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    lunaarc

    @lunaarc

    完成したものとか完成していないものとか(文章のみ)の予定です

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    lunaarc

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    「藍別離苦のその先で」に関わるSSの一部(父水だけど水不在)
    父と母のとある夜の会話

    瞼を開けると、男は真白い場所にいた。
    霧に囲まれているのかと思ったが、湿度を帯びた空気も草木のにおいも、生き物の息遣いも、何も感じない。無機質ともとれる白だけがどこを見渡しても広がっている。
    そもそも男は、共に暮らす友人の下宿先でつい先程眠りについたばかりのはずだ。とすると、ここは。
    「夢の中か…?」
    思わず呟いて、気づく。発せられた男の声は近頃だいぶ聞きなれてきた子供のような甲高さではなく、低く落ち着いたそれだった。ある時を境に失った、男の本来の声だ。
    見下ろす目に映る体もそうだ。持ち上げた両の掌も、肉体を包む次縹の着流しも、足にぴたりと収まる下駄も。懐かしいとすら思える感覚に、男は小さく苦笑した。
    なるほど、夢の中ならこの姿でいることにも納得がいく。
    「あなた」
    顔を上げる。いつの間にか、男の目の前に人影があった。お気に入りだと言っていた黄色い洋装が、動きやすいからと短く切った赤みがかった茶色の髪が、真白い景色の中鮮やかに浮かぶ。
    その人影は女の形をしていた。男にとって大切な、忘れるはずもない、片割れの姿だ。
    夢が見せる幻ではなく確かな存在としてそこに立っていると、男の直感がそう告げていた。
    視界があっという間にぼやけ、胸の奥が強く強く締めつけられる。
    「おまえ…っ!」
    男はきつく目の前の最愛を抱きしめた。女も応えるように男の背へ腕を回し、困ったように微笑する。
    「あなたももうお父さんなんだから、泣き虫はそろそろ卒業しないと」
    「…っそうじゃ倅、鬼太郎は」
    体を離し周囲を見回す男を見上げ、女がゆっくりと首を横に振る。
    「……あの子に会ってはいけないって、閻魔様との約束があるの。あなたとこうして夢の中で会うことだって本当は禁止されているんですよ。今回は特例なんですって」
    「そんな…」
    愚かな人間達に搾取され苦しんできた彼女に対してあんまりな仕打ちではないか。悲しみにぼろぼろ零れる涙を、細い指がそっと拭う。
    「大丈夫。会うことはできなくても、時々現世の様子を見ることはできますから。…あなたも鬼太郎も、あの人も。元気そうでよかった」
    「…、…」
    おまえも一緒に。許されるのならそう言いたかった。けれど肉体は朽ちても目玉に体が生えた姿で生き延びることができた男とは違い、女の魂は黄泉へと渡ってしまった。
    妖怪に近い存在ですら死からは完全に逃れられず、一度喪われた命を取り戻すことは禁忌だ。いかに幽霊族といえども、覆すことはできない。
    男はおもむろに一、二歩後ろへ下がると、深々と頭を下げた。
    「すまぬ、おまえよ……わしはまだ、そちらへ逝くことはできぬ」
    血を分けた大切な倅の成長を見守る、という役目もある。けれど、理由はそれだけではなかった。捉えようによっては心変わりを疑われてもおかしくないものだ。どんな叱責でも受ける覚悟の男の肩に、女の手が触れる。
    「いいんですよ、あなた。…言ったでしょう?あの人になら、あなたのことをお任せできるって」
    だから、むしろ嬉しいんですよ、私。
    ゆっくりと頭を上げた男へ向け、女は釣り目気味の目を柔らかく細める。その穏やかな微笑みは、男の謝罪の理由を察して尚、僅かな陰りすら滲むことはなかった。
    「寂しくない、と言えば嘘になるけれど…でも、私のことを気にしてあなたが幸せを我慢してしまう方が、もっとつらいわ」
    「おまえ…」
    「悔いの無いように生きて。…いつか、私にもちゃんと紹介してくださいね」
    「…ああ。……ああ、もちろんじゃ。必ず紹介しよう」
    夢から覚める気配を感じ、名残惜しさにもう一度抱擁を交わす。そうしてゆっくりと離れ、男と女は静かに微笑み合った。
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    lunaarc

    MOURNINGバレンタインで失恋して部屋を出たら晴信さんに会って、察せられて泣いちゃったところを追いかけてきた(タケルに言われて)伊織が目撃する伊ぐだ♀
    …のつもりで書いてたんだけどたぶん最後まで書ききれないと思うのでここまで。

    伊織いないけど伊ぐだ。晴信とぐだ子は×じゃなくて+(兄妹みたいな感じ)
    サムレムはコラボしか知らない+第一部と1.5部ちょっとしかやってない知識量のマスターです
    どうやって部屋に戻ったんだろう。腕いっぱいに抱えた仏像を棚に並べて、立香はしばし立ち尽くす。
    わかってはいた。一緒に駆け抜けた偽の盈月の儀の最中、ことあるごとに、傍で見てきた。
    片方が記憶を失っていても、あの二人の絆は強固なものであると。その間にぽっと出のマスターが割り込むなんてもっての外だと。わかっていても。
    「……はぁ…」
    それでもやっぱり、寂しい。
    そのやりとりを微笑ましいと思っていたのは確かだ。戦闘時には抜身の刃の化身のような鋭さを持つ青年の雰囲気が、彼の相棒が一緒だと柔らかく変化していく。それを見ているだけで十分だと、最初はそう思っていた。
    ただのマスターとサーヴァント。その垣根を超えるような接触をしてきた者は他にもいた。けれど立香はそれでもマスターでいられた。一人の人間としてではなく、サーヴァント全員のマスターとして。そうあることが自分の存在価値なのだと割り切っていたからだ。
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