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    葵 捺揆

    探囚のメモ的なものを放り投げてます

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    POIPOI 16

    葵 捺揆

    TRAININGててごVAL組。お昼寝。陽の光が降り注ぐ庭へと足を動かし、木陰でウィックのブラッシングをするビクターを見つけたルカはおぉい、と声をかけた。
    「ビクター、アンドルーを見なかったかい?」
     ルカの声に顔を上げたビクターは柔らかく笑って自分の後ろを指さして示す。
     ビクターに重なるように隠れてアンドルーは眠っていた。木の幹が太いこともあるが、足を抱え込んで小さく丸くなったアンドルーはルカがやってきた方向からは完全に隠れていた。
    「よくまぁ、こんなに小さくなって眠れるもんだね。……何かあったのかな?」
    『他の方と上手くお話ができなくて落ち込んでしまったみたいです』
    「そうかそうか」
     言ってビクターとアンドルーの間に腰を下ろしてアンドルーを引き寄せる。目を覚まさないのを確認してルカも幹に身体を預けた。ビクターの膝で大人しくしているウィックに手を伸ばして顎の下を優しく掻くと、もっとしろとウィックが強請ってきて二人してくすくすと笑ってしまった。
     耳を澄まさないと聞こえてこないほど静かな呼吸で眠るアンドルーに釣られてじわじわと眠気が込み上げる。眠気に逆らわずぼんやりとしていたらブラッシングの手を止めたビクターがルカを見て 758

    葵 捺揆

    MEMOててご探囚。
    しぶに出したクズ㌧とうっかりクズ㌧に惚れちゃったルカくんのその後の話。
    intimo(親密な)


     ノートンはクズの割に顔がいい。ケロイドがあることを差し引いても顔がいい。顔がいい上に着ているものも上質で似合っているので街を歩くと女の子からのお誘いが多い。
    「お兄さんたち、暇? カラオケとか行かない?」
     から始まってルカが離れていてもぐいぐい釣れる。むしろ離れている方が釣れる。
    「ねぇ、お兄さん。一人なの? お茶でもどう?」
     とルカにまで声をかけられたのは驚いた。たぶん、デートの時はノートンのコーデでいいものを着ているからだと思う。
    「ごめんねー、連れがいるからさ」
     と言うとルカの場合はあっさり引いてくれるのだがノートンだとじゃあその人も一緒に、と割と強引だ。
     上玉の匂いでも出てるんじゃないかと言うくらい入れ食いで静かに歩けた試しがない。
    「お前と一緒に出かけると漁をしてる気分になるわ」
    「酷い言い草だな」
    「お前の顔に釣られて女の子からぐいぐい寄ってくるんだぞ? 漁だろ」
    「俺にはルカがいるから。心配しなくてもよそ見なんかしないよ?」
     ノートンが色気たっぷりにルカを見るけれど、ルカはあっけらかんと返した。
    「あ、うん。それは心配してない」
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