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    クロロレ
    飼っている犬が理由でくっつかねえかなぁという現パロ
    (作曲家×パタンナー)
    二人が飼っているのはサルーキです

    犬の話(仮).2 生垣の向こうにも犬連れがいるらしい。息遣いや飼い犬に話しかける飼い主特有の優しい声が聞こえて来て、自然と視線がそちらに向いてしまう。
     角を曲がって入って来た犬連れの男性はかなりの長身でおそらくクロードより背が高い。紫の瞳に真っ直ぐな紫の髪、白く長い手足と華やかな見た目だがそれよりも連れている犬が気になる。近所ではあまり見かけない犬種なのだ。先方も全く同じことを思ったらしい。
    「パブロ、あの子を見たか?君にそっくりだ!」
     性別が違うと体格や顔立ちは異なってくるが、それでも飾り毛の色や生え方がよく似ている。犬種が同じであってもスムースコートと耳や後ろ足、そして尻尾に飾り毛のあるフェザーコートでは見た目が違う。飼い主から愛おしげに名を呼ばれていたパブロもネヴァと同じくクリーム色のフェザーコートだった。
    「はじめまして、だよな?一度でもお互いの犬を見たなら絶対に覚えてるはずだ」
    「そうだな、確かに忘れられないだろう。ローレンツだ」
     白く大きな手がクロードに差し出される。彼に真の名を名乗る日は来るのだろうか。犬同士は尻尾を振り、実に友好的な態度をとっている。
    「よろしく、クロードだ。そんでもってこの姫君はネヴァだ」
     遊ばせても大丈夫そう、と互いに判断したクロードたちはパブロに水を買ってからリードを外しても構わないエリアへ移動した。犬同士で遊んでくれると楽でいい。遠慮なしに遊ぶ犬たちを眺めながらクロードたちは連絡先を交換してその日は解散した。なんとなく察したがどうやらお互いに締め切りがあり、自宅で作業する仕事についているらしい。次に会えたら何の仕事をしているのか教えてもらえるだろうか。
     二人とも車で公園まで来ていたが使っている駐車場が違った。正反対だな、と言って笑ってローレンツたちと解散できたことが何となく嬉しい。
     ローレンツと別れて東駐車場についたクロードは再びネヴァを後部座席のドアを開けた。心置きなく走り回れたおかげでいつもより疲れたのかぐずらず愛車に乗り込んでくれる。
     クロードの心は帰るつもりがない故郷からどうしても離れてくれない。本名を名乗ってすらいないのに車も犬も砂漠を自由に駆け回れるから、という理由で選んだ。



