いろんなところから攻められて喘いじゃう斉木さんとか超唆るんですけど!」
     ……。
     鳥束。
    「な、なんスか」
     考えてもみろ、僕とお前の間には埋められない力の差がある。それがお前がいくらか増えたところで埋まるか? 埋まらないだろう?
    「うっ、確かに……」
     それにそもそもそんな技使えないしな。分裂ってもはや忍術の世界だろ。チャクラとかで何とかしてくれ。
    「いやここNARUT●じゃないんで……」
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    psychimma

    REHABILIトランプネタかんがえてるときに出てきた鳥斉 あんまりトランプネタ関係なくなっちゃった…いつものように付き合ってだいぶ経ってます「じゃあトランプで決めましょう、斉木さん!」
    ーートランプ?
     言い返す僕の眉根があんまりにも寄ってしまったことに、元気に提案した鳥束は「そんな嫌そうな顔しなくても……」と笑みをほろ苦く変えて頬をかいた。
     休日の昼下がり。簡単なランチを終えて、これから家で映画を見るにあたってコンビニにお茶請けを買いに行くが、どら焼きのあんこはつぶあん派かこしあん派か、などということから始まった実にくだらない論争だった。二人で暮らし始めて半年、こんなのは実にありふれた趣味嗜好の差で、僕らにとっては本来言い争いのうちにも入らないレベルのものだ。だって僕たち成人男子だし、どら焼きなんかひとりひとつ買えよって感じなのに、分ける前提で話しているのがその証拠、単なるじゃれあいの延長で。
     いつもなら鳥束が折れる。ことスイーツに関して僕の方が一家言あるのは明らかだったし、向こうはそもそもそんなに拘りがないので。それがいつもよりすこし長引いたのは相手が和菓子で腐っても寺の息子だったのかということと、そして、おそらくこちらがメインだが……トランプをするよう誘導すること自体が彼の目的だったとそういうことだろう。
     …… 1978

    psychimma

    DOODLE過去にモブ空描写ありの信空、空の語る三大欲求などの話、書きかけの散文、R15くらい。全体的にどんよりとしています。でも続きは明るいのでは…まことくんがでてくるので…(信頼)食欲も、睡眠欲も、性欲も、生まれつきこの身のうちには存在しないようなものだった。まるで赤ん坊の時にコウノトリが運ぶ袋の中からそれだけ取り落としてしまったみたいに。
    だけど僕は知っている。人間はコウノトリが運んでくるわけでもキャベツ畑から発見されるわけではないことを。
    まあ、あんまり両親とは似てないから、生まれてすぐの記憶がなかったら血縁関係は疑ってしまっていたかもしれないけどね。
    食欲は、とりあえず。ママの作る食事を残すのは悪かったし、別になんだって嫌いなわけではないのだ。ただすこし夢中になると優先順位が低くなってしまうだけで。でも人間だって結局動力のいる機関だから、必要な分は摂っていた。
    ただべつに、時間をかけたり味を楽しむ必要性はあまり理解できなかったくらいで。
    睡眠欲は。これは僕の体質が幸いして、あまり問題にはならなかった。いわゆるショートスリーパーというやつ。とはいえもちろん全く寝なくても大丈夫というわけではないけどね。え、平均十七分?あ〜あれはちょっと平均を取られたのが開発の佳境だっただけで、普段はもう少し寝てるよ。
    だけど暇があったら眠りたい、とか、朝ベッドから出たくないと 2656

    psychimma

    MOURNINGワンドロのお題佐藤くんで書こうと思ってたけど鳥の話ばかりになってしまったので没になったもの 高3鳥+斉 なかよし話「……」
     休み時間。
     高3の春なんて人生で一番きらびやかであざやかで貴重なそのひとときをまったく無為に浪費しながら、廊下からじとりと教室の中を観察する男が一人。
     その一見すると非常に悪目立ちしそうな、けれどこの世界では普通過ぎてすっかり風景に溶け込んでしまう、けれどその実とんでもなく非日常な力を持った超能力者は、談笑する生徒の群れを眺めながら臍を噛んだ。
     その胸に宿るのはささやかで切なる願い。
    (……ああ、僕も佐藤君と話したい……!)

     それで次の休み時間。
    ――鳥束、相談があるんだが……。
     と神妙な顔して話しかけてきた斉木に、まくった袖からじゃらじゃらと数珠のアクセサリーを覗かせて、早弁しながらエロ本を読むという平然とルールを逸脱しまくった霊能力者は、ポロリと箸を取り落とした。
     だって……、
    (さ、斉木さんがオレに相談……!?)
     無敵の超能力者が、わざわざ自分に頼るこということは……!?
     考えるまでもなく、答えはすぐに導き出された。周囲を見渡してから、身体を伸ばして耳打ち。
    「……次は誰ヤっちゃったんスか……?」
     ちげえよ、というツッコミがいつもの鋭さをほんのすこ 4868

