Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    111strokes111

    @111strokes111

    https://forms.gle/PNTT24wWkQi37D25A
    何かありましたら。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 310

    111strokes111

    ☆quiet follow

    クロロレ
    飼っている犬が理由でくっつかねえかなぁという現パロ
    (作曲家×パタンナー)
    二人が飼っているのはサルーキです

    犬の話(仮).2 生垣の向こうにも犬連れがいるらしい。息遣いや飼い犬に話しかける飼い主特有の優しい声が聞こえて来て、自然と視線がそちらに向いてしまう。
     角を曲がって入って来た犬連れの男性はかなりの長身でおそらくクロードより背が高い。紫の瞳に真っ直ぐな紫の髪、白く長い手足と華やかな見た目だがそれよりも連れている犬が気になる。近所ではあまり見かけない犬種なのだ。先方も全く同じことを思ったらしい。
    「パブロ、あの子を見たか?君にそっくりだ!」
     性別が違うと体格や顔立ちは異なってくるが、それでも飾り毛の色や生え方がよく似ている。犬種が同じであってもスムースコートと耳や後ろ足、そして尻尾に飾り毛のあるフェザーコートでは見た目が違う。飼い主から愛おしげに名を呼ばれていたパブロもネヴァと同じくクリーム色のフェザーコートだった。
    「はじめまして、だよな?一度でもお互いの犬を見たなら絶対に覚えてるはずだ」
    「そうだな、確かに忘れられないだろう。ローレンツだ」
     白く大きな手がクロードに差し出される。彼に真の名を名乗る日は来るのだろうか。犬同士は尻尾を振り、実に友好的な態度をとっている。
    「よろしく、クロードだ。そんでもってこの姫君はネヴァだ」
     遊ばせても大丈夫そう、と互いに判断したクロードたちはパブロに水を買ってからリードを外しても構わないエリアへ移動した。犬同士で遊んでくれると楽でいい。遠慮なしに遊ぶ犬たちを眺めながらクロードたちは連絡先を交換してその日は解散した。なんとなく察したがどうやらお互いに締め切りがあり、自宅で作業する仕事についているらしい。次に会えたら何の仕事をしているのか教えてもらえるだろうか。
     二人とも車で公園まで来ていたが使っている駐車場が違った。正反対だな、と言って笑ってローレンツたちと解散できたことが何となく嬉しい。
     ローレンツと別れて東駐車場についたクロードは再びネヴァを後部座席のドアを開けた。心置きなく走り回れたおかげでいつもより疲れたのかぐずらず愛車に乗り込んでくれる。
     クロードの心は帰るつもりがない故郷からどうしても離れてくれない。本名を名乗ってすらいないのに車も犬も砂漠を自由に駆け回れるから、という理由で選んだ。



