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    2024.02.07初出
    ひらいて赤ブー用SS
    𝐂𝐢𝐧𝐧𝐚𝐦𝐨𝐫𝐨𝐥𝐥とポムポム🍮のイラストがラベルについたカルピスを手に入れたので……

    凍てつく夜に凍てつく夜に

    「たっだいまー」
    気の抜けた、甘えたような声でドアをひょいひょいと潜りながら五条悟は恋人へ声を掛けた。
    内心、「あなたの家じゃないですけどね」と思いながらも、五条にとってこの家が彼の自宅と同じ位置づけになったのだと嬉しさが込み上げてくる。
    キッチンから顔を出し、
    「おかえりなさい。悟さん」
    とできるだけ優しい声で迎える。その声を聞いて、ヘラッと笑う彼は可愛い。リビングへ向かうかと思いきや、のそのそとキッチンへやってきて、後ろから抱きついてきた。
    「温かい飲み物を煎れてますから、リビングで待っていてもらえますか?」
    そう声を掛けるも、駄々っ子のように無言で頭を振って肩に額を擦りつけている。これは、定期的にやってくるあれか。
    恋人は青い春を共に過した、最初で最後の親友を自らの手にかけてから、時々こうなる。大抵は、疲労が引き金になるようだ。人外の最強にも人らしい部分が残っているのをこんなことでわかりたくはなかった。しかし、全ては起こってしまったこと。自分にできるのは、人外の最強の恋人という唯一無二の存在価値を行動で示していくことである。
    一旦、手を止めた七海建人は、手を洗い、正面から恋人を抱きしめた。
    背中に回した手で恋人の無事を感じ、満たされる。彼も同じように感じてくれていると良いが。
    「寒かったでしょう?こんなに冷えて。手を洗って、温かいリビングで待っていてください。あなたの好きな甘い飲み物ですよ。飲んだら入浴ですね」
    「お前も入る?」
    「一緒に入りましょう」
    「わかった」
    ようやく動き出した恋人の足取りは、心做しか軽くなったようだ。
    七海は本日手に入れた蜜柑味の乳酸菌飲料を耐熱グラスに入れ、やや冷めて飲み頃になったお湯を足した。下戸の五条が居酒屋でよく飲むこの飲み物をやや濃いめに作り、自分用のコーヒーと共にトレイに乗せてリビングへ向かった。
    温かい飲み物と自分の体温で恋人の凍てついた心も身体も溶かしてやりたいと望みながら。
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