僕の尾鰭と ジェイドが小さくなった。そう聞かされたのは、退屈な座学があと数分で終わるという頃だった。トレインの子守唄のような講義をBGMに、申し訳程度に卓上に置かれたノートにポップなウツボのキャラクターの落書きをしていた時、勢いよく開かれた扉。全員が音の鳴る方を向けば珍しく額に汗を流すツートンヘアの男――クルーウェルが焦った様子でこちらへと視線をやっていた。
後ろを向いても誰も居ない。いつもフロイドの周りには誰も座ろうとしないのだ。という事はやはりクルーウェルの視線の先は自分だと察したフロイドは、落書きをする手を止めて首を傾げた。
「イシダイせんせぇ、どぉしたの?」
そんなに汗かくならその毛皮のコート、脱いじゃえばいいのに。フロイドの言葉にクルーウェルの眉間に皺が寄る。舌打ちを一度してから大きな溜息を吐いたクルーウェルは相当機嫌が悪いようだった。
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