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    すぺ2

    すぺ2という牛天垢です。Twitter上でタグとかで書かせていただいたのをまとめようかなーと思って作ってみました
    ゆるーくよろしくお願いいたします

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    すぺ2

    DOODLE若利くんお誕生日に思いついたネタなんですが、なんか、薄暗い…?いや。めっちゃハートフルハッピーエンドのつもりで書きました。
    新書メーカー背景付きで投稿しましたが、なんか読みにくかったので
    Dear… 牛島家にはいつからかサンタが夏にやって来る。
     ある日の夕方、牛島若利がバレークラブから帰ってくると、玄関に両手で抱える程度のダンボール箱が置かれていた。差出人の名はなく、『若利へ』という右上がりのメモが貼られている。
     玄関まで出迎えに来てくれた母を見上げると、母は若利に小さく頷く。
    「季節外れですが、サンタさんが来ました。若利にだそうです。手を洗ったら開けてみなさい」
     何の疑問を感じないのか、若利はただ素直にこくりと頷く。そぉっとそのダンボール箱を持ち上げると、大きさの割には軽く感じられた。
     中身がなにかさえも分からないので、若利はそれを慎重に持ち運び、洗面台の足元にそっと置く。それからいつものように固形石鹸を丁寧に泡立て、爪の中まで丁寧に洗った。いつでも乾いた清潔な物がかけられているタオル掛けのタオルで丁寧に指先までしっかりと水分を拭き取ってから、もう一度若利はダンボールを抱えて居間に向かう。
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    すぺ2

    TRAININGかさねさん(@kasanedane22)の素敵絵にss付けさせていただきました!元絵が本当に!!可愛いのにえっちいのでぜひ見てください!!!
    絵も小説も描ける&書けるかさねさんに私ごときが書くの本当に恥ずかしいですが!!!恥を忍んで書きました!
    【きみは、ぼくのおきにいり】

    天童覚は変わっている。

    「ブロックは読みと勘だヨ~」
    今では珍しいゲスブロックを得意とするMB、ひょろりと伸びた手足、異様に青白い肌、それに対比する様に真っ赤な逆立てられた髪。普段は猫背な彼も、ひとたびコートに入り、ブロックに跳べば、その背はにょきりと伸び、ゴム製で出来たおもちゃのようにしなやかな手指が相手からの攻撃を叩き落としてしまう。
    初めて牛島若利がその独特なブロックを見た時。今まで見た数々のブロッカーと異なるその「叩き落とす」技術に釘付けになった。牛島の父が繰り返し話していた言葉を思い出す。
    「強いチームに行けば、強いやつ、面白いやつに会える」
    白鳥沢バレー部はどこからどう見ても強いチームだった。だからこそ、この、一味も二味も変わったゲスブロッカーに出会えた。
    ——お父さん。やっぱり、このチームは、強い——。
    自分が一番の変わり者とされていて、そのチームで最も強いと思われているとは気づきもしない牛島は、天童をはじめ、数々と集まるメンバーを見てそう感じていた。

    「若利く~ぅん!」
    間延びしたイントネーションで天童がそう呼ぶ時、牛島はただ、静かに 1326

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    TRAINING亜歳さん(@asai_oekaki)のかわいい牛天ワシの絵に付けさせていただきました!元絵がすごくかわいいので!!!ぜひ見に行ってください!!【にひきのわしのうしてん】

    「ワカトシくん、ワカトシくん」
    テンドウワシが ぴょこぴょこと あかいかざりばねを ゆらしながらワカトシワシのまわりを ちょこちょこあるきます。
    「はしのむこうに、おいしいきのみがいっぱいあるんだって! いこうよ!」
    「はしのむこう?」
    ワカトシワシがみどりのかざりばねをゆらして ちいさくくぶをかしげます。
    「あのトロルのいるはしのむこうか?」
    「そーそー!」
    テンドウワシが そのまっしろなつばさをひろげます。よくみれば、そのつばさは ひかりにすけてうすむらさきいろに みえます。
    「このまえまでとなりのもりにすんでた ことりのおやこがたべられちゃったってきいたけど たぶん、おれらはだいじょうぶ」
    ふふん、ととくいげにテンドウワシはその するどいくちばしをみせびらかします。ワカトシワシは なにかをかんがえていました。
    となりのもりの ことりのおやこは テンドウワシとウシワカワシがこのもりに すみはじめたとき、となりのもりの きれいなみずばを おしえてくれたしんせつな おやこでした。
    「わかった。ほんとうにトロルがあのおやこをたべたなら おれたちはいくべきだろ 705