     ローレンツは木陰にとめたレーシンググリーンの愛車を見つけるとスマートキーでロックを解除した。両隣とも車が入れ替わっていると見つけるのに少し時間がかかってしまう。
     パブロが寂しがるのでローレンツは助手席にキャリーを設置していた。当然、固定可能でエアバッグが開いた時のこともきちんと考慮されている。もっとたくさん荷物が積める車にするか迷ったが里帰りはいつも車一択だ。それなら何よりも運転が楽しい車がいい。内装は全て犬の毛が目ただない明るい茶色の革にして寒い冬用にシートヒーターもつけた。パブロが車に酔わないことが飼い主としては本当にありがたい。
    「またここでネヴァと一緒に遊びたいかい?」
     パブロは嬉しそうに一声吠えた。犬は飼い主の表情を真似るので笑って見えることがある。今パブロが笑顔なのはきっとローレンツが笑顔を浮かべているからだろう。
     ローレンツはクロードから貰ったメモの写真をパブロのキャリーの上で撮った。早く登録した方がいいのは分かっている。だが楽しすぎて公園に長居してしまったので早く帰らねばならない。これで失くしてしまっても汚されても大丈夫なはずだ。
     ハンドルを握って家に向かっている最中に渋滞に巻き込まれてしまったが幸いなことにはしゃいで疲れたパブロは眠っている。正反対な自分たちがそっくりな犬を飼っているのは本当に面白い。
     帰宅後、待っているのが締め切りを破ったデザイナーの尻拭いだとしてもネヴァとクロードのことを考えていると気が紛れた。ローレンツは好きな詩人の名を愛犬につけたがクロードは違う。彼はヘブン、の逆さ言葉を迎え入れた愛犬につけたのだ。
    「頬髭を生やした男が可愛い名前を犬につけても様にならないだろ?」
     どうやらクロードは人懐こい割に照れ屋、かつひねくれ者らしい。
    「だが天国のように素晴らしい、という気持ちは分かるよ」
     緑に輝く芝生の上で飾り毛をなびかせながら自由気ままに走り回る犬たちは本当に美しく見ているだけで幸せになった。ローレンツはこの世の美しいものを愛している。自分の手で平面だったもの、が美しい立体になっていく喜びは何度味わっても良いものだ。
     だが打ってすぐに響くような感覚からは遠ざかっている。SNSで実況が出来れば少し違うのだろうが守秘義務があるのでそれは不可能だ。ローレンツは勿論、三年前に流行色を決めるようなところだと分かった上でファッション業界に飛び込んでいる。だからこそすぐに喜びを表してくれるパブロが本当に大切な存在なのだ。
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    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    8.背叛・下
     雷霆を振るうカトリーヌの名を聞いた者に多少なりとも英雄の遺産や紋章の知識があったならばそれがとんだ茶番だと判るだろう。だが無謬であるセイロス教会が彼女をカサンドラではなくカトリーヌと呼ぶのならそれに従うしかない。カロン家当主としても令嬢カサンドラに死なれるよりはガルグ=マクで生きていてくれた方が良いのだろう。

     ローレンツは霧深い街道をガスパール城に向けて黙々と進んでいた。前方ではクロードとベレトとカトリーヌが何やら話している。五年前、ローレンツは帝国軍が破竹の快進撃を見せた時に正直言ってファーガス神聖王国がほぼ崩壊したと思った。今の彼らの会話を耳にしてもファーガスが凋落しているという印象が深まっていく。青獅子の学級の学生たちは士官学校に入る前に初陣を済ませている者が多いのはダスカーの悲劇以降小規模な騒乱が後を立たずにいるからだ。

     だからあの時ローレンツはフェルディナントと共にミルディン大橋に立った。ファーガスは近々自壊するだろうしパルミラとの国境を守りながら強大な帝国に抗う力が同盟にはない。ならばせめて領地と領民を守りたいと思ったからだ。霧の立ちこめる行路は人生 2090

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    16.鷲獅子戦・下
     ローレンツがグロンダーズに立つのは二度目だ。一度目はローレンツの認識からすると五年前でベレト率いる青獅子の学級が勝利している。敗因は堪え切れずに飛び出してしまったローレンツだ。更に危険な実戦で囮をやらされた時に堪えられたのだから今日、堪えられないはずはない。

     赤狼の節と言えば秋の始まりだが日頃山の中の修道院にいるので平原に下りてくると暖かく感じた。開けた土地は豊かさを保証する。グロンダーズ平原は穀倉地帯でアドラステア帝国の食糧庫だ。畑に影響が出ない領域で模擬戦は行われる。模擬戦と言っても怪我人続出の激しいもので回復担当の学生はどの学級であれ大変な思いをするだろう。

     ベレトが持ってきた地図を見て思うところがあったのかクロードは慌ててレオニーとラファエルを伴って教室から駆け出し書庫で禁帯出のもの以外グロンダーズに関する本を全て借り上げてきた。皆に本を渡し地形描写がある物とない物に仕分けさせた。この時、即座に役に立たない本だけを返却させている。情報を独占し他の学級に無駄足を踏ませた。クロードのこういう所がローレンツは会ったこともないべレスから疎まれたのかもしれない。
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