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    haiiro1714

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    海灯祭前にしか許されない100%捏造のヌヴィフリ

    ##ヌヴィフリ

    「さて、フリーナ殿。此度の海灯祭への長期旅行の出国審査の結果についてだが。」
    ヌヴィレットが何枚にも渡る書類の一つ一つに目を通しながらフリーナに話しかける。
    「なんだよ。ちゃんと全部揃ってるだろ?」
    出立まで残り数日に迫ったある日、フリーナはヌヴィレットに呼び出されていた。
    勿論、出国に対するあれこれについてなのはフリーナが良く理解していた。
    「却下だ。」
    ばさり、と書類の束を机に投げ捨てるヌヴィレット。
    予想通りの反応にフリーナは内心でため息をついた。
    どうやら、早速奥の手を使うことになりそうだ。
    「ふーん?それは何故?」
    思わずヌヴィレットを睨みつけてしまったのは許して欲しい。
    「君の安全のためだ。今のフォンテーヌには君の護衛にまわせる程の人手が足りていない。」
    またしても予想通りの返答だ。
    もはや笑いすら起きそうだ。
    「同行者が旅人だったとしてもかい?」
    ヌヴィレットに出国拒否されるかもしれないと旅人に相談すれば旅人もパイモンも快く同行を許してくれた。…まあ、多少の出費はありそうだけど。
    「…そ、そうか。それなら安心だ。」
    動揺を咳払いで誤魔化したのがバレバレだぞ、と心の中で指摘する。
    「ふん。心配事項はそれだけ?なら、僕はもう行くけど。」
    少しぬるくなった紅茶を飲み干して、敢えて音を立ててカップを置く。
    普段ならしない行為をすることで怒っている印象を与えられるのだ。
    「待て、フリーナ。」
    ヌヴィレットに呼び止められる。
    「まだ何か?」
    僕がヌヴィレットを見れば伸ばした手をそのままに彼は何回も口を開きかけては閉じるという事を繰り返していた。
    やがて何か言い訳を思いついたのか口を開いた。
    「公演中の劇団の指導はどうする?」
    言うに事欠いてそれか。と僕は少し脱力した。
    「それなら大丈夫。最初から千秋楽に僕がいないことが前提の契約だったから。」
    時間制限付きでありながらも件の劇団はフリーナの出した合格点に達していた。
    それ故、千秋楽まで僕が見ていなくても彼らならしっかりやり遂げるだろうと信じている。
    「そ、そうか…」
    それっきり黙ってしまったヌヴィレットに苛立ちすら覚える。
    旅支度は既に終えているものの、貴重な時間を使
    わせておいての体たらく。
    思わずため息をついた。
    「ヌヴィレット。寂しいなら寂しいと言ったらどうだい?」
    そう言えばヌヴィレットが顔を上げる。
    「寂しいと言ったら君は璃月に行かないのか?」
    「いや、行くけど?」
    間髪入れずに切り捨てる。
    「君が頑固な性格だと言うことを忘れていた。」
    ヌヴィレットは眉間に皺を寄せて額を押さえてため息をついた。
    「今回は僕の勝ちだね。」
    ふふん。と誇らしげに胸を張った彼女を少し恨めしく感じてしまう。
    「まあ、帰って来るのを楽しみに待っててよ。」
    君には璃月の水をお土産に持ってくるからさ。と言いながらフリーナが立ち上がる。
    「実は、セドナとアイフェにお土産を買ってくる約束をしたんだ。
    僕、誰かにお土産を選ぶなんて初めてだしすっごく楽しみなんだ。
    装飾品も食文化も全然違うって旅人が言ってたし、そういったものでも良いかもね。」
    ねえ、どう思うヌヴィレット?と幸せそうに微笑んだフリーナに力が抜ける。
    「ふむ…土産にするのなら日持ちのしない食料品は避けたほうが無難だろう。」
    「そっか。お茶とかの方がいいかもね。」
    懐からメモを取り出しすらすらと書き込んでいくフリーナ。
    「ありがとう、ヌヴィレット。参考にするよ。」
    メモを仕舞いフリーナは笑う。
    それを見たヌヴィレットの心の中で彼女の色々な表情をもっと見てみたいという欲が顔を覗かせた。
    「フリーナ殿。君に祝福を贈りたい。旅の安全を願って。」
    突然のヌヴィレットの発言にフリーナは目を瞬かせた。
    「祝福?どんなだい?」
    フリーナが興味深そうに聞く。
    「君に命の危機が迫った際に君を守ってくれる物を。」
    フリーナは少し考える素振りを見せた。
    「それはずっと続くのかい?」
    「旅行の間だけだ。」
    「そう…ならお願いしようかな。旅人に迷惑ばかりかけていられないしね。」
    どうすればいい?とフリーナが問いかける。
    「君はそこに立っていればいい。」
    ヌヴィレットがフリーナの前に立つ。
    期待に満ちた色違いの青色と目が合った。
    「では失礼する。」
    ヌヴィレットの片手がフリーナの両目を覆い、もう片方の手は前髪を掻き分けた。
    「ヌヴィレット?」
    突然塞がれた視界に不安を覚える。
    塞ぎきれなかった指の隙間からヌヴィレットの顔が近づいて来るのが見えた。
    「何し、てーーー?」
    不意に、額に柔らかなものが押し当てられる感触があり直ぐに離れていく。
    同時にフリーナの視界を覆っていた手もなくなっていた。
    混乱するフリーナをよそにヌヴィレットは指定席に座り直す。
    「君の旅路が良きものになることを祈っている。……いってらっしゃい、フリーナ。」
    優しく、甘やかさすら含んだ声にフリーナは自身の体温が上がっていくのを感じた。
    「あー、あ、うん!ありがとうヌヴィレット!僕は荷物の整理が残っているから戻るね」
    逃げなければ!と本能が警鐘を鳴らした。
    フリーナは持ってきていた荷物を乱暴に掴むと走り出した。
    部屋に残されたヌヴィレットは自身の口を手で覆う。
    意趣返しはどうやら上手く行ったらしい。
    頬を紅く染めて、走り去った彼女を思い出していると先程出ていったフリーナがおずおずと扉から顔を覗かせた。
    「あー、えっと、うん。その…いってきます、ヌヴィレット!。」
    まだ薄っすらと頬が染まったフリーナはそれじゃ!今度こそ本当に戻るね!と走り去っていく音が聞こえた。
    「律儀なことだ。」
    フリーナを見送ったヌヴィレットの頬も薄っすらと朱に染まっていたことは本人のみぞ知る。


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