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    MOURNING栗原さん(@kuri_usiten)に大変仲良くしていただきまして!ありがたいです!!
    そんな中で、素敵絵をいただいて、それに小説付けさせていただくというものをやらせていただけたので&公開許可をいただきましたので、自慢という名の公開をさせていただきます!!いいだろ!!!
    おとぎ話パロです。
    栗原さんの素敵な絵付きのものは支部にあります(https://www.pixiv.net/artworks)
    【はだかのおうじさま】

    その国はとても美しい国でありました。人々は幸福そうに微笑み、動物たちも穏やかに過ごせる緑に溢れ、美しい空と清涼な川と湖がその領地にありました。

    そこにやってきたのが1人の赤毛の男です。正確に言うなれば、彼は男と言うにはやや幼い顔立ちをしていました。年としては10代後半といったところでしょうか? ギョロリとした白目の多い大きな目は彼を幼くも奇妙にも見せております。ただ、その長身をひしゃげるように曲げて歩く様は老人のようでした。
    彼は、ヒョロリと長い手足をブラつかせながら質素な身なりで現れました。背中には大きな木箱を背負っております。ずっしりと重そうなそれのせいで少年は背中を丸めて歩いているのかもしれませんでした。

    「王子様の17歳のお祝いに参りまシた」
    その国の真ん中の少し小高い丘、その上に質素なお城がありました。赤毛の少年はそのお城の門の前で門番の少年にそう告げておりました。太眉の門番はその特徴的な眉をㇵの字にして赤毛の少年をマジマジと眺めます。
    「えっと、祝賀会はまだ先で……」
    「分かっていマス。ですので、その、祝賀会に見合う服を仕立てるために参りまシた 9238

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    MOURNINGバームクーヘンの日(3/4)に書いたバッドエンドじゃないバームクーヘンエンドを考えてみました。続きは「THANK YOUの日」(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14822429)のR指定になっています【バームクーヘンの日】

    「天童、引き出物はバームクーヘンで良いだろうか?」
    突然かかって来たマブダチからの電話に衝撃を受けてしまったのは、俺がまだそのマブダチへ別の感情を諦めきれていなかったからかもしれない。

    若利くんがポーランドのチームに移籍してきた年、俺は勝手にお祝いを兼ねてケーキを焼いた。ホワイトチョコで作ったプレートには『Best wishes』とわりと綺麗に書けていたし、スポンジ部分もムース部分も最高の出来だった。これからも今までも沢山の幸せが若利くんにもっともっと訪れますように。俺の方の店も忙しい中だったけど、今までよりもずっと近くなった物理的な距離に、俺自身が勝手に一人で舞い上がっていたのだ。
    ホールで焼いたチョコケーキを見た瞬間の若利くんのその驚いたような顔と、その後にほころんだ目元にまたもう一度、恋に落ち直してしまったのが、確か、数年前。
    「ありがとう。俺も嬉しい」
    スマホ越しじゃない生の若利くんのその時の声を一生忘れないでいられれば、そのままマブダチとして自制して一生過ごすことが出来ると思った。6号サイズしかケーキ型を持っていなかったのでかなり大きめに作ってしま 3750

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    MOURNINGオレンジの日(4/14)に書いたものです【オレンジの日】

    最近、お店によく来てくれるお客さんが、なんかやたらと日本語で話しかけてくる。
    「サトリ、今日、オレンジのチョコ、ある?」
    「あるヨー」
    ひょろりとしたスタイルに醤油顔。どう見てもアジアンな彼は、どうやらコリアンらしい。言われてみれば、最近流行りのKーPOPアイドルに入っていそうな顔立ちのような気もしないでもない。
    彼曰く、大和なでしこな日本人女子を落とすために日本語を練習していたらしい。初めてうちの店に来た彼は「サトリってほんとに日本人?」と怪訝そうな顔をされたのをよく覚えている。赤い髪と日本人らしからぬ顔立ちが不思議なんだろうと勝手に解釈した。フランスに来て何度もされた反応なので俺自身はもう慣れっこだ。
    「そーだ。サトリ、オレンジデーって知ってる?」
    「なにそれ?」
    「あれ~? 日本人になら伝わるって聞いたけど?」
    彼の「日本人なら」情報は大体が例の大和なでしこからの情報だが、大抵が俺は知らなかったり当てはまらなかったりするらしい。にしても、オレンジデーなんて知らない。
    店内をちらっと見回す。雨の日は総じて暇だ。
    「ねぇ、もし時間あるならさ」
    オレンジデーって何? 3903

    すぺ2

    TRAINING紺(kon)さん @yakin1030 の可愛い、いちご妖精さんの絵にSSつけさせていただきました!ありがとうございます❤【はるになったら】

    監督という自分の肩書が特別顧問になった頃。俺は家に居る事が以前よりも少しだけ増えた。照乃は「せっかくいらっしゃるなら日向ぼっこでもなさったら?」と俺をわざわざ縁側に呼び出し、自分はよろよろと植木の世話をする。
    長年連れ合った連れ合いだ。俺が年を取ればこいつも同じように年を取る。数年前から少しずつ丸くなった背や遅くなったその動きを見て危なっかしいと思わざるを得ない。俺だって、よそ様から見たら五十歩百歩と言われるのかもしれない。だが、長年ガキどもの相手をするために心身共に健康を保つことを心がけてきた俺とは違い、ごく一般的な年の取り方をしているらしい照乃一人にそれなりの数のある植木を世話させるのがこの年になってやっと悪いかもしれないと思えるようになって来ていた。
    「今年は、綺麗なイチゴが出来そうよ?」
    小さな植木鉢に植えられた小さな植物にちょろちょろと照乃が水をくれている。その葉の間に、白い小さな花と小さな果実のようなものがいくつか付いているのが見て取れた。形は確かにイチゴのようだが、食卓に出される物を考えると、かなり小ぶりに思えた。
    「そりゃぁ、食えんのか?」
    「これ 5391

    すぺ2

    TRAININGAmonさん(@hell_rider_a13)の素敵絵に小説付けさせていただきました。
    とても自由にオリキャラを出してしまい、かつ、喧嘩する牛天がテーマなので苦手な方はご注意ください。
    アーミー若利と悩みましたが、アーミー若利はもっと話が長くなってしまいそうで💦自重しました!
    【覚醒の時】

    「は?」
    思わず俺は声を低くしていた。
    「ウシワカ、今、なんつった?」
    ほぼゼロ距離まで近付いてその瞳を覗き込む。どんな場面でも動揺を見せないそのオリーブグリーンの瞳が僅かに揺れているのにも気付かないくらい頭の中が煮え立っている。にもかかわらず、俺の表情は冷え冷えと無表情になっていくのが自分自身でも他人事のようにわかった。場の空気まで凍ったのも普段だったら気遣う所だが、今はそれどころじゃない。
    「もういっかい、いってみろよ? いま、なんつった?」
    幼少期に自分が妖怪と言われたのを思い出させる底冷えする声が自分の声帯から発せられているのを一枚隔てた膜の向こうで見ていた。

    * * *

    白鳥沢学園は全寮制ではない。希望者のみ寮生活なのだが、実家が遠い者、特に強豪であるバレー部などの運動部に入っている生徒の多くが寮生活を希望していた。
    ただ、世の中、例外というものはいくらでもある。いくらバレー部部員でも事情がある者はもちろん、寮に入らない。入れない者も居る。
    竹下祐樹は後者だった。中学の大会でもそれなりの成績を収めていたらしい彼は、一般入試で白鳥沢に入り、バレー部に所属した 4398

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    TRAININGお圭さん(@0oVsKEOxLFvRLqT)の写真にお話し付けさせていただきました!話に出てくるホテルはいろんなオプションあって楽しそうなので一緒に行ってくださる方が居ればぜひ行きたい感じでっす!!
    お圭さん!いつも構って下さってありがとうございます!!❤
    【ほしふるよるに】

    「若利くん」
    とても真剣な表情で厳かに呟く天童をスマホの画面越しに静かに眺める。
    いつもひっきりなしに新しい話題を提供してくれる天童とは今日はどこか雰囲気が違う。その物々しい雰囲気は、白鳥沢学園バレー部時代に何度か大平や添川が漂わせていた雰囲気によく似ている。そうして、その眉間のシワの原因の大半は、今目の前で神妙な顔をしている天童が何かしら厄介ごとを起こしていた時だったりした。
    「日本にあって、海外にないもの、知っていますか?」
    なので、突然言われた質問に対して、こちらも真面目に答える必要があると思った。質問に質問で返していいのか悩みながらも「それは、なぞなぞか?」と訊ねてみる。
    「ん~ん。答えは。ラブホです」
    なぞなぞでないと言いながら『答えは』と付け加えるのはなぜなのか?
    無感動に天童の言葉を繰り返してしまった俺に、天童は何を思ったのか『ラブホテルとは?』の解説を始めてしまった。
    一応、自分でもそのくらいの知識は知っている。むしろ、天童と付き合い始めた頃、余計なことまでいろいろと調べたことがあった。なので、天童の解説を聞く限り、どうやら俺の方が知っていることは 7876