情けは人の為ならず雨は嫌いだ。セットした髪型は崩れるし、お気に入りの靴も濡れちまう。バッチリタイプの女性がいても傘が邪魔で声をかけづらい。まあ残念ながら俺は今、バケツをひっくり返したような土砂降りを前に傘を持たず立ち往生していて、近くにいるのはバッチリタイプどころかハナの差で殺人ロボットよりマシなおっさんだけなのだが。
折角チャンピョンを取ったのにインタビューが終わってさあ帰ろうと思ったらこれだ。ざあざあと甲板を叩く雨足は強くなるばかりで一向に止む気配がない。ソラスの雨は希な代わりに降り出すと長いんだ。砂漠気候のこの星にとっては恵みの雨でも、俺にとっては勝利に水を差されたような、そんな気分になっちまう。シャンパンシャワーならともかく、砂混じりの雨を浴びて帰るのはごめんだ。
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