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    すぺ2

    すぺ2という牛天垢です。Twitter上でタグとかで書かせていただいたのをまとめようかなーと思って作ってみました
    ゆるーくよろしくお願いいたします

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    すぺ2

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    紺(kon)さん @yakin1030 の可愛い、いちご妖精さんの絵にSSつけさせていただきました!ありがとうございます❤

    【はるになったら】

    監督という自分の肩書が特別顧問になった頃。俺は家に居る事が以前よりも少しだけ増えた。照乃は「せっかくいらっしゃるなら日向ぼっこでもなさったら?」と俺をわざわざ縁側に呼び出し、自分はよろよろと植木の世話をする。
    長年連れ合った連れ合いだ。俺が年を取ればこいつも同じように年を取る。数年前から少しずつ丸くなった背や遅くなったその動きを見て危なっかしいと思わざるを得ない。俺だって、よそ様から見たら五十歩百歩と言われるのかもしれない。だが、長年ガキどもの相手をするために心身共に健康を保つことを心がけてきた俺とは違い、ごく一般的な年の取り方をしているらしい照乃一人にそれなりの数のある植木を世話させるのがこの年になってやっと悪いかもしれないと思えるようになって来ていた。
    「今年は、綺麗なイチゴが出来そうよ?」
    小さな植木鉢に植えられた小さな植物にちょろちょろと照乃が水をくれている。その葉の間に、白い小さな花と小さな果実のようなものがいくつか付いているのが見て取れた。形は確かにイチゴのようだが、食卓に出される物を考えると、かなり小ぶりに思えた。
    「そりゃぁ、食えんのか?」
    「これは無理ですねぇ。色も形も綺麗ですけど、食べるには小さいし、多分、酸っぱいと思いますよ?」
    「そういうもんか」
    「そういうもんなんです」
    鍛治さんも、少しは園芸に興味が湧きました? 柔らかに笑う連れ合いは、いつでも春の匂いがする。春生まれですから、といつか言われた気がしたが、この連れ合いの誕生日というやつをこれまでにちゃんと祝ってやれた記憶が俺にはない。
    俺にとっての春は、いつだって目まぐるしい。手塩にかけたガキどもが旅立ち、丹精込めて育ててきた次の世代が芽吹く。途中で自滅する奴もいる。思いがけない才能を発揮する奴もいる。予想以上に身長が伸びない奴もいる。春は、それらを選定し、夏の本格始動に向けて策を練る時期だ。1年で最も頭を、気力を使う季節。
    人生の大半を連れ合う照乃は、それも含めて俺の妻としてやって来てくれた。だから、今まで一度も文句の一つも言われなかったけれど。
    「今年ぐれぇは、なんかしてやるか?」
    照乃が買い物に出かけている間に、カレンダーを見上げる。気付けば、3月も終わりに差し掛かっている。来月下旬が照乃の誕生日だと聞いていた。
    今日の日付に丸印が付いているのに首を傾げる。小さく23時、の文字も書かれている。
    ガラガラ、と玄関の戸が開閉される音がする。のっそりと立ち上がり、玄関に向かえば、両脇に布バッグを置いた照乃が上がり框で靴を脱いでいる所だった。布バッグいっぱいに入ったネギやら肉やらを黙って取り上げ、台所に持っていく。
    「あらあら。鍛治さん。ありがとうございます」
    「いいからおめぇは手でも洗って来い」
    「そうですね。今日はお野菜が安かったからちょっと買い過ぎてしまいました」
    軽く足を擦る様な足音で照乃が洗面所に引っ込む。台所に運んだはいいが、それらの物をどこにどうやって置いておくのが正しいのか解らず、取り合えず冷蔵庫に突っ込んでおいた。冷えていて悪くなるもんはねぇが、暖かく保たれている室内に放置するのは良くないような気がした。
    手を洗ってきた照乃が、買い物カバンの行方を訊ねてきたので軽く顎をしゃくって冷蔵庫を示したら、また「あらあら」と笑っていた。
    「おめぇ、今日の夜、なんかあんだべや?」
    「あら。鍛治さん、忘れてらっしゃるの? 今日は教え子さんがテレビに出るって言ってたじゃない?」
    冷蔵庫から引っ張り出したカバンを開け、野菜を冷蔵庫の足元の引き出し部分に、肉や魚を冷蔵庫の奥の蓋の付いている部分に入れながら、照乃が答える。最後に布バッグを丁寧に折り畳み、野菜と共に冷蔵庫に入っていたらしいガマ口の財布を小さな手提げカバンに入れ直していた。
    「あの、バレー続けてる凄い子じゃなくて、海外に行っちゃった子。お菓子屋さんになって有名になったらしいっておっしゃってましたよ?」
    「あぁ……。そんなん、わざわざあのカレンダーに書いとくことねぇべや」
    「私も見てみたいですもの。ちょっと遅い時間ですけど。ちょうど、今日、鍛治さんお休みですし」
    今まで日曜日がお休みなんてほとんどありませんでしたもんね、と呟きながらのんびりと前掛けを着け始めた照乃は、どうやらもう夕飯の支度を始めるつもりらしい。若い頃からそうだが、この連れ合いは、大変よく働いてくれる。少しくらい休めばいいのにと思うことは時折あったが、それを上手く口に出せたことが無かった。
    料理は全く手伝えないので、また居間に戻り、見るともなしにテレビの横の棚を眺める。そこには、過去の教え子どもの試合風景を撮っておいたいくつかのビデオやらDVDが収めてある。
    先程、照乃が言っていたのは天童覚の事だろう。そういえば、あの、騒がしかった元教え子から手紙が来たのが約1か月前だったはずだ。テレビに出るので、もしよければ見てください、とあの騒がしい印象のガキにしては丁寧な字と文面に拍子抜けしたのを思い出す。
    もちろん、あのDVDの中に覚の出ていた試合の物もあるだろう。しかも、あの棚の比較的取り出しやすい場所に置かれているはずだ。なにせ、チームメイトの若利が有名人になったおかげで、何回か取材協力の依頼が来た。今年のオリンピック代表選手が2月に決まった時も高校時代の一番良かった試合の映像を借りれないかと相談された。
    考えてみれば、あの、若利のいる世代で春高を逃したことは、俺にとって大きな人生の分岐点だったかもしれない。あの時、もし、やりきっていたら。きっと俺は満足してしまい、もっと早くに監督業を去っていたかもしれない。
    何本か引っ張り出した映像を見ながら、そんなことを考えていると、何か小さな生き物が胡坐をかいた膝の上にちょこんと座った気がした。
    「おじいちゃん、この赤い髪の人、俺に似てんね?」
    聴き慣れない高音の小さな声を掻き消すように、録画映像がわっと湧き立つ。覚があの、独特なブロックでドシャットを決めた所だった。テレビの中では天童コールで盛り上がっている。
    そのテレビを指さし、俺を見上げているのは、掌に乗りそうな小さな人間の様な形をした生き物だ。2匹、並んで俺の膝の上に座ってテレビを熱心に見ている。
