こがねが丘の或る日常●2番、雨宿り
こがねが丘には金山の跡地があり、町外れには旧坑道が幾つか残っている。中央部の繁華エリアとは打って変わって――蝉のさんざめく山の中、山間の道路に『いつもの車』を停めて、トウジと閃は旧坑道を覗き込んでいた。
――旧坑道にオバケが出る、らしい。
これだけならオカルトなのだが、UGNの見解としてはジャームの可能性もあり……調査の為に派遣されたのがトウジと閃だった。
「……へえ。これがオバケ、ねえ」
トウジの靴先がつついたのは、旧坑道の入口ほどなくに『いい感じに』設置された、朽ちたマネキンで。真っ白の無貌は……なるほど、真夜中の遠巻きに見ればギョッとするかもしれない。
「ジャーム……でも、ありませんね」
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