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    狼少年

    @_wolf_seeker_

    えぺの落描きや滾ったネタの供養場所。

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    狼少年

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    プレステージミラージュ×オリジナルクリプトのプレオリです。まだまだ先が長そうなので序章と称してぶん投げました😇

    #ミラプト

    一目見た時にその獰猛な瞳に目を奪われた。オリジナルとは違う血に飢えた獣の様な、それでいて酷く冷たい琥珀からは優しさの欠片も感じられない。気配を察知したのかちらりと寄越された視線が俺を捉えた瞬間、此奴は“捕食する側の人間”で、俺は“捕食される側の人間”なのだと理解したと同時に、背筋にぞくりとした悪寒にも近い感覚が走り胸がざわつく。脳が危険だと警鐘を鳴らしているが、恐怖にも似た感情を抱いた視線は絡め取られ、この場から立ち去る事は愚か目を逸らす事すら許してくれない。冷たさの奥で僅かに揺れた炎が言外に俺の目を見ろと言っていた。
    圧倒的な存在感と強い雄の気配を放つ男を前にもう逃げられないと直感が告げている。この男は危険だ。俺とは住む世界が違うなんてそんな単純な話ではなく、もっと根本的な根っこの部分から俺とはまるっきり違う人間なのだとひしひしと肌で感じる。けれどその奇麗な琥珀は俺の瞳を、俺の心を、捕らえて決して離さない。鼓動が早鐘を打ち鳴らしこれでもかと危険信号を発している。今この場を支配しているの間違いなくこの男で、完全に自分のペースを奪われた俺には息をする事すらままならない。
    ゆっくりと近付いてきた男はついぞ俺の目の前で歩みを止める。興味深そうに少しだけ目を細め、緩く口角を上げていた。急速に喉が乾くのを感じてゴクリと生唾を飲み込んだ。

