Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    wave_sumi

    いろいろなげすてる。最近の推しはなんかそういったかんじ
    性癖が特殊。性転換が性癖

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 👘 🐁 ❣ ⚛
    POIPOI 64

    wave_sumi

    ☆quiet follow

    3.人魚との関係について聞く「……来てしまいました。手土産におはぎもあります。まずは私の話を聞いてください」
     半ば無理やり、靴を脱いで拝殿に上がる。冷え切った板張りの奥には、ぽつんと申し訳程度のご神体が置いてある。御簾に隠れて見えないそれを無理に見ようとはせず、アオイは拝殿の廊下奥に置かれた座布団を二枚取り出して、ただ広いだけの板張りに向かい合わせで置いた。
    「どうぞ」
     有無を言わせぬ笑顔で、アオイは鶴に話しかけた。示された指先は、紫色の座布団上。しぶしぶといった感じで、不死川はそれに従った。
     不死川が座布団上で居住まいを正す。アオイはおはぎの包みを開いて、蓋を開けた。
    「おォ」
     不死川の目つきが変わった。どうやら、おはぎが好きだというのは本当らしい。どうぞと声をかければ、おずおずと手をのばして、真ん中のおはぎを取った。
    「……お味は」「美味ェ」
     ほ。何とか胸をなでおろし、アオイは鶴に向き直った。もくもくとおはぎを食べる鶴を見守る。無言で食べている、ということは。美味しいのだろうか。そういえば水分を菜にも用意していない。おもてなしの心を忘れてしまった自分を恥じて、何かないかと周囲を見渡す。特に何もなかった。
    「懐かしい味で止まらなくなっちまったァ」
     重箱のおはぎをきれいに平らげて、ばつが悪そうに不死川はアオイから視線を逸らした。もしかして、ツンデレというものなのだろうか。ふとアオイは思いついて、疑問を投げた。
    「不死川様、人魚の冨岡様とはどういったご関係で?」
     不死川の眉間にしわが寄る。その隙を見逃さず、アオイは残ったおはぎをチラつかせた。
    「……ただの同僚だァ。聞いてンだろォ、輝利哉様からよォ」
     確かに、輝利哉様からすべてを聞いている。けれど、あの二人に流れている空気は何だろうか。アオイには断定できないでいた。
    「腐れ縁、ってやつだァ」
     これ以上はない、と。しぐさが告げている。仕方がない。アオイは全てをあきらめて、鶴におはぎを明け渡した。
    「不死川様は、不器用な方ですね」
     もくもくと無言でおはぎを貪る鶴の背が、びく、と揺れる。図星だ、あたった。わかりやすい。アオイは心中でにやにやと笑みを浮かべ、不死川に取引をもちかけた。曰く。
    「不死川様、私を……冨岡様との連絡係として、任命していただけませんか」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😊👏❤❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator