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    kirikooon

    @kirikooon

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    POIPOI 33

    kirikooon

    DOODLEシャアシャリ。昨日、pixivに上げたものの間の話。ファミレスと家に行くまで。
    これも運命 の中間 気付けば喫茶店の窓から見える景色はすっかり闇に溶け込んでいた。青年との会話は時間を忘れさせるほど楽しかった。趣味が合うというのもあったが、会話のテンポが心地よいのだ。年上の自分がそう思うなら、きっと若者が気を遣った結果だろう。素直に相性が良いと受け取るほど浮かれてはいない。自分の落ち度を認識すると、すこしだけ安心した。

    「そろそろ解散しましょうか」
    「ああ、もうこんな時間か。このまま夕食でもどうだ?」
    「やめておきます。カフェくらいは、という話だったでしょう」
    「いいじゃないか。どうせ今日は外食するつもりだ。ひとり寂しく過ごすより、貴方と話しながらの方が絶対良い日として終えられる」

     駄目か、と上目遣いで伺われると困る。顔の良さを分かってやっているのだろう。シャリアはあえて彼の肌のきめ細かさを意識した。20歳になったばかりの若者。美人局。絵画販売。壺かも。こんなに美しい青年が自分に心を傾けるはずがない。随分と長居してしまったが、名残惜しい気持ちで別れるくらいが良い思い出には丁度いいのだ。駄目です、と答えて机に置かれた彼のサングラスを手渡した。これ以上問答するつもりはないと示したつもりだった。青年は受け取ったが、説得に応じた様子はなく、むくれている。
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    kirikooon

    DONEノスクラ。自分の死体を隠す短い話。
    いたい この死体をどうしようか、とクラージィは柄になく隠蔽工作について思考を巡らせていた。襤褸を纏い、痩せた男は半目を開いた状態で息をしていない。触れればひやりと冷たく、それは体温をうしなったというより冷凍カジキマグロという方が似合いである。いまが夏であれば自然解凍されたかもしれないが、ここ一週間は氷点下も下回る寒さが続く真冬であり、まずひとりでに動き出すことはなさそうなことに安堵した。とはいえ、このままそう広くもない1LDKの部屋の真ん中に放置していれば見てくれといっているようなものである。
     隠せる場所はクローゼット、風呂、トイレ。まず風呂は却下だ。今日、お隣の吉田さんは出張であり、そういう話をしたので万が一があり得る。言葉にして誘ったことはないが、暗黙の了解だ。朝日が昇る直前までゆっくりと過ごすのが通例で、彼はここを訪れる前に身なりを整えてくるが、稀に風呂場を使っていく。その時に浴槽に死体が転がっていれば、長く生きた身でもさすがに驚愕するだろう。今日に限っては帰ってもらってもいい気はするのだが、たかが冷凍カジキマグロ一本に多くない逢瀬の機会を潰されるのも癪だった。
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