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    れんこん

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    れんこん

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    付き合う事について雑談するベスティのお話
    フェイビリフェイ?

    #フェイビリ
    phobility
    #ビリフェイ
    bilifay

    「ん〜♪んっふふ〜ん♪ふ〜ん♪」
    「……なんだかご機嫌だね。」

    談話室で何やらるんるんと楽しそうに大きな声で鼻歌を歌うビリー。
    手元にはいつもハニーと呼ぶ、髪色と同じようなスマホがあって、その画面を手袋をつけた細身の指が辿っていく。
    特に用事もないので、隣に座ってどうしたの、と尋ねると、ビリーはにやりと笑って特徴的な八重歯を見せつけてきた。

    「みてみてDJ〜、昨日撮ったコレが今バズってるんだヨ♡」
    「……え、何…って、昨日寄ったカフェでビリーに隠し撮りされたやつじゃん…。」
    「やっぱりDJが被写体だと反応スッゴイんだよネ〜♪」

    ビリーが見せつけて来たのは俺が頼んだドリンクをただ飲んでいるだけの写真だけれど、たしかにやたらと反応が来ている様子だった。
    ……勝手に載せるなんて、と何度か言ったけど、ビリーは聞きやしないし、実害も特段無いからまぁいいかと今回は不問にする。
    ついでに自分のスマホもチェックすると、山のような彼女からのメッセージ通知の中に、同じようにエリチャンの通知も大量に混ざっていた。

    「……あ、なんか俺のやつも一緒に伸びてる。俺のは最新のショコラドリンクを撮っただけなんだけど?」
    「あぁ〜…ソレね。」

    ふっふっふ、とビリーは含みを持たせたようにして笑った。なんなの?と続きを促すと、突然ビリーが彼女がするみたいに俺の腕に縋るように腕を回してきた。

    「……何?」
    「『匂わせ』だってヨ、ダーリン♡」
    「……はぁ?」

    意味がわからなくて自分の撮った写真を見返すけれど、特にただショコラのドリンクを写しているだけのもので……あぁ、後ろに若干ビリーのスマホと手袋が映ってるけど。

    「なんかね、オレたちが仲良くしてると嬉しいおねえさん達が沢山いるんだよネ〜。DJの写真の撮り方が完璧な『匂わせ』だねって、その界隈で話題〜♪」
    「どんな界隈……?」
    「まぁまぁ!その辺は置いておいて、俺っちだから良かったけど、彼女とかだと気をつけた方がいいヨ〜?修羅場の元になっちゃう!」
    「彼女と出かけてもこんなの撮らないから大丈夫。」
    「あれぇ、オイラとのデート♡なら撮るんだネDJ♡」
    「はぁ……、」

    わざとらしくややこしい返しをされて無視すると、ちょっと!と腕をぎゅうぎゅう締められて抗議される。ちっとも痛くは無いけど。
    匂わせ……って、どういうこと。
    彼女と居ることに噛みつく女の子が居るかもしれないってことはわかるけど、ビリーと居るのが何か問題でもあるの?と尋ねると、ビリーはまた得意げにふふんと笑って、頭もぐりぐりと腕に擦り寄せてきた。

    「ボクちんと〜DJが〜付き合ってる♡って言われてるんだよネ♡」
    「なにそれ、いつそういうコトになったの。」
    「なんか、そう見えるんだって!仲良しなだけなのにネ〜。」
    「仲良しねぇ……。」
    「何その疑うような目〜!ヒドイ!仲良しデショ!?」

    聞いた内容は突破もないことだったけれど、その後のテンションはいつも通りで、いつも通りの俺たちの距離感。俺たちは変わらないのに、世間は一体どういう風にしたいんだろう。

    「そもそもさぁ、付き合うってなんなんだろーネ?」
    「なぁに突然。ビリーってそんなウブなコト言う子だったっけ。」
    「も〜、DJ茶化さない!そもそもDJはその辺ユルユルなんだから〜。」
    「アハ、よくわかんないけど、とりあえず付き合ってあげたら女の子達は喜ぶけどね。」

