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    takami180

    @takami180
    ご覧いただきありがとうございます。
    曦澄のみです。

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    takami180

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    恋綴4-11
    金丹とか、霊力とか、独自解釈含みます。

    #曦澄

     藍曦臣と安学逸と師兄の三人は厳しい表情で額を突き合わせていた。
     安学逸が昨晩のうちに臥室から見つけ出した呪織は十点にも上った。牀榻の帳子にはじまり、裁断されていて効力は失われていたものの、敷布や箱の貼布、壁掛けの一部にもなっていた。
    「上等な織物でしたから、家僕も宗主の房室にと使ったのでしょう」
     眉間のしわをもみながら師兄が言った。彼は今朝になって家僕から織物の行方を聞き出して、すべてかきあつめた。幸い、半分は反物のままだった。
    「一番大きな呪紋は帳子ですね。これはいったいどのような効果がありますか」
    「夢と現実を錯誤させる呪紋です」
    「ああ、やはり……」
     師兄が両手で顔を覆った。
    「呪織が霊力を少しずつ吸い上げて、どんどん寝ている時間が延びます。そのうちに主人は衰弱する」
    「まさに江宗主の状況通りですね」
    「しかし、妙なことです」
     安学逸が首をかしげつつ、藍曦臣と師兄を交互に見た。
    「どれも呪紋としては効力の薄い……、宗主ほどの修為があれば、影響を受けないようなものばかりなので」
    「たしかに」
     今度は藍曦臣に視線が集まる。
     言われてみればそのとおりであった。藍曦臣は江澄とともに同じ牀榻で休んでいたのだ。呪紋の効力が藍曦臣に及んでいてもおかしくないのに、今に至っても藍曦臣は正気だった。
    「なにか、宗主のお気持ちが異様に落ち込むようなことがあれば呪紋の蓄積に耐えきれない、ということもありますが」
     腕を組み、うなる二人とは対照的に、藍曦臣は愕然とした。
     早朝の、江澄の嘆きがよみがえる。
     彼にとどめを刺したのはまぎれもなく己であった。
     江澄は、藍曦臣が道侶を迎えるという噂を聞いて、呪織の効果に落ちたのだ。
    「どうしたものでしょう。宗主に戻っていただくにはなにをしたら」
    「とりあえず、呪織は取り除きましたので、ご様子を見られてはいかがでしょう。徐々に現実をご認識なさるかと」
     その間、江澄は藍曦臣のいない世界を現実として生きるのか。ずっとあんなに苦しむことになるのか。
    「私が、江宗主を戻します」
     とてもではないが、待てるものではなかった。
     江澄は藍曦臣の霊力は受け取っていた。ならば、ここが現実だとわかるだけのものを感じ取ってもらえれば。
    「なにか方法がありますか」
    「……明日まで、時間をください」
    「わかりました。おまかせします」
     陽はまだ高く、庭からは修士たちが修行に励む声が聞こえてくる。
     藍曦臣は客房に入ると、まず江家の家僕に頭を下げて、明日まで誰も近寄らないようにと願い出た。
     慌てふためいたのは家僕のほうである。彼らは「なにもかもおまかせします」と言って、私邸へと引き上げた。
     その上で藍曦臣はすべての戸を引き、結界を張った。
     臥室は薄闇に閉ざされる。
    「阿澄……」
     寝入っている江澄の頬をなでると、まぶたがぴくりと動いた。
    「阿澄、起きて」
    「ん……」
     江澄はぼんやりと藍曦臣を見た。
    「まだ、いてくれたのか」
    「いつまでもいますよ。私はここです」
     江澄は弱々しく笑いながら、ふと首をかしげた。藍曦臣の胸を押し返して体を起こし、辺りを見回す。
    「なんでまた、客房なんだ?」
    「今、あなたの房室は使えないんです」
    「なぜだ。なにかあったのか」
    「呪術が仕込まれていました。安全が確認できるまではこちらに」
    「夢なのに、おかしなことを言う」
     藍曦臣は江澄の手を握って、その目をのぞき込んだ。違和感があるのだろう。落ち着きなく、きょろきょろと周囲をうかがっている。
    「夢ではありませんよ。これは現実です」
    「は?」
    「私がここにいるのが現実なんです」
     江澄は眉根を寄せて、それから首を振った。
    「そんなわけがないだろう。あなたはもう俺には会いにこない」
    「いいえ、江澄。私はあなたに会いにきています」
    「道侶を迎えると聞いたぞ」
    「それはあなたのことです」
    「姑蘇藍氏は嘘を禁じていたな。今のうちに撤回しておけ」
    「嘘ではありませんし、撤回もいたしません。信じてください」
     江澄はそれを鼻で笑った。藍曦臣の手を払って、その拍子によろめいた。
    「阿澄っ」
     藍曦臣が肩を支えるが、それさえ身をよじっていやがった。
    「うるさい。信じられるか。もし本当だとしたら、あなた、雲深不知処はどうしたんだ。もう何日もここにいるだろう」
    「それでも、私はここに来ています。雲深不知処は叔父上と忘機が……」
    「ふざけるな! 宗主がそんなでどうする!」
    「……あなたは私を許さないかもしれません。ですが、あなたを放っておくことはできませんでした」
     藍曦臣はいやがる江澄の肩を押さえて、唇を合わせた。もろに噛みつかれて血がにじんだが、かまわずに霊気を送った。
    「んっ」
    「……わかるでしょう」
     江澄は呆然と藍曦臣を見上げている。
     半開きの口の端には血がついたままだ。
    「もし、今が夢だとしたら、私の気を感じることはできないはずです」
    「そうだが、しかし……」
    「もう一度、感じて」
     藍曦臣が唇を近づけると、今度は江澄も抵抗しなかった。
     血の味がする唇をなめてから、舌をすべり込ませる。気を集めて舌に乗せ、江澄の舌に塗りつけるようにしてからめてやる。
    「ん、ふ……」
     そのまま貪りたくなる気持ちをおさえて、藍曦臣は顔を離した。
     江澄はうるんだ瞳を揺らしている。
    「ねえ、阿澄。わかるでしょう」
    「……わかる」
     ところが、江澄はうなずきつつも「変だ」と訴えた。
    「あなたの言うことはわかる。でも、おかしい。それでも、ここは夢なんだ」
    「そう……」
     藍曦臣は江澄の体をそっと倒すと、みぞおちのあたりに手をかざした。金丹の気配はある。しかし、やけに希薄である。
     呪織に霊力を吸われすぎたのだ。
    「私の気を、あなたに送ります」
    「それはさっきやっただろう」
    「もっとたくさん送ります。だから、あなたは私の気と自分の気を練り合わせて、金丹を強くして」
     江澄は即座に首を振った。
    「……無理だ。あなたも知っているだろう。この金丹は俺のものではない」
    「できます」
     藍曦臣も負けずに断言した。
     姑蘇藍氏は嘘を言わない。嘘にしてはならない。
    「あなたは三毒を扱えているでしょう。金丹はすでにあなたのものです」
     江澄ははっと息を飲み、自分の腹に手を当てた。彼自身も自分の金丹が弱々しいことに気づいただろう。
     藍曦臣はその手を上から握りしめた。
    「私に手助けをさせてください」
    「どうやって」
    「あなたの深いところに気を送ります。私の気とあなたの気をよどみなく練るためには、体の中心にちかいほうがいいでしょう」
     蔵書閣には双修について些細を記した書物があった。
     藍曦臣は知識として取り込んだ内容を頭の中で大急ぎでよみがえらせた。今まで実践したいと思ったことはなかった。その必要もなかった。
     だが、片端から書物を読んでおいて、心から良かったと思う。
     江澄は見る間に顔を赤くすると、藍曦臣の視線から逃げるように顔を背けた。それから、小さく「頼む」と言った。
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    PROGRESS恋綴3-5(旧続々長編曦澄)
    月はまだ出ない夜
     一度、二度、三度と、触れ合うたびに口付けは深くなった。
     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
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     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
    1437