    ただ、本当に生き物と称して良いのか迷うところは、その頭である。どう見てもイチゴなのだ。昼に見たまだ白い小さなイチゴの様な頭に、顔が付いている。そして、その顔はそのイチゴ頭の生き物が言うように、画面の中の天童覚にそっくりなのである。
    「あの大きい人は、いっ君に似てるヨ」
    そのイチゴ頭が次に指さしたのはテレビに映る、牛島若利であった。もちろん、俺が持っている映像なので高校生の頃のものだ。その若利と確かに似た顔をしているイチゴ頭は、覚に似たイチゴ頭の言葉にゆるりと首を横に振っていた。
    「似ていない」
    「似てるって~!」
    似ている、似ていないと互いの主張を永遠に言い続けそうだったイチゴ頭2匹を上から覗き込む。その声や喋り方さえ覚や若利に似ている様に思えて来てしまい、思わず自分の目を擦り、頬をひっぱたき、耳の穴をほじってみた。
    しかし、膝の上ではくだらないやり取りが永遠と続くばかりで何の変化もない。
    「おい、おめぇら、どっから入って来た?」
    ひとまず、虫の類では無さそうだが、何かやらかされては困るとその首根っこを掴んでみる。ひょいっと持ち上げると、覚に似たイチゴはバタバタと暴れて逃げようとした。勿論、逃がしはしないが。
    「どっからって、俺らずっといたヨ!? なに? おじいちゃん、急に俺ら見える様になっちゃったの!?」
    「おじいちゃんじゃねぇ。俺には鷲匠鍛治って名前があるんだ」
    「わかったよ。鍛治君。イーから離してよ! クビ、苦しい!」
    大人しく摘ままれている若利に似たイチゴ頭はうんともすんとも言わない。しかも、顔色一つ変えずにじっと俺の方を見ているのだ。この静かさと賑やかさ。こんなにもあの二人そっくりな謎の生物がこんな日に現れるとは、どういった経緯なのか?
    言われた通り、2匹を離してやる。まだ出しっぱなしだったコタツの上にちょこんと座った2匹は暫く俺の表情を伺っていた。テレビは止めようという気さえ起きず、流しっぱなしだ。
    「よりによって、なんで鍛治君が見える様になンの? 今までお世話してくれてたの、あっちのおばあちゃんだったジャン?」
    覚に似たイチゴ頭が指さしたのは、何も知らずにゆっくりと夕飯を作る照乃の背中だった。
    「んなの俺だってわかんねぇよ。おめぇら、何なんだ?」
    「ん~? 要するにネ、俺ら、鍛治君たちが育ててるお庭のイチゴの精なんだ」
    「は?」
    「植物はみんな俺らみたいにナンとかの精っていうのが居るんだヨ。普通の人間には見えないケド」
    ね、と覚に似たイチゴが隣の若利に似たイチゴに同意を求める。若利に似たイチゴが、こくりと小さく頷いた。
    「鍛治君、もしかして、今、何か悩み事ある? 迷ってる人間は魂が揺れやすいから、俺らみたいなのが見えやすいンだヨ?」
    「そんなもん……」
    あるわけねぇべや、と返しかけ、しかし、思わず口をつぐんでしまった。そうか。確かに、昼に照乃の誕生日だのを祝うだのと考えていたかもしれない。しかし、そんな些細な悩みでこんなおかしな生き物が見える様になるものだろうか?
    「そっか~、鍛治君、照乃ちゃんのこと、大好きなんだネ!」
    「人の心を勝手に読むのは良くない」
    「なんだよ~、いっ君も読んだからソレ、言ってんジャンか~」
    「読んでない」
    そこからまたそのイチゴ頭どもの言い争いが始りそうだったので、間に手を差し入れて遮る。ぎゃいぎゃいと文句を言う覚に似たイチゴと、静かに俺を見上げる若利に似たイチゴは、本当にその居ずまいさえ似通っている。
    「鍛治君、メンドーだから、俺らのことその『サトリ』とか『ワカトシ』って呼んでイーよ? 似てるんデしょ?」
    俺も似てると思う、とサトリが立ち上がり、もう一度テレビの方を見る。今度は俺が映り、監督、と周りから呼ばれている場面だった。
    と、照乃が振り返る。それに気づいた途端、サトリとワカトシがピタッと動きを止めた。
    「鍛治さん、なにかおっしゃいました?」
    「……いや、大丈夫だ」
    「まだもうちょっとかかりそうなんで、もし、お酒飲まれるなら、言って下さい」
    「いや、今はいい……」
    そうですか、と照乃がまた調理に戻ると、ふぅ、と小さな溜息の音が2つ聴こえてきていた。
    「やっぱり、照乃ちゃんには見えてないみたいだネ?」
    「そのようだな」
    サトリとワカトシがその小さな眉をそれぞれ僅かにだけㇵの字にしていた。ついさっきまで飛び跳ねる様に元気だったサトリの動きが突然、静かになる。
    「ちょっと残念。照乃ちゃん、俺らに凄く親切だからお礼言いたかったノニ……」
    ごろん、とコタツの上で寝転ぶサトリは、遠い昔、夏バテして吐きそうになっていた覚を思い起こさせた。もし本当にこの小さな生き物たちがイチゴの精という空想的な生き物だったとして、なぜ、縁もゆかりもない覚や若利とこんなにも似ているのか。今度は自分の頬をつねってみたが、ただ痛いだけで状況は全く変わる気配を見せていなかった。
    「お礼を言いたいならば、監督に伝えてもらえばいい」
    ワカトシが静かに告げると、サトリがばね仕掛けの玩具の様にぴょんっと勢いよく飛び跳ね、そして、仁王立ちで着地する。その表情はさっきまでとはうって変わり、キラキラと瞳を輝かせていた。
    「ワカトシ君、それ、天才! あ。ってか、もしかして、俺らのお願いと鍛治君のお願いがシンクロしたから俺ら、お喋り出来てンの?」
    「ありえそうだな」
    「ウヒョ~! マジか!? 鍛治君、照乃ちゃんの誕生日、俺らの分もメイッパイお祝いしてあげてヨ!」
    「俺からも、お願いいします」
    ぴょんぴょん飛び跳ねるサトリの横で、ピシッと頭を下げるワカトシは何度も見た光景の様な気がした。頭のイチゴと、そのやや幼い顔立ち、頭の上からそれらを見下ろすというシチュエーションについては今まで経験したことが無かったが。
    「俺らも、チョード照乃ちゃんの誕生日の頃に熟すと思うカラ! それマデに、一緒に照乃ちゃんにどんな誕生日してあげるがイーか考えヨーね! 鍛治君!」
    ぴょんっと飛び跳ねたサトリが、俺の手に飛びついて無理やり指を一本引っ張り出してぶんぶん振っていた。どうやらそれはテレビの中の選手たちが互いに握手を交わしている様を真似ているらしい。試合に負けても涙1つ見せない画面の中の若利と覚は、気高い生き物に見えた。
    対して、この、小さな生き物は。
    こんな奇妙な生き物2匹の助けを借りなくたって、と思う自分と、何十年と共に過ごしながら、照乃の好きなものの一つも思い浮かばない自分が確かに居て。
    もし、これが自分のボケたゆえの白昼夢だったとしても。まぁ、付き合ってやってもバチは当たんねぇべ、と思うくらいには、天童覚と牛島若利という元教え子達が自分にとっても忘れがたい存在だったのだとその時しみじみ思っていた。
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    すぺ2

