Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    badger_0107

    @badger_0107

    @badger_0107
    LXH師弟沼/黑限/黑限/捏造成長弟子/捏造設定ゴリゴリ/相手・左右・性別完全固定
    pixiv>https://www.pixiv.net/users/16277663
    マシュマロ>https://marshmallow-qa.com/badger_0107

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 46

    badger_0107

    ☆quiet follow

    10/10「黒猫邁進」で発行の新刊「嘘 [ xū ]」の書き下ろし(2)の サンプルです。
    詳細>
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15912010

    ■本編後日談のため、本編のネタバレを含みます)
    ※縦書き原稿から抜粋のため、数字が漢数字になっています

    #黑限
    blackLimit
    #黒限
    blackLichen

    番外編:無限 空が完全な黄昏の色に染まる前に帰り着く。
     玄関に各々の新しいコートの入ったショップバッグを置き、洗面所で手を洗う。
     一緒にキッチンへ入って、無限は買ってきた茶菓子を手にミネラルウォーターをピックアップし、リビングで電気ポットに注してスイッチを入れる。その間に、小黒が茶の道具一式と小皿を支度してきてくれた。
    「ありがとう」
    「うん。無限にしたよ、お茶」
     東方美人(オリエンタルビューティー)。蜜の香りと色を持つ茶を、小黒は時折冗談で「無限」と呼ぶ。
    「古臭いっていつも言ってるだろ、その冗談」
    「冗談じゃないし、全然本気」
     ローテーブルへ茶道具と皿を置きながら、無限の開けているケーキの箱の中を覗き込んできた。小黒が評判を聞きてきた新規開店のパティスリーのスペシャリティ、タルト・オ・フィグとピスターシュフランボワーズが収まっている。
    「いいね、やっぱ美味そう」
    「あまり家に居ないのに耳が早いな。私も知らなかったのにどこで聞きつけた」
    「役に立つでしょ」
    「役に立たなくてもいいよ」
     ローソファに並んで腰を落とし、小黒が金属でサイドテーブルをソファの正面へ移動させた。無限が茶を淹れ、小黒がケーキを皿へ移す。クッションにゆったりと背を預け、寛ぐ姿勢で東方美人の馥しい茶杯を手に取った。
    「どっちにする?」
    「どっちでも」
    「じゃあお前にフランボワーズやる。ベリーみたいで可愛いからな」
    「はあ? 僕の科白だけど、それ」
     軽口でそれぞれに皿を取り、味を見た次の一口は相手の口へ運んだ。フランジパーヌのアーモンドとカスタードの芳醇な味わいに無花果の柔らかな甘みと香りが調和したタルト・オ・フィグ、ピスタチオのまろやかなコクのある風味にフランボワーズの爽やかな甘酸っぱさがアクセントになっているピスターシュフランボワーズ、いずれも平均点以上の味だ。
    「美味いな」
    「美味いね」
    「今度は他のも試そう」
    「うん」
    「そういえば偉いんだな、小黒」
    「うん?」
     ケーキを口に運びながら、何気ない口調で街で出会った小黒の仲間の話題を振った。紫羅蘭以外に、無限が初めて見る妖精たちだ。二人とも見かけ通りの年齢ではないだろうが、恐らく小黒が一番年下だろう。敬称での呼びかけと慇懃な態度を思い出す。
    「小黒大人って呼ばれてたろ」
    「へ? ああ」
     何を言われているかを理解して、小黒が苦笑した。
    「冠萱さんと逸風? なんだ、なにも言わなかったから気にしてないと思ってた」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏👏❤💞💞💕😭❤💖💗💗💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    badger_0107

    DONE■ベス野郎さまのイラスト(https://x.com/bessyarou/status/1776973171662749983)が素敵すぎて、ご本人様の許可を得て書かせていただいている神様小黒と天仙無限のパラレルです
    ■科白のあるモブ多数
    ■紫羅蘭ちゃんは「スミレ」でいいか不明ですが、展開上カタカナ表記にしたかったため、得られる情報の範囲でこの表記としています。
    春の神様(2)【黒限】 にこりともしないしシャオヘイを猫よばわりするし、良いヤツとはとても思えないけれど、美味しいご飯を食べさせてくれるから悪いヤツでもない。そう思っていたムゲンにはしばらく警戒を解かずにいましたので、別れがたいほどに仲良くなったのは、春の終わりが目の前まで来てからでした。ある日の「再見(さよなら)」でずいぶん長く頭を撫でてくれて、それが今年のお別れだったと知ったのは翌日になってから。昨年まで関心のなかったシャオヘイは、ムゲンがこの地に春を楽しみに来ているだけとは知らなかったのです。
    「大丈夫、来年もまたいらっしゃるから」
     ムゲンが天へ帰ってしまったと知って無言で大粒の涙を零していたシャオヘイを、スミレが一生懸命慰めてくれます。そしてムゲンが再びこの地へ戻ってくるまでの夏と秋と冬の間に、たくさん話を聞かせてくれました。
    8293

    badger_0107

    DONE■ベス野郎さまのイラスト(https://x.com/bessyarou/status/1776973171662749983)が素敵すぎて、ご本人様の許可を得て書かせていただいている神様小黒と天仙無限のパラレルです
    ■科白のあるモブ多数
    ■紫羅蘭ちゃんは「スミレ」でいいか不明ですが、展開上カタカナ表記にしたかったため、得られる情報の範囲でこの表記としています。
    春の神様(1)【黒限】 耳の先を撫でた一陣の南風に、丸くなって昼寝していたシャオヘイは頭をもたげました。湿った鼻の先を、むぐむぐと蠢かします。
    『来た』
     明るく晴れた春の空を、じっと見上げます。
     砂糖菓子のような白い雲の合間に五色にきらめく彩雲があらわれて、その端がすうっと梯子のように地まで伸びてきました。
     藪に埋もれる小さな小さなシャオヘイの廟は、盛りの近い春の花たちに彩られ、甘い香りに包まれています。その両端の反った屋根から飛び降りて、一心に走り出しました。向かう先は、もうすぐ満開の桃の林です。目を反らさずに見つめ続ける彩雲の端は薄紅の霞さながらの林の上にかかり、その中に一つの影が浮かびました。シャオヘイの大きな耳に聞こえてくるのは猫よりも密やかな足音、真っ黒な鼻へ届くのは春よりも芳しい香り。
    6505

    related works

    recommended works