あれから。●1班
20XX年、令和と呼ばれる時代の東京。
窓の外には入道雲、ビルに囲まれた青い空。小ぢんまりとしたアパートの一室は、エアコンのおかげで涼しい温度。
奉一は視線を窓から正面手元へ戻す。父から受け継いだ猟銃の手入れの最中ゆえ、分解されたパーツがそこに広げられていた。
――父が『これ』をしている時、横で見るのが好きだった。そうして見ている内に、教わらずとも銃の構造を覚えていった。一人で初めて分解と組み立てができた時、父の大きな掌に撫でてもらえたのが、あの時は本当に嬉しかった。
あれから何年経ったか。何度この行為を繰り返したか。この銃と共に故郷を出てから約七十年、『人魚/ざんのいお』の呪いの血を受けて老いることのなくなった奉一は、今はUGNの協力関係オーヴァードとして生きている。表向きは猟師として、チルドレンやエージェントの訓練監督を担っているのだ。
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