    DOODLE若利くんお誕生日に思いついたネタなんですが、なんか、薄暗い…?いや。めっちゃハートフルハッピーエンドのつもりで書きました。
    新書メーカー背景付きで投稿しましたが、なんか読みにくかったので
    Dear… 牛島家にはいつからかサンタが夏にやって来る。
     ある日の夕方、牛島若利がバレークラブから帰ってくると、玄関に両手で抱える程度のダンボール箱が置かれていた。差出人の名はなく、『若利へ』という右上がりのメモが貼られている。
     玄関まで出迎えに来てくれた母を見上げると、母は若利に小さく頷く。
    「季節外れですが、サンタさんが来ました。若利にだそうです。手を洗ったら開けてみなさい」
     何の疑問を感じないのか、若利はただ素直にこくりと頷く。そぉっとそのダンボール箱を持ち上げると、大きさの割には軽く感じられた。
     中身がなにかさえも分からないので、若利はそれを慎重に持ち運び、洗面台の足元にそっと置く。それからいつものように固形石鹸を丁寧に泡立て、爪の中まで丁寧に洗った。いつでも乾いた清潔な物がかけられているタオル掛けのタオルで丁寧に指先までしっかりと水分を拭き取ってから、もう一度若利はダンボールを抱えて居間に向かう。
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    すぺ2

