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    takami180

    @takami180
    ご覧いただきありがとうございます。
    曦澄のみです。

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    雨の夜にばったり出くわして一線越えちゃう傷の舐め合い曦澄の話なんですが。澄は曦に押し倒されたことに驚きつつも、この人ならまあいいか、と許してしまう、の続き。(小説じゃないです)

    #曦澄

    江澄は必死で首筋に吸いつく藍曦臣に、この人はきっとさみしいのだ、となぜかしんみりしてしまう。
    同じなのだ、この人と俺は。
    ろくに手順も踏まず、入れられたあとも、痛くて苦しくてつらいのに、自分の上で「江澄、江澄」と一所懸命腰を振る様子を見てたらかわいそうになってしまって、文句もいわずに受け入れる。
    翌朝、目を覚ましてからは、ぼんやりしている藍曦臣に「昨日は満足できたか?」と聞く。
    「ええ、すばらしい夜でした」
    「それはよかった」
    これは慈善事業だ、と江澄は無理に笑顔を作る。
    たった一度のことだ。
    思い出にすればいい。
    そう思っていたのに、なぜか次には寒室に招かれて、そこで抱かれる。
    そうして月に一度か二度、藍曦臣に呼び出されては関係を持つという日々が続く。
    ところが、ある日、江澄は楼閣の中で藍曦臣を見かける。妓女を揚げる楼閣である。(双方仕事)
    それきり藍曦臣からの呼び出しはぱたりと途絶え、江澄はまたひとつ傷を増やす。
    そうだ、女の人の方がいいに決まっている。自分はお役御免になったのだ。
    この心は墓まで持っていく。誰に知られるでもなかったが、ただ少しだけでも触れ合えた記憶があれば生きていける。
    ところが藍曦臣はそうではなかった。楼閣で妓女に指摘されて、ようやく自分が江澄に情を抱いていることに気がついて、大混乱しているだけだった。
    しかも、自分からしか呼び出したことがない。さらには、江澄は最中に声を上げようとしない。
    これはいやがられているのではないか。
    三月はがんばってがまんするものの、清談会で顔を合わせたらもう辛抱できなかった。
    三月ぶりである。
    体を抱きしめただけで泣きたくなるほどにうれしい。
    反対に江澄は、抱きしめられただけで、しまい込んだはずの気持ちが出てきてしまって、どうにもならなくなる。
    「もう、やめてくれ」
    「なぜ、そのようなことを言うの。やっぱり私が無理を言っていたのかな」
    「そうだな。こんなこと、はじめるべきじゃなかったんだ」
    「あなたは少しもうれしくなかった?」
    「……ああ」
    「私のことは少しも好きではない?」
    「……そうだ」
    「今日が最後?」
    「……わかった。最後だな」
    からのすったもんだあって、最終的にはちゃんとくっつきます。(最後が雑)
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    PROGRESS恋綴3-2(旧続々長編曦澄)
    転んでもただでは起きない兄上
     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

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    PROGRESS恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
    月はまだ出ない夜
     一度、二度、三度と、触れ合うたびに口付けは深くなった。
     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
    1437

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    PROGRESS長編曦澄17
    兄上、頑丈(いったん終わり)
     江澄は目を剥いた。
     視線の先には牀榻に身を起こす、藍曦臣がいた。彼は背中を強打し、一昼夜寝たきりだったのに。
    「何をしている!」
     江澄は鋭い声を飛ばした。ずかずかと房室に入り、傍の小円卓に水差しを置いた。
    「晩吟……」
    「あなたは怪我人なんだぞ、勝手に動くな」
     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
    「よかった、あなたをお守りできて」
     藍曦臣は目を細めた。その拍子に目尻から涙が流れ落ちる。
     江澄は眉間にしわを寄せた。
    「おかげさまで、俺は無事だったが。しかし、あなたがそ 1337

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    PROGRESSたぶん長編になる曦澄その4
    兄上、川に浸けられる
     蓮花塢の夏は暑い。
     じりじりと照りつける日の下を馬で行きながら、藍曦臣は額に浮かんだ汗を拭った。抹額がしっとりと湿っている。
     前を行く江澄はしっかりと背筋を伸ばし、こちらを振り返る顔に暑さの影はない。
    「大丈夫か、藍曦臣」
    「ええ、大丈夫です」
    「こまめに水を飲めよ」
    「はい」
     一行は太陽がまだ西の空にあるうちに件の町に到着した。まずは江家の宿へと入る。
     江澄が師弟たちを労っている間、藍曦臣は冷茶で涼んだ。
     さすが江家の師弟は暑さに慣れており、誰一人として藍曦臣のようにぐったりとしている者はいない。
     その後、師弟を五人供にして、徒歩で川へと向かう。
     藍曦臣は古琴を背負って歩く。
     また、暑い。
     町を外れて西に少し行ったあたりで一行は足を止めた。
    「この辺りだ」
     藍曦臣は川を見た。たしかに川面を覆うように邪祟の気配が残る。しかし、流れは穏やかで異変は見られない。
    「藍宗主、頼みます」
    「分かりました」
     藍曦臣は川縁に座り、古琴を膝の上に置く。
     川に沿って、風が吹き抜けていく。
     一艘目の船頭は陳雨滴と言った。これは呼びかけても反応がなかった。二艘目の船頭も返答はな 2784

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    PROGRESS恋綴3-3(旧続々長編曦澄)
    うーさぎうさぎ(羨哥哥が出ます)
     藍曦臣の長い指が、江澄の頬をなでる。
     顎をくすぐり、のどぼとけをたどり、鎖骨の間をとおって、袷に指がかかる。
    「やめてくれ!」
     しかし、藍曦臣の手は止まらなかった。
     無常にも袷は開かれ、傷跡があらわになる。
     温氏につけられた傷は凹凸をつくり、肌をゆがめていた。
    「見るな!」
     江澄は両手で胸を隠したが、遅かった。
     藍曦臣の目が見開かれて、柳眉がひそめられる。
     汚らしい、と聞こえた気がした。

     江澄は飛び起きた。
     跳ねのけたらしい掛布が足元で丸まっている。
     ここは宿だ。姑蘇の宿である。
     江澄は清談会に出席するための旅の途中であった。
    (またか)
     長大なため息がもれた。
     同じような夢を見るのは何度目になるだろう。今日はもう雲深不知処に到着するというのに。
     胸に手を当てる。
     傷痕は変わらずにここにある。
     最後に藍曦臣と会った後、江澄はあらゆる傷薬を取り寄せた。古傷を消すような軟膏を求めて、文献をあさった。
     しかしながら、都合のいい薬種は見つからず、今に至る。
    「宗主、お目覚めですか」
     扉の向こう側から師弟の声がした。少々寝坊をしたか。
    「起きた。すぐに行く 2468