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    PROGRESS長編曦澄17
    兄上、頑丈(いったん終わり)
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    「晩吟……」
    「あなたは怪我人なんだぞ、勝手に動くな」
     かくいう江澄もまだ左手を吊ったままだ。負傷した者は他にもいたが、大怪我を負ったのは藍曦臣と江澄だけである。
     魏無羨と藍忘機は、二人を宿の二階から動かさないことを決めた。各世家の総意でもある。
     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
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     藍曦臣は目を細めた。その拍子に目尻から涙が流れ落ちる。
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    「おかげさまで、俺は無事だったが。しかし、あなたがそ 1337

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    PROGRESS恋綴3-2(旧続々長編曦澄)
    転んでもただでは起きない兄上
     その日は各々の牀榻で休んだ。
     締め切った帳子の向こう、衝立のさらに向こう側で藍曦臣は眠っている。
     暗闇の中で江澄は何度も寝返りを打った。
     いつかの夜も、藍曦臣が隣にいてくれればいいのに、と思った。せっかく同じ部屋に泊まっているのに、今晩も同じことを思う。
     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

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    DOODLEお題箱の「攻めがずっと強いガチャ」より
    澄にかぷかぷ甘噛みされる曦 澄を食べてしまう獣は自分の方なのにと思いながら曦は自由にさせている

    ちょっとずれたけど、出来上がってる曦澄です。
    かぷり、と耳を噛まれて藍曦臣は身を震わせた。
     先ほどまで隣で庭を見ていた江澄の顔がすぐ近くにある。
     瞳はつややかな飴の光沢を宿し、うっとりとした声が名を呼んだ。
    「藍渙」
     かぷり、ともう一度耳を噛まれる。
     藍曦臣は微笑して、江澄の腰に手を回した。
    「どうしました? 庭を見るのに飽きましたか」
    「ああ、飽きた。それよりも、あなたがおいしそうで」
    「おや、夕食が不足していましたか」
     江澄はふんと鼻を鳴らして、今度は衣の上から肩を噛む。
     予定よりも飲ませすぎたかもしれない。藍曦臣は転がる天子笑の壷を横目で見た。
     ひと月ぶりの逢瀬に、江澄はくっきりと隈を作ってやってきた。それも到着は昼頃と言っていたのに、彼が現れたのは夕刻になってからだった。
     忙しいところに無理をさせた、という罪悪感と、それでも会いにきてくれたという喜びが、藍曦臣の中で綾となっている。
     今晩はしっかりと寝んでもらおうと、いつもより多目の酒を出した。江澄には眠ってもらわなければいけない。そうでないと、休んでもらうどころの話ではなくなってしまう。
    「おいしいですか?」
     江澄は肩から顔を上げ、藍曦臣の豊かな髪を腕 1073