    TRAININGかさねさん(@kasanedane22)の素敵絵にss付けさせていただきました!元絵が本当に!!可愛いのにえっちいのでぜひ見てください!!!
    絵も小説も描ける&書けるかさねさんに私ごときが書くの本当に恥ずかしいですが!!!恥を忍んで書きました!
    【きみは、ぼくのおきにいり】

    天童覚は変わっている。

    「ブロックは読みと勘だヨ~」
    今では珍しいゲスブロックを得意とするMB、ひょろりと伸びた手足、異様に青白い肌、それに対比する様に真っ赤な逆立てられた髪。普段は猫背な彼も、ひとたびコートに入り、ブロックに跳べば、その背はにょきりと伸び、ゴム製で出来たおもちゃのようにしなやかな手指が相手からの攻撃を叩き落としてしまう。
    初めて牛島若利がその独特なブロックを見た時。今まで見た数々のブロッカーと異なるその「叩き落とす」技術に釘付けになった。牛島の父が繰り返し話していた言葉を思い出す。
    「強いチームに行けば、強いやつ、面白いやつに会える」
    白鳥沢バレー部はどこからどう見ても強いチームだった。だからこそ、この、一味も二味も変わったゲスブロッカーに出会えた。
    ——お父さん。やっぱり、このチームは、強い——。
    自分が一番の変わり者とされていて、そのチームで最も強いと思われているとは気づきもしない牛島は、天童をはじめ、数々と集まるメンバーを見てそう感じていた。

    「若利く~ぅん!」
    間延びしたイントネーションで天童がそう呼ぶ時、牛島はただ、静かに 1326

    すぺ2

    TRAINING亜歳さん(@asai_oekaki)のかわいい牛天ワシの絵に付けさせていただきました!元絵がすごくかわいいので!!!ぜひ見に行ってください!!【にひきのわしのうしてん】

