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    takami180

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    同意を得ずにうなじをかむ話 12

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    takami180

    PROGRESS恋綴3-1(旧続々長編曦澄)
    あのあとの話
    同じ轍を踏む兄上
     西瓜は口に入れた瞬間に甘い果汁があふれ出て、とてもおいしかった。
     食べ終わるのがもったいないほどだった。
     さて、食べ終えたからには顔を上げなければいけない。
     江澄はひとつ息を吐いて背筋を伸ばす。
     向かいには、ものすごく機嫌の良さそうな笑顔があった。
    「おいしかったですね」
    「そうだな」
    「今日は何時までいられるのですか」
    「いや、急なことだったから、もう帰ろうかと」
     途端に藍曦臣はうなだれた。彼のそんな顔は初めて見た。
    「それはしかたありませんね。どちらで宿を?」
    「ぎりぎりまで飛ぼうと思っていたから、決めていないが」
     江澄は腕を組んで、天井を見上げた。今からであれば、日が沈む頃には姑蘇を出られるだろう。
     明日には蓮花塢に戻らなければいけないが、それは夕刻でも問題ない。最悪、明後日の朝一番に戻れれば……
     そこまで考えて、江澄はうっすらと頬を染めた。そんなことを言えば無茶をするなと叱られるに決まっている。だが、考えてしまうくらいにはここを離れがたく思っている。
    「あー、あのな、曦臣」
    「はい」
    「今すぐに発たなければいけないわけではなくて」
    「そうなんですか」
    「もう少 3119

    newredwine

    REHABILI
    味覚を失った江澄が藍曦臣とリハビリする話(予定)②辿り着いた先は程々に栄えている様子の店構えで、藍曦臣の後について足を踏み入れた江澄は宿の主人に二階部分の人払いと口止めを命じた。階下は地元の者や商いで訪れた者が多いようで賑わっている。彼らの盛り上がりに水を刺さぬよう、せいぜい飲ませて正当な対価を得ろ、と口端を上げれば、宿の主人もからりと笑って心得たと頷いた。二家の師弟達にもそれぞれの部屋を用意し、酒や肴を並べ、一番奥の角の部屋を藍曦臣と江澄の為に素早く整え、深く一礼する。
    「御用がありましたらお声掛けください、それまでは控えさせていただきます」
    それだけ口にして戸を閉めた主人に、藍曦臣が微笑んだ。
    「物分かりの良い主人だね」
    江澄の吐いた血で汚れた衣を脱ぎ、常よりは軽装を纏っている藍曦臣が見慣れなくて、江澄は視線を逸らせた。卓に並んだ酒と肴は江澄にとって見慣れたものが多かったが、もとより藍氏の滞在を知らされていたからか、そのうちのいくつかは青菜を塩で炒めただけのものやあっさりと煮ただけの野菜が並べられていた。茶の瓶は素朴ではあるが手入れがされていて、配慮も行き届いている。確かに良い店だなと鼻を鳴らしながら江澄が卓の前に座ろうとすると、何故か藍曦臣にそれを制された。
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