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    miharu_2

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    「MDZSオンライン交流会 新年会2」 開催おめでとうございます!
    大遅刻ですがあけおめ掌編です。今年も良き一年でありますように。

    ※曦澄のつもりがほぼ叔父甥です…この金凌さんはデキてることを知りません。

    ##曦澄

    邪も避けて通る 春節は準備もそれなりに忙しいが、主たる宗主の仕事はむしろ明けてからで、門弟や家僕など身内への振る舞いにはじまり関係各所への挨拶回りなど息つく暇も無い。
     数年前になんとなくそういう関係になった藍曦臣もまた姑蘇藍氏の主であり、状況は似たり寄ったりか加えて藍氏らしく細々とした儀式だとかに追われるのだろう。
     親しい関係になったからといって仕事より優先されるものはないから、顔をあわせての新年の挨拶は早くとも月も変わった頃ぐらいになるだろうか。
     そのような具合であるので、普段は筆マメな御仁だが年始が近づくにつれて届く文も目に見えて減る。……とはいっても筆無精からしてみれば、それでも結構な頻度であるが。
     今年も進物に添えられた姑蘇藍氏の紋入りの挨拶状とは別に、月白色の料紙に金と黒の流麗な筆致で一年の平穏を祈る詩と干支が描かれた書も届いた。
     次の干支は兎だ。やわらかく描かれたつがいらしい二羽は雲深不知処の裏山で元気に跳ね回る白い毛玉たちを思いださせて、これではかえって久しぶりに顔を見たい気持ちが募ってしまう。
    「藍氏はいつも早いよね。何これ……沢蕪君から?」
     雲深不知処からの挨拶は他世家と比べると少し早い。同じく早めの挨拶という名目で雲夢にやってきた金凌は、緩く書を開いた手から奪い取ってじっくり眺めた。
    「こら、勝手に触るな。お前のとこにも毎年同じものが来てるだろうが」
    「来ないよ!いつも定型の挨拶状と贈り物だけ」
    「……なに?」
    「少なくとも俺宛にはこない」
     知らなかった。色々あったあとこういう関係になる前から毎年必ず贈られてきていたはずで、いつもの贈り物だとしか思っていなかった。忙しいだろうに送り先全てにこんな手の込んだことをするとはマメな御仁だとばかり。
    「外叔父上、ずるい。ひとりだけ毎年そんな贅沢なもの貰ってたの?!沢蕪君直筆の書と絵なんて。……はっ、まさか今までの捨てたとか言わないよね。ちゃんとお返ししてる?」
     沢蕪君は金銭の発生するやりとりは絶対しないし、贈り物としてしか描いてくれないんだよ。
     外叔父上は芸術に疎すぎるから価値が伝わらなくて困るだの、いつまでも好き放題捲したてる甥の口をひと睨みで制する。
    「ええい、煩い!捨ててはない」
     はずである。件の書は訝しむ顔のままの金凌が額装して返すと言ってそのまま持っていってしまった。
    「……返礼と言われてもな。それこそ、あの沢蕪君だぞ」
     わざわざ自身に宛てて書かれたものだと知ると、確かに金凌の言うことも一理あり、何か返礼はすべきだろうと思ったものの、沢蕪君ほどの才を前にして晒せるような芸は生憎と持ち合わせていない。
    「うーん……そうだ、アレとかいいんじゃない?外叔父上の、よく効くからさ」
     

    「沢蕪君、雲夢から品が届きました」
     思追から受け取った文の江澄好みの香の残り香に、雲夢の暖かい空気を思い出す。ゆうに二月は顔を見ていないが、きっと自分と似たり寄ったりで忙しくしているのだろうと思う。
     やや角張った端正な字で、その内容こそお決まりの文言だが、忙しくともきっちり引き締まった字の向こうに、眉間に浅からぬ皺を刻みながら筆を取る様子が見えるようで微笑ましい。
    「ありがとう」
     早速開いた蛇腹に畳まれた文には、一枚折りたたまれた紙が挟まっており、首を傾げながら開くと幾つかの獣の特徴が混じってどこかおどろおどろしさをも感じる異形の獣が目に飛び込んできた。
    「それは、なんですか?」
     差出人を気にしているのか、一緒に首を傾げた思追は濁して問うてきたが、名状しがたい筆使いのこの異形には自分にも覚えが無い。
     間違って混入したのだろうかと思ったところで、ふと、ひとつの仮説にいきついた。
    「……たぶん、獏じゃないかな」
     金凌の小さい頃にはよくおまじないをせがまれたと言う話には覚えがあって、どこにも言及はないものの正しく自分への特別な贈り物なのだと分かると思わず頬が緩んだ。
    「ふふ。これは、よく効きそうだ」
     さっそく立ち上がって枕の下に忍ばせる。お世辞にも上手いとは言い難いが、これだけ力強い姿であれば、まさしく邪なものも避けてくれるに違いなかった。
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    recommended works