    「ワカトシくん、ワカトシくん」
    テンドウワシが ぴょこぴょこと あかいかざりばねを ゆらしながらワカトシワシのまわりを ちょこちょこあるきます。
    「はしのむこうに、おいしいきのみがいっぱいあるんだって! いこうよ!」
    「はしのむこう?」
    ワカトシワシがみどりのかざりばねをゆらして ちいさくくぶをかしげます。
    「あのトロルのいるはしのむこうか?」
    「そーそー!」
    テンドウワシが そのまっしろなつばさをひろげます。よくみれば、そのつばさは ひかりにすけてうすむらさきいろに みえます。
    「このまえまでとなりのもりにすんでた ことりのおやこがたべられちゃったってきいたけど たぶん、おれらはだいじょうぶ」
    ふふん、ととくいげにテンドウワシはその するどいくちばしをみせびらかします。ワカトシワシは なにかをかんがえていました。
    となりのもりの ことりのおやこは テンドウワシとウシワカワシがこのもりに すみはじめたとき、となりのもりの きれいなみずばを おしえてくれたしんせつな おやこでした。
    「わかった。ほんとうにトロルがあのおやこをたべたなら おれたちはいくべきだろ 705

    すぺ2

    MOURNING栗原さん(@kuri_usiten)に大変仲良くしていただきまして!ありがたいです!!
    そんな中で、素敵絵をいただいて、それに小説付けさせていただくというものをやらせていただけたので&公開許可をいただきましたので、自慢という名の公開をさせていただきます!!いいだろ!!!
    おとぎ話パロです。
    栗原さんの素敵な絵付きのものは支部にあります(https://www.pixiv.net/artworks)
    【はだかのおうじさま】

    その国はとても美しい国でありました。人々は幸福そうに微笑み、動物たちも穏やかに過ごせる緑に溢れ、美しい空と清涼な川と湖がその領地にありました。

    そこにやってきたのが1人の赤毛の男です。正確に言うなれば、彼は男と言うにはやや幼い顔立ちをしていました。年としては10代後半といったところでしょうか? ギョロリとした白目の多い大きな目は彼を幼くも奇妙にも見せております。ただ、その長身をひしゃげるように曲げて歩く様は老人のようでした。
    彼は、ヒョロリと長い手足をブラつかせながら質素な身なりで現れました。背中には大きな木箱を背負っております。ずっしりと重そうなそれのせいで少年は背中を丸めて歩いているのかもしれませんでした。

    「王子様の17歳のお祝いに参りまシた」
    その国の真ん中の少し小高い丘、その上に質素なお城がありました。赤毛の少年はそのお城の門の前で門番の少年にそう告げておりました。太眉の門番はその特徴的な眉をㇵの字にして赤毛の少年をマジマジと眺めます。
    「えっと、祝賀会はまだ先で……」
    「分かっていマス。ですので、その、祝賀会に見合う服を仕立てるために参りまシた 9238

    recommended works

    すぺ2

    DOODLE若利くんお誕生日に思いついたネタなんですが、なんか、薄暗い…?いや。めっちゃハートフルハッピーエンドのつもりで書きました。
    新書メーカー背景付きで投稿しましたが、なんか読みにくかったので
    Dear… 牛島家にはいつからかサンタが夏にやって来る。
     ある日の夕方、牛島若利がバレークラブから帰ってくると、玄関に両手で抱える程度のダンボール箱が置かれていた。差出人の名はなく、『若利へ』という右上がりのメモが貼られている。
     玄関まで出迎えに来てくれた母を見上げると、母は若利に小さく頷く。
    「季節外れですが、サンタさんが来ました。若利にだそうです。手を洗ったら開けてみなさい」
     何の疑問を感じないのか、若利はただ素直にこくりと頷く。そぉっとそのダンボール箱を持ち上げると、大きさの割には軽く感じられた。
     中身がなにかさえも分からないので、若利はそれを慎重に持ち運び、洗面台の足元にそっと置く。それからいつものように固形石鹸を丁寧に泡立て、爪の中まで丁寧に洗った。いつでも乾いた清潔な物がかけられているタオル掛けのタオルで丁寧に指先までしっかりと水分を拭き取ってから、もう一度若利はダンボールを抱えて居間に向かう。
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