    sgm

    DONEプライベッターから移動。
    TLで見かけて可愛くて思わずつぶやいたカフェ曦澄の出会い編。
     その日、藍曦臣がその店に入ったのは偶然だった。
     一休みしようと、行きつけの喫茶店に足を向けたが、残念ながら臨時休業だった。そう言えば前回訪れた際に、店主が豆の買い付けのためにしばらく店を休むと言っていたことを思い出す。それがちょうど今月だった。休みならばまっすぐ家路につけばよかったのだが、喉が乾いていたのと、気分的にカフェインを摂取したくて仕方がなかった。ならば、と喫茶店を探しながら大通りを歩いたが、めぼしい店が見つからず、あったのはチェーン系のコーヒーショップだった。
     藍曦臣が外でコーヒーを飲むのは常に、注文を受けてから豆を挽き、サイフォンで淹れてくれる店で、チェーン系のコーヒーショップは今まで一度たりとも入ったことがなかった。存在そのものは知識として知ってはいるが、気にしたことがなかったため、今日初めてこの場所に、コーヒーショップが存在する事を認識した。
     戸惑いながらも店に足を踏み入れる。席はいくつか空いていたが、席へと誘導する店員はおらず、オーダーから受け取りまでをセルフで行い自分で空いている席へと座るのだと、店内を一瞥して理解した。
     あまり混んでいる時間帯ではないのか 3066

    不知火 螢。

    DONE以前、魔道祖師オンライン交流会5の展示作品の続きが一つ完成しました。
    謎時空の現パロで、藍曦臣がパティシエ、江澄が社畜してます。
    これから曦澄になる予定です。
    彼らがくっつくまでを書いていければと思っています。
    たくさん書けたらまとめてpixivでまとめます。
    作者がゼリーが好きなので、なんだか時間がかかってしまいましたが、楽しんでいただければ嬉しいです。
    めぐる綺羅箱*ゼリーの煌き
    忙しかった仕事も繁忙期が終わったことで落ち着いてきた。
    家に帰って冷蔵庫を開けたら、水と10秒チャージ系のゼリーしか入っていないことに気がつき、食べるものを調達しなければ何もできないことに気がついた。
    家の近くのスーパーに久しぶりに入った。
    なんとも言えないスーパーの寒さと、数の少なくなった野菜たち。
    ちらほらといる独り身であろう人。
    すぐに食べれるものをさがして惣菜コーナーに向かう。

    「あーーー。なんか肉。あと、酒買って行くか」
    ふらふらと歩いていたら、見覚えのある姿が見えた気がした。
    夜遅くだし、あの人ではないだろう。
    そう思って、酒を買いに行く。
    ジャックダニエルを手に取りつまみを探しに行く。
    途中、ゼリーが売っている場所を通った。
    4171

    sgm

    DONE江澄誕としてTwitterに上げていた江澄誕生日おめでとう話
    江澄誕 2021 藍曦臣が蓮花塢の岬に降り立つと蓮花塢周辺は祭りかのように賑わっていた。
     常日頃から活気に溢れ賑やかな場所ではあるのだが、至るところに店が出され山査子飴に飴細工。湯気を出す饅頭に甘豆羹。藍曦臣が食べたことのない物を売っている店もある。一体何の祝い事なのだろうか。今日訪ねると連絡を入れた時、江澄からは特に何も言われていない。忙しくないと良いのだけれどと思いながら周囲の景色を楽しみつつゆっくりと蓮花塢へと歩みを進めた。
     商人の一団が江氏への売り込みのためにか荷台に荷を積んだ馬車を曳いて大門を通っていくのが目に見えた。商人以外にも住民たちだろうか。何やら荷物を手に抱えて大門を通っていく。さらに藍曦臣の横を両手に花や果物を抱えた子どもたちと野菜が入った籠を口に銜えた犬が通りすぎて、やはり大門へと吸い込まれていった。きゃっきゃと随分楽しげな様子だ。駆けていく子どもたちの背を見送りながら彼らに続いてゆっくりと藍曦臣も大門を通った。大門の先、修練場には長蛇の列が出来ていた。先ほどの子どもたちもその列の最後尾に並んでいる。皆が皆、手に何かを抱えていた。列の先には江澄の姿が見える。江澄に手にしていたものを渡し一言二言会話をしてその場を立ち去るようだった。江澄は受け取った物を後ろに控えた門弟に渡し、門弟の隣に立っている主管は何やら帳簿を付けていた。
    5198