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    サユリ

    @yurika_tamago

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    サユリ

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    ポダポ。ポプとダくんがイモ食って笑ってる話。

    ##ポプダイポプ

    イモ食って笑え「ポップ、イモ焼けたよ!」
    「お、うまそーじゃん」
     枝の先に刺さったサツマイモがほわほわと湯気を立てている。ダイは、熱くて触れないでいるおれのイモをひょいと取って、ぱかりと割った。
    「はい」
    「ありがと」
     ダイの手で紙に包まれたイモを受け取る。紙に包まれた状態でも熱が伝わってきた。めっちゃ湯気出てんだけど、ダイは熱くないのか?手の皮が厚いんだろうか。
    「へへ、いただきまぁす!」
     ダイは早速、黄色い断面に、がぶりと齧り付いていた。おいし、と、呟いて、ほかほかのイモをほくほくの笑顔で食っている。ダイの口の端についたイモのかけらをすくって口に運んでやれば、ぺろっと食べて、「ありがと」って笑う。かわいい。ダイの頭をわしゃわしゃと撫でた。
     秋の風は少し冷たくて、夏の名残りを吹き飛ばしていく。空は青く高く、天候は穏やか。隣でかわいい恋人が、イモ食って笑ってる。
     なんでもない、ただの一日。
     でも、しあわせってきっとこういうことで。おれたちは、きっとこういうのを守りたかったんだ。
     
     枯れ葉の山に放り込んだイモを、ふたりですっかり食べ尽くしてしまった。ほくほくと甘い焼きイモが詰まった腹を撫でながら、ダイが満足げに息を吐いた。
    「おいしかったなぁ」
    「次は栗でも焼くかぁ」
    「くり!いいね!」
     ダイがキラキラと目を輝かせる。さっきまでイモに夢中だったくせに、現金なやつ!腹から笑いが込み上げてきた。
    「はは!ほどほどに食えよ!栗が森から消えねえ程度にな」
    「そんなことしないよ!」
    「どーだか!食いしん坊のダイくんだからなー?」
    「ポップ!」
    「あはは!」
     ぶすくれたダイの頬を突くと、ぷすーっと空気が抜ける。戦いが終わってから、やっと戻ってきた子供らしい顔が、なんだかとても愛おしくて、頬にひとつ口づけを贈った。
     なんでもない、穏やかな一日。
     それが、ほんとうに愛おしくて、たまらなかった。
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    Replies from the creator

    サユリ

    DONEポダポ。はじめてのちゅーはレモン味がするとかしないとかいう話
    レモン味 ふたりっきりの部屋の中、ベッドの上で、はじめてキスをした。ちゅ、って軽い音がして、ポップのくちびるが離れる。ポップが頭を撫でてくれるから、その手に懐きながら口を開いた。
    「すっぱくないね」
    「うん?」
    「はじめてのキスって、レモンの味がするんだろ? でも、すっぱくなかった」
     首を傾げたおれに、ポップが笑いだす。
    「たとえだよ、たとえ。実際には味しなかったろ」
    「うん。ポップのにおいがしただけだった」
    「……くさいんか、おれは」
    「ちがうよー。おまえのにおい、おれは好き」
     そっと離れようとするポップに、ぎゅっと抱きつく。
    「いちばん近くにいけるから、いっぱいにおいするんだよ」
     ちょっと上の方にあるポップの顔に近づいて、頬を包んで、ちゅっとキスをした。ふに、って唇が柔らかいのを感じながら、すぅっと息を吸い込んだ。ポップのにおいが頭の中をぐるぐるする。ふらりと傾いだおれの頭を、ポップの手が支えてくれた。するすると髪を撫でてくれる手は大きくて、息ができなくて、はふ、と、唇を離す。それでもポップから離れがたくて、息が掛かるような近さで抱き合ったまま口火を切った。
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