    ―――駄目だ、喰われる。

    手を上げた男を見て無意識的にぎゅっと目を瞑り身体を強ばらせたが、思っていた衝撃に見舞われる事は無かった。
    「随分と熱烈な視線を送ってくれるが、何か俺に用か?」
    開かれた口から聞こえてきた言葉は男の纏う雰囲気からは想像がつかない程優しい声色で、オリジナルよりも少しだけ低くて落ち着いた美しいテノールだ。
    「おーい、どうしたぁ?」
    「あっ、いや、すまない、何故だか目が離せなくて……特に用とか、そういうものがあった訳では無いんだ」
    「ふぅん?まぁ悪い気はしなかったぜ」
    可愛いんだな、と続けられ、雰囲気やイメージが変わってもやっぱり此奴もオリジナルと同じ“レジェンドのミラージュ”なのだと納得する。ただ、オリジナルと違うのは、言葉の裏に何処かこの男生来の嗜虐性が見え隠れしている所だろうか。
    「なんだ、その、邪魔して悪かった……」
    「待てよ」
    そのまま立ち去ろうと踵を返すと腕を掴まれ呼び止められる。捻り上げるかの様な力に思わず顔を顰めた。
    「いっ……な、なんだ?」
    「へぇ……アンタ結構イイ顔するんだな」
    あ、これはまずい。非常にまずい。今俺は確実にこの男のあるスイッチを押してしまったらしい。頬を掴まれ先程よりもギラついた瞳が俺を正面から射止める。もう駄目だ。逃げ切れない。視線が絡み合い纏わり付く恐怖とも期待ともつかない感情に息が上がる。もがけばもがく程深みに嵌っていくのが分かった。
    「アンタの瞳は綺麗だな。逃げたくて仕方が無いって顔をしているのにその奥に幾らかの期待が見える。誘ってるのか?」
    「さそっ、はぁ!?!?そんな訳っ、んむっ、んんっ!」
    あまりにぶっ飛んだ返しに思わず素っ頓狂な声をあげると煩いと言わんばかりに乱暴に口を塞がれる。得体の知れない恐怖に襲われキュッと喉が締まり、息をしようと薄く開いた隙間に舌が捩じ込まれそんな恐怖を上塗りする様に口内を犯さた。息継ぎをする暇すら与えて貰えず、息苦しさから生理的な涙が零れる。
    「っ、はぁっ、ちょ、いきなり何を……っ、うぐっ、!?」
    「うんうん、ちょっと静かにしようなー……あぁ、いいねぇ、最高にそそられるぜ」
    キスから開放されたかと思えば今度は首を締められた。息を吸おうにも肺に空気など入る訳が無く、かひゅっと情けない音が漏れるだけだ。怖い。苦しい。死んでしまう。そんな感情がぐるぐると頭を巡る。なんだ、此奴は俺を窒息死させたいのだろうか。空気を求めて開けた口には容赦無く男の舌が突っ込まれた。酸欠状態になり頭がぼーっとして身体には力が入らず、男を押し退ける事も出来ない俺はただ男の好き勝手にされるがままだ。絡め取られた舌がじゅるりと吸い上げられていやらしい音を立てる。あ、やばい、本当に、死ぬ……。
    「おっと、悪い悪い締めすぎちまった」「っ、はっ、ゴホッゲホッ……!」
    意識を手放しかけた時にようやく開放され、確かめる様に肩で大きく息をしながらずるりと力無くその場にへたり込んだ。
    「はっ、んっ、ゲホッ……!」
    「大丈夫か?可愛過ぎてつい力が入り過ぎちまったみたいだ」
    「おっ、まえなっ……本当に、ゴホッ……死ぬかと思ったんだが……?」
    何とか息を整えてそう文句を言うと悪かったって、なんて言いながら雑に頭を撫でられる。さっきまで俺の首を締めて苦しめられていた腕だというのに、何故だか嫌な気はしなかった。それどころか心地良さすら感じてしまいそんな気持ちを振り払う様に頭を振る。逃げろと拒絶反応を起こす身体は小刻みに震えているのに、この男を何処か本気で跳ね除けられない自分が居てそんな自分に嫌気が差した。此奴はオリジナルと同じ“レジェンドのミラージュ”ではあるが、中身まで同じ“エリオット・ウィット”では無い。頭では理解しているのに顔立ちも声色もほぼオリジナルと同じくこの男―プレステージを全くの別人として扱うなんて俺には出来なかった。いっその事そうやってきっぱり割り切れてしまえたらどれ程楽だったか。
    「俺に怯えているんだろ?でも逃げないのはどうしてだ?やっぱり何か期待してるのか?」
    「なっ……!?あのなぁ……期待も何も俺はお前をよく知らないしお前のオリジナルみたいに下半身直下型脳じゃないんだよ」
    「キスであんな蕩けた顔してたクセによく言うぜ」
    「い、いきなりキスなんてされたら誰でもああなるだろ!?」
    「本気で嫌なら突き飛ばすなり跳ね除けるなりすればいいものをお前はそれをしなかった。つまりお前はお前の意思で俺を受け入れたんだ、違うか?」
    ……本当に嫌な言い方をする男だ。俺の意思だって?そんな訳ある筈が無い。しなかったのでは無い、出来なかったのだ。お前のその欲の渦巻く瞳と目が合った瞬間形容し難い感覚に陥り、動く事が出来なくなった。その美しい琥珀が俺の目を、心を、身体を掴んで離さない。
    「無言は肯定と捉えるぜ?いいのか?」
    なんだろう、昔読んだ物語に此奴に似た奴が出てきた気がする。その美貌から神に疎まれ怪物へと変えられてしまった悲しき美女。
    「まぁいい。なぁ、もっと色んなお前を見せてくれよ、いいだろう?」
    耳元で囁かれた甘い言葉に脳がどろりと溶かされるのを感じた。きゅっと瞳孔が開くと紅く染まるのがルビーの様で奇麗だな、なんて。嗚呼、そうだ思い出した。其奴は毒蛇の髪に真っ赤な瞳を持ち、見た者を石に変えてしまう美しき怪物。多少の違いはあれど、まさしく此奴はメドゥーサだ。
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    狼少年

    MAIKINGプレステージミラージュ×オリジナルクリプトのプレオリです。まだまだ先が長そうなので序章と称してぶん投げました😇一目見た時にその獰猛な瞳に目を奪われた。オリジナルとは違う血に飢えた獣の様な、それでいて酷く冷たい琥珀からは優しさの欠片も感じられない。気配を察知したのかちらりと寄越された視線が俺を捉えた瞬間、此奴は“捕食する側の人間”で、俺は“捕食される側の人間”なのだと理解したと同時に、背筋にぞくりとした悪寒にも近い感覚が走り胸がざわつく。脳が危険だと警鐘を鳴らしているが、恐怖にも似た感情を抱いた視線は絡め取られ、この場から立ち去る事は愚か目を逸らす事すら許してくれない。冷たさの奥で僅かに揺れた炎が言外に俺の目を見ろと言っていた。
    圧倒的な存在感と強い雄の気配を放つ男を前にもう逃げられないと直感が告げている。この男は危険だ。俺とは住む世界が違うなんてそんな単純な話ではなく、もっと根本的な根っこの部分から俺とはまるっきり違う人間なのだとひしひしと肌で感じる。けれどその奇麗な琥珀は俺の瞳を、俺の心を、捕らえて決して離さない。鼓動が早鐘を打ち鳴らしこれでもかと危険信号を発している。今この場を支配しているの間違いなくこの男で、完全に自分のペースを奪われた俺には息をする事すらままならない。
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    x_Bambini_x

