酔っぱらい「オレさぁ、尾形のこと大好きなんだよなぁ」
突然の言葉に俺は目を見開く。
「あっ…言っちゃった。へへっ」
酔った杉元は照れてか酔いのせいか赤い顔をして俺の体を叩く。
痛ぇなと思いながらもさっき聞こえた言葉が自分の妄想でないことに
ニヤつく。
「はっ?杉元ォ、お前は俺のことが好きなのか?」
杉元はトロンとした目をして俺を見る。
「…そうだって言ったじゃん。お前は?」
「好きだ」
「マジか…両思いじゃん。チューしよ?」
杉元ははにかみながら俺に抱きついてくる。
「…逃げるのは無しだぞ?いいのか?」
俺は杉元を逃がさないように言質と取る。
「うん。早くしよ…」
「あぁ」
抱きついた杉元の少しカサついた唇へキスをする。
触れるだけのキス。
それだけでは足りず、唇を舐めて開くように促す。
だが杉元の唇は開かない。
リップ音をたててキスをして早く早くと唇を開かせようとしたが、
開かない。
これはおかしいと杉元から離れ、様子をみると寝ていた。
俺は深くため息を吐く。
「…逃げねぇってつったろうに」
自分と同じ…いや厚みのある男を運ぶことは諦めて、ブランケットを
寝室へ取りに行く。
のんきに寝ている杉元へブランケットを掛け、額にキスをする。
「今日は逃がしてやるが覚えておけよ杉元。お前から飛び込んで来たんだからな」
寝ているはずの杉元が心なしか赤くなり震えた。