    psychimma

    MAIKING分裂ネタのらくがき(鳥斉)「斉木さん!!!一生のお願いがあるんスけど!!!」
     久々に聞いたなソレ。いつもの返しした方がいいのか? お前の一生は……、
    「これをやって欲しいんスけど!!」
     お前の一生は、いったい何度あるんだ。
     ……という、お決まりの台詞すら言い切らせないせっかちさで、僕の目の前に差し出されたのは開かれた雑誌であった。えーと、なになに……、
     それはまあ、鳥束が持っている本の形をした物といえば誰もが想像つくようにエロ本であり、そしてそこには尋常じゃない短さのスカートの学生服を着た女生徒が仁王立ちになって尻餅をついた気弱そうな少年を見下ろしている図が描かれていたのだが……、
    (……ん?)
     凝視する眉根が寄る。立ちはだかる女性は2人いて、それは別にいいのだが、その顔が全く同じだったのだ。え? 何これ? 双子? クローン? どういう性癖?
    「分裂! ってヤツっスよ! 2人に増えちゃった彼女に迫られてタジタジ……っていうの、男冥利に尽きません!? でー、斉木さんならできるなって思ったんスよ!」
     思ったんスよ! じゃねえ。拳を握りしめていい顔で言うな。
    「え? できないんスか?」
     いや、できなくは 2004

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    MAIKING分裂ネタのらくがき(鳥斉)「斉木さん!!!一生のお願いがあるんスけど!!!」
     久々に聞いたなソレ。いつもの返しした方がいいのか? お前の一生は……、
    「これをやって欲しいんスけど!!」
     お前の一生は、いったい何度あるんだ。
     ……という、お決まりの台詞すら言い切らせないせっかちさで、僕の目の前に差し出されたのは開かれた雑誌であった。えーと、なになに……、
     それはまあ、鳥束が持っている本の形をした物といえば誰もが想像つくようにエロ本であり、そしてそこには尋常じゃない短さのスカートの学生服を着た女生徒が仁王立ちになって尻餅をついた気弱そうな少年を見下ろしている図が描かれていたのだが……、
    (……ん?)
     凝視する眉根が寄る。立ちはだかる女性は2人いて、それは別にいいのだが、その顔が全く同じだったのだ。え? 何これ? 双子? クローン? どういう性癖?
    「分裂! ってヤツっスよ! 2人に増えちゃった彼女に迫られてタジタジ……っていうの、男冥利に尽きません!? でー、斉木さんならできるなって思ったんスよ!」
     思ったんスよ! じゃねえ。拳を握りしめていい顔で言うな。
    「え? できないんスか?」
     いや、できなくは 2004

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    MAIKING分裂ネタのらくがき(鳥斉)「斉木さん!!!一生のお願いがあるんスけど!!!」
     久々に聞いたなソレ。いつもの返しした方がいいのか? お前の一生は……、
    「これをやって欲しいんスけど!!」
     お前の一生は、いったい何度あるんだ。
     ……という、お決まりの台詞すら言い切らせないせっかちさで、僕の目の前に差し出されたのは開かれた雑誌であった。えーと、なになに……、
     それはまあ、鳥束が持っている本の形をした物といえば誰もが想像つくようにエロ本であり、そしてそこには尋常じゃない短さのスカートの学生服を着た女生徒が仁王立ちになって尻餅をついた気弱そうな少年を見下ろしている図が描かれていたのだが……、
    (……ん?)
     凝視する眉根が寄る。立ちはだかる女性は2人いて、それは別にいいのだが、その顔が全く同じだったのだ。え? 何これ? 双子? クローン? どういう性癖?
    「分裂! ってヤツっスよ! 2人に増えちゃった彼女に迫られてタジタジ……っていうの、男冥利に尽きません!? でー、斉木さんならできるなって思ったんスよ!」
     思ったんスよ! じゃねえ。拳を握りしめていい顔で言うな。
    「え? できないんスか?」
     いや、できなくは 2004

    psychimma

    DOODLE過去にモブ空描写ありの信空、空の語る三大欲求などの話、書きかけの散文、R15くらい。全体的にどんよりとしています。でも続きは明るいのでは…まことくんがでてくるので…(信頼)食欲も、睡眠欲も、性欲も、生まれつきこの身のうちには存在しないようなものだった。まるで赤ん坊の時にコウノトリが運ぶ袋の中からそれだけ取り落としてしまったみたいに。
    だけど僕は知っている。人間はコウノトリが運んでくるわけでもキャベツ畑から発見されるわけではないことを。
    まあ、あんまり両親とは似てないから、生まれてすぐの記憶がなかったら血縁関係は疑ってしまっていたかもしれないけどね。
    食欲は、とりあえず。ママの作る食事を残すのは悪かったし、別になんだって嫌いなわけではないのだ。ただすこし夢中になると優先順位が低くなってしまうだけで。でも人間だって結局動力のいる機関だから、必要な分は摂っていた。
    ただべつに、時間をかけたり味を楽しむ必要性はあまり理解できなかったくらいで。
    睡眠欲は。これは僕の体質が幸いして、あまり問題にはならなかった。いわゆるショートスリーパーというやつ。とはいえもちろん全く寝なくても大丈夫というわけではないけどね。え、平均十七分?あ〜あれはちょっと平均を取られたのが開発の佳境だっただけで、普段はもう少し寝てるよ。
    だけど暇があったら眠りたい、とか、朝ベッドから出たくないと 2656