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    takami180

    @takami180
    ご覧いただきありがとうございます。
    曦澄のみです。

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    takami180

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    恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
    月はまだ出ない夜

    #曦澄

     一度、二度、三度と、触れ合うたびに口付けは深くなった。
     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
    「こういうことはいやですか」
     江澄はなんとか声を出した。
    「いやじゃない」
    「私がこわいですか」
    「ちがう」
     藍曦臣は顔を上げて、至近距離で江澄を見つめた。
    「本当に? 私を気遣う必要はありません」
     疑われてもしかたがない。江澄には「本当だ」と言うほかにすべがなかった。
     藍曦臣に触れられると熱くなる。気持ちはさざなみだち落ち着かないが、求められているという事実は素直に嬉しい。
     藍曦臣は体を離して、江澄から距離をとった。思案するように手で口元を隠す。
    「もしかして、私に見られたくないのですか」
     江澄は息を飲んだ。ちがうと言えばよかったものを、とっさに返事ができなかった。
    「そうなのですね」
     藍曦臣の顔に笑みが戻る。
     彼は「よかった」とつぶやいて、江澄を抱きしめる。
    「本当はいやなのかと不安でした」
    「それは……、いやではないと、言った」
     たしかに江澄は否定したけれど、信じ切れるものではないのだろう。予想はつく。
    「江澄、こちらへ」
     藍曦臣は江澄の手を引いて、寒室の奥へと向かう。
     灯りもなく、月も出ていない夜の室内は闇深く、江澄はすぐ近くにいくまで気づかなかった。足を止めたときには目の前に牀榻があった。
    「藍渙?」
    「江澄、ここに」
     藍曦臣は牀榻の端に腰かけ、足の間を指し示した。
     そこに座れということらしい。
     江澄は恐る恐る腰を落とした。
    「ありがとう」
     礼の言葉とともに、腹の前に腕が回る。耳の後ろに口付けられて、小さく体が震えた。
    「これなら、見えないでしょう?」
    「え」
     江澄はぎくりとした。たしかにこの暗さで背後からならなにも見えない。
     藍曦臣の手は帯ひもにかかっている。
     江澄はその手を上から押さえた。
    「触れるだけです」
    「藍渙、それは」
    「やはり、だめですか」
    「いや……」
     ここで手を離したら自分はどうなるのだろう。もうすぐ亥の刻だと聞いてから、すでに大分経つ。きっと客坊には戻れない。そして、一晩を藍曦臣と過ごすことになる。
     それが江澄の躊躇を断ち切った。
     ひとつ大きく息を吸って、押さえていた手を離す。
    「江澄……」
     藍曦臣の指がひもを解く。彼は手のひらに銀鈴を転がすと、敷布の上にそっと置いた。
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     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

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    「江澄、あなたに触れたい」
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     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
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     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
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     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
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     残った問題は陣中央にどうやって誘い出すかである。
    「ならば、私が妖異を捕まえよう」
     ここでまさかの名乗りがあった。江澄である。
    「怪我してんのに何言ってんだ」
    「捕縛に紫電ほどうってつけの宝具はあるまい。縛仙網では破られるぞ。右腕は使えるのだから、紫電は扱える」
     誰もが江澄を止めようとした。だが、彼の言うことはもっともだった。
    「ほかに縄縛のできる宝 2255

    pk_3630

    MAIKING平安時代AUの曦×澄♀ ②
    今回は帝(主上)曦臣が女官の中から江澄♀を探し出します。
    ちょこちょこ続きを書いていこうと思っているのでお付き合いいただけると嬉しいです。
    平安時代の衣装や行事等そんなに知識なく書いているのでそのあたりはスルーしてください。
    平安時代AU 第2話「大変ですっ!主上がこちらに向かっていらっしゃいます」

    女官達が集まり、次の宮中行事の衣装を準備していた時だ。まだ年若い女官がばたばたと慌てて入ってきた。常なら大きな足音をさせてはしたないと叱るだろう古株の女官達も、主上のお出ましとあっては目を白黒させている。
    すぐに衣装を片付けるように指示が出たが、片づけ終わる間もなく主上が入室した。
    「忙しいところに急に来てしまって悪かったね。」
    「主上、とんでもないことでございます。御見苦しいところをお見せしてしまいました、お許しください。」
    女官達がひれ伏していると、皆顔をあげるようにと言われた。
    主上を間近で見ることなどそうないことであったため、皆が好奇心を抑えられずにそろそろと顔を上げる。後方に控えていた江澄も前の女官達にならって顔をあげると、驚いたことに主上がこちらをじっと見ていた。
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