     ローレンツは木陰にとめたレーシンググリーンの愛車を見つけるとスマートキーでロックを解除した。両隣とも車が入れ替わっていると見つけるのに少し時間がかかってしまう。
     パブロが寂しがるのでローレンツは助手席にキャリーを設置していた。当然、固定可能でエアバッグが開いた時のこともきちんと考慮されている。もっとたくさん荷物が積める車にするか迷ったが里帰りはいつも車一択だ。それなら何よりも運転が楽しい車がいい。内装は全て犬の毛が目ただない明るい茶色の革にして寒い冬用にシートヒーターもつけた。パブロが車に酔わないことが飼い主としては本当にありがたい。
    「またここでネヴァと一緒に遊びたいかい?」
     パブロは嬉しそうに一声吠えた。犬は飼い主の表情を真似るので笑って見えることがある。今パブロが笑顔なのはきっとローレンツが笑顔を浮かべているからだろう。
     ローレンツはクロードから貰ったメモの写真をパブロのキャリーの上で撮った。早く登録した方がいいのは分かっている。だが楽しすぎて公園に長居してしまったので早く帰らねばならない。これで失くしてしまっても汚されても大丈夫なはずだ。
     ハンドルを握って家に向かっている最中に渋滞に巻き込まれてしまったが幸いなことにはしゃいで疲れたパブロは眠っている。正反対な自分たちがそっくりな犬を飼っているのは本当に面白い。
     帰宅後、待っているのが締め切りを破ったデザイナーの尻拭いだとしてもネヴァとクロードのことを考えていると気が紛れた。ローレンツは好きな詩人の名を愛犬につけたがクロードは違う。彼はヘブン、の逆さ言葉を迎え入れた愛犬につけたのだ。
    「頬髭を生やした男が可愛い名前を犬につけても様にならないだろ?」
     どうやらクロードは人懐こい割に照れ屋、かつひねくれ者らしい。
    「だが天国のように素晴らしい、という気持ちは分かるよ」
     緑に輝く芝生の上で飾り毛をなびかせながら自由気ままに走り回る犬たちは本当に美しく見ているだけで幸せになった。ローレンツはこの世の美しいものを愛している。自分の手で平面だったもの、が美しい立体になっていく喜びは何度味わっても良いものだ。
     だが打ってすぐに響くような感覚からは遠ざかっている。SNSで実況が出来れば少し違うのだろうが守秘義務があるのでそれは不可能だ。ローレンツは勿論、三年前に流行色を決めるようなところだと分かった上でファッション業界に飛び込んでいる。だからこそすぐに喜びを表してくれるパブロが本当に大切な存在なのだ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🎼🎼🎼
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    紅花ルートで戦死した記憶があるクロードと青獅子ルートで戦死した記憶があるローレンツの話です。
    2.振り出し・下
     士官学校の朝は早い。日の出と同時に起きて身支度をし訓練をする者たちがいるからだ。金鹿の学級ではラファエル、青獅子の学級ではフェリクス、黒鷲の学級ではカスパルが皆勤賞だろうか。ローレンツも朝食前に身体を動かすようにしているがその3人のように日の出と同時には起きない。

     ローレンツは桶に汲んでおいた水で顔を洗い口を濯いだ。早く他の学生たちに紛れて外の様子を見にいかねばならない。前日の自分がきちんと用意していたのであろう制服を身につけるとローレンツは扉を開けた。私服の外套に身を包んだシルヴァンが訓練服姿のフェリクスに必死で取り繕っている所に出くわす。

    「おはよう、フェリクスくん。朝から何を揉めているのだ?」
    「煩くしてすまなかった。単にこいつに呆れていただけだ」

     そう言うと親指で赤毛の幼馴染を指差しながらフェリクスは舌打ちをした。シルヴァンは朝帰りをディミトリや先生に言わないで欲しいと頼んでいたのだろう。

    「情熱的な夜を過ごしたのかね」

     呆れたようにローレンツが言うとシルヴァンは照れ臭そうに笑った。

    「愚かすぎる。今日は初めての野営訓練だろう」

     フェリ 2066

    111strokes111

    MAIKING「説明できない」
    青ロレ赤クロの話です。
    6.初戦・下

     クロードから自分たちを襲った盗賊の討伐が今節の課題だと告げられた皆は初陣だと言って沸き立っていた。金鹿の学級は騎士を目指す平民が目立つ学級で入学以前に領主の嫡子として盗賊討伐を体験している者はクロードとローレンツしかいないらしい。クロードはローレンツの印象よりはるかに慎重で毎日先行したセイロス騎士団がどの方面へ展開していったのか細かく記録をつけ皆に知らせていた。セイロス騎士団に追い込んでもらえるとはいえどこで戦うのかが気になっていたらしい。

     出撃当日、支度を整え大広間で待つ皆のところへベレトがやってきた時にはローレンツたちはどこで戦うのか既に分かっていた。

    「騎士団が敵を追い詰めたそうだね。場所はザナド……赤き谷と呼ばれている」

     そう言えばクロードはザナドが候補に上がって以来やたら彼の地についた異名の由来を気にしていた。赤土の土地なのか赤い花でも咲き乱れているのか。土地の異名や古名にはかつてそこで何があったのかが表されていることが多い。土地の環境によっては毒消しが必要になる場合もある。だが先行した騎士団によると特殊な条件は何もない、とのことだった。初陣の者た 2081