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    wave_sumi

    いろいろなげすてる。最近の推しはなんかそういったかんじ
    性癖が特殊。性転換が性癖

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    wave_sumi

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    どすり、大きな胸板に額が当たった。 しまった。前方不注意をしたカナヲが顔を上げると、そこには銀髪の派手男が立っていた。宇髄天元。自称忍者の派手男は、華やかな外見に似合わず、すぐどこかに消えてしまう。
    「すみませ、」「この俺様にぶつかるたァ、いい度胸だな」
     一言会話を交わしたカナヲは、彼にぶつかったことを後悔した。面倒ごとの感じがする。スマートフォンは静かなままだ。
    「胡蝶んとこのガキだな」
     こくり。無言でうなずく。今は栗花落だが、訂正するよりも先にこの場を去りたかった。じ、と。自分よりも大きな男を見上げれば、それは何事かを思い出したようで、不意に自分の懐を探った。
    「そーだ、コレ。出てきたからしのぶに渡しといてくれ」
     小さな紙袋。中を見ようとすれば、ガキには早ェから見るんじゃねえと視線で制された。む。この男は兄さんの何を知っているのか。苛立ちを隠さずに表へ出せば、宇髄は臆面もなく笑った。
    「この中身は何だ」「マホーの道具だよ」「ば、馬鹿にするな」
     宇髄は静かに目を細める。長めの銀髪がさらりと揺れた。マホー、魔法。そんなおとぎ話のことを聞いているんじゃない。これは、この中身は、何かの小箱がいくつか入っている。軽い音が触れあって、簡素な袋の中で鳴っている。
    「まあ、渡しといてくれ。俺様からだって言えばすぐ判るだろうよ」「ま、待て」
    「俺様は忙しいんだ。盆が近いからな」
     じゃあな。ひらりと片腕を振って、大きな男は煙のように消えてしまった。カナヲは、押し付けられた紙袋をそっと見る。グレーの小箱が薄く透け、パッケージに描かれているだろうアルファベットのRが見えた。
     盆が近い。そうだ。買い物……は明日。八日にしよう。玄弥とはお菓子を買いに行くから、その前に線香とロウソクを買わなければならない。

     宇髄の言いつけ通り、これを次兄に渡すべきか。夏休みの真っただ中、夕食には少し早い時間。次兄は何をしているだろう。カナヲは素直にこれを届けることにした。
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