    MAIKINGクリプトがミラージュ宅にお世話になる話
    帰るまで終われまてん
    なんとしても書き終わらせたいなぁ

    #ミラプト
    懐かしい気持ちだった。
    熱にうなされて、苦しくて・・・
    もやもやする意識の中で、時折優しく触れる手が好きだった。
    額に触れて、撫でられて冷たくて、優しい手を俺は知ってる。






    抱き上げられるように現実に引き上げられると、そこは知らない天井だった。
    『奴らにつかまったのか?』
    反射ビクッと体を動かせば全身に激痛が走る。
    「っ!!くそっ・・・、ハック?」
    無理に体を起こせば、サイドテーブルに置いてあるハックが目に入る。
    『ハックがあれば逃げられるか?』
    部屋を見渡し、ハックを抱え扉と反対側のベッドに身を隠すように座り込む。
    外装の確認をして起動スイッチを押せば、すんなりと電源が入ることを確認する。
    『休止モードに入っていた・・・?』


    ーカチャリー


    「!!!!」
    「あ・・・。目、覚めたのか?」
    この声は聞き覚えがある・・・
    「ウィット・・・?」
    「・・・全く心配させやがって。動けるならこっちの部屋に来い。服はその・・・着てこいよ。その辺のヤツ、使っていいからな。」
    そういって、またカチャリと音がする。どうやら部屋の扉を閉めていったらしい。
    『逃げるなら逃げろということか』
    2052

    recommended works

    x_Bambini_x

    MAIKING目標は書きおわすこと。
    ミラプト(ㆁᴗㆁ✿)
    プトがミラの家にお世話になる話……になる予定。
    今シーズンも絶好調で終わった。
    最終日はチャンピオンまでとれた。つかの間の休息…と行きたいところだったが、ミラージュ・ア・トロワ...もといエリオット・ウィットは自身のバーに立っていた。
    チャンピオンを飾り、店に客がいつも以上に押し寄せて「本日の主役」である本人が不在…では、話にならない。
    声をかけてくる客にグラスを渡され、「奢りだ」と言われれば飲んでいた。
    盛り上がりが落ち着いてきたころ、カウンター内に戻って、ミネラルウォータのボトルを開けた。
    「今日は忙しそうだな、ウイット」
    カウンターの隅の席にちょこんと座って、イケ好かない顔がこちらを見ている。
    クリプトだ。
    「あー?嫌味でもいいに来たのか、キルリーダーさんよ!最後、お前にとられなかったら俺がキルリーダーだったのにな!」
    最後のマッチで、一緒になったのは俺とクリプトとライフラインだった。
    競い合っていたわけじゃない。ライフラインが後ろにいてくれたせいか、少しやんちゃをしただけ…なのだが、キルリーダーがこの二人で塗り替えられていくログはさぞ意味が分からなかったと思う。
    「で?何しに来たんだ?本当に嫌味でもいいに来たのか?」
    「…奢 1233

    x_Bambini_x

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    もやもやする意識の中で、時折優しく触れる手が好きだった。
    額に触れて、撫でられて冷たくて、優しい手を俺は知ってる。






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    反射ビクッと体を動かせば全身に激痛が走る。
    「っ!!くそっ・・・、ハック?」
    無理に体を起こせば、サイドテーブルに置いてあるハックが目に入る。
    『ハックがあれば逃げられるか?』
    部屋を見渡し、ハックを抱え扉と反対側のベッドに身を隠すように座り込む。
    外装の確認をして起動スイッチを押せば、すんなりと電源が入ることを確認する。
    『休止モードに入っていた・・・?』


    ーカチャリー


    「!!!!」
    「あ・・・。目、覚めたのか?」
    この声は聞き覚えがある・・・
    「ウィット・・・?」
    「・・・全く心配させやがって。動けるならこっちの部屋に来い。服はその・・・着てこいよ。その辺のヤツ、使っていいからな。」
    そういって、またカチャリと音がする。どうやら部屋の扉を閉めていったらしい。
    『逃げるなら逃げろということか』
    2052