    AmeHitori_

    CAN’T MAKEシクトリ年賀2021ゆく年くる年

     全然面白くない。クリスマスが過ぎてしまえば改まって新年を祝う気にはならなかった。
     一年で最も日本人が羽目を外すイベントでこそ警察関係者の彼は仕事が立て込む。こういうのも年末進行というのだろうか。例年どおりならば、そう簡単に納まるような仕事ではない。だが今年は上司が気を利かせて三が日を非番にしてくれたらしい。
     毎年家族持ちの同僚に休みを譲っていた独り身にだって春はやってくる。二人が「そういうこと」になって初めての年越しに、赤井は多少なりとも浮かれていたのだ。新年を迎えることに何の感慨も湧かなくとも、とにかく二人きりで過ごす時間は貴重だ。まず一緒に買い物へ出掛けて、酒やら食料やらを買いに行こう。一日中ベッドから離れず済むようにゴムの補充も怠ってはいけない。しかし彼にその気があるのなら今日ぐらいはナマでも……まぁ、吝かではなかった。
     それが降谷からメアリー、秀吉、真純が滞在するホテルへ赴くと聞いた途端、気分が急降下したのを感じた。この落下速度から算出するに、相当高みにまで浮上していたのだろう。地面に叩きつけられた期待は四肢粉砕してグロテスクなアート作品に昇華されている 2682

    AmeHitori_

    MOURNING深夜の悪ふざけ。付き合ってる安赤。
    地味に再開した百人一首のお題用だったはずが文字数を間違えて書きすぎてしまったやつ(900字…)
    次は500字未満を目指します…
    赤井のトレードマークといえば黒いニット帽だろう。人のファッションにケチをつける気はないが、TPOぐらい弁えてほしい。ただでさえ色々と目立つ容姿をしているのだ。背も高いし、手足も長い。顔立ちは凶悪犯じみているが、一定層ではこういう顔も世間には定評がある。ただ、一人モノクロのスリラー映画から飛び出してきたような近寄りがたい雰囲気が難点であった。
    「せめてもう少しカジュアルになりませんかね」
    「? まじ卍?」
    「カジュアルが急ハンドル過ぎる」
     微妙に古いし。どこで仕入れた知識かと思えば、以前蘭さんがJK用語を練習していた時に教わったという。いくら現役女子高生といえど人には向き不向きがある。赤井も同様、沖矢昴の服装では首から下がクソコラ状態だった。この傾向ではないのは間違いないのだが、じゃあどこへ向かえば正解なのか分かっていない。私服が迷走する赤井に降谷は大きなショップバッグを差し出した。
    「僕が選んできましたので、とりあえずこれ着てください」
    「ほぉ。ドン降谷の辛口ファッションチェックというわけだな」
    「さては沖矢昴の頃から情報のアップグレードがされてないだろ」
    「最近はキナリノ派だ」
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    aki_aki960807

    DONEシクトリ5の無配。パス外しました!
    ハロ嫁観て書きたくなったお話です。降谷さんは桜組をちゃんと心の中で整理付けてる感じがしたので。むしろ赤井さんの方が引きずってる?
    映画のネタバレ無し。(映画の内容には触れていません)
    そしかい前後、和解済、同棲している二人。日本の警察に手を貸すFBI。一年に一度だけ弱音を吐く赤井さんに、降谷さんは……。(季節無視ww)
    師走の雨 大きなクリスマスツリーが飾られた、東都の街の一角。建築中のビルの屋上には、ライフルを直置きし、うつ伏せでスコープを覗く赤井の姿がある。そこから直線で六百メートル離れた場所で、今まさに立てこもり事件が発生していた。
     犯人と警察がにらみ合うこと、すでに五時間以上。部屋にはカーテンが引かれ、中にいる人質の安否も分からず、膠着状態が続いている。

     やがて、現場一帯は雨が降り始めた。夜の帳が降りると気温は急降下。呼吸をするたび、まるでタバコの煙を吐くように、赤井の口から白い息が漏れた。
     緊張の糸を張り詰めたまま、時間は刻一刻と過ぎていく。無情に降る雨は雨脚を強くして、赤井のニット帽を濡らした。
     現場に詰める警察官たちの顏にも、疲れの色が見える。にらみ合いはこのまま朝まで続くのか、と誰もがそう思い始めた時——。
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