    正直あんまり意味なんて考えたことないんだよね、と素直に言ってみせると、ビリーはわかってたとでも言いたげに、縋り付いてきていた腕から離れて、やれやれというような仕草をしてみせる。そういうビリーは一体どうなんだろう。アカデミーの頃から、ビリーはそういう色恋沙汰を…….他人のものを情報や資金源として扱ってることはあれど、本人が自分のそれについて動いてるのを見たことが無い気がする。彼女が出来たなんて一度も聞いたことはない。……あれ、でもビリーの側にも結構女の子が寄っていっていたような。

    「あれはDJの好みとかを聞かれてただけだヨ〜?そこそこ出し渋った方がみんなお金釣り上げてくるからネ、俺っちってば商売上手〜♪」
    「……そ、ならビリーは女の子と付き合ったこと無いの?」
    「ノーコメント♡」
    「あー……、はいはい。」

    ビリーがタダで自分の情報を教えてくれるなんて思っても居ないし、興味はあっても必要は無いこと。流されてしまったことは敢えて追及しないのが暗黙のルール。その方が楽で良いよね。

    「ハイ!で、付き合うってなあに?のコーナーはまだ続いてマース!」
    「まだやるんだ……。んん……、まぁ付き合ったらそれなりのコトとか求められるよね。手を繋いでとか、キスしてとか……、」
    「えっちしよ♡とか?」

    ぺろ、と含みを持たせるようにビリーが赤い舌を出してこちらを見てきた。
    言いたいことはわかる。……俺たちもそういうコトする仲だけど?とでも言いたげだ。
    セフレというとあまりにも身も蓋もなさすぎてなんとなく不似合いだけれど、ビリーとはなんとなく……女の子の機嫌を取るのが面倒で、気楽に息抜きしたい時なんかに……一緒に寝たりしてしまっている。アカデミーの頃からなんとなくついてしまった習慣が続いた関係……これはどうなんだろう。

    「HAHAHA〜♪DJの定義ならオイラたち、付き合ってるって言って良いのカモ?おねえさん達も案外的外れじゃないネ〜?」
    「……ビリーとは別に付き合った覚えは無いけどね。」
    「なら、付き合って?って言ったらそこで成立するモノなのかな。」
    「双方が納得したらそうなんじゃない?ビリーはともかく……なんで女の子がそんなの求めるのかあまりよくわかんないけどね。」

    別にビリーも本気で付き合って、なんて思っていない。ただ言葉遊びをしているに過ぎない。
    求められるからただ応える、俺に取っては恋愛ってそういうものだけれど、とにかくいろいろと面倒なんだよね。気持ちイイのは嫌いじゃないけど。

    「んん〜、俺っちこういうの聞いたコトあるよ『独占契約』っていうの。」
    「独占……ねぇ。」
    「HAHAHA〜!DJには1番ピンと来ない言葉カモ!」
    「まぁでも女の子達がすぐ揉めるから、理屈はわかるけどね。他人に独占されるなんてまっぴらだけど。」
    「それには同感〜。オイラはひとのモノじゃないし?お金払ってくれるなら別だけど……。そういうところ似てるよネ、さっすがオレたちベスティ♡」
    「……俺はお金貰っても嫌だけど?」
    「えぇ、自分は手切金で解決しようとしたことあるくせにぃ〜!」

    悪い男!と罵倒されつつ、ぽこぽこと力の入っていない拳で肩を叩かれる。……そういえばそんなこともあったかな?
    本当は女の子達に直接手切金を払うより、ビリーに依頼金を払って円満に別れさせてもらう方が楽なんだけどね。
    はぁ、付き合うとか別れるとか、考えるだけでも結構面倒だよね。もっと適当でよくない?なんて、全てを放棄したくなる気持ちになってくる。

    「……じゃあ、アレかな?逆に、付き合ってるっていう事実が目的なのカモ?ほら、1人じゃ無いっていう証明みたいな。」
    「えぇ……それなら相手は俺じゃ無くても良くない?」
    「ン〜、それなんだけど、DJと付き合ってる〜ってだけで鼻高々になってる女の子も居るし、そういう意味の『恋人』を理由にしてる子もいるのかナ?」
    「俺にはよくわかんないな……っていうか、どっちにしろ面倒かな。」

    ビリーが続ける話にも飽きてきて、スマホを見ると、なるほど、たしかにビリーが言うみたいに俺たちが仲良くする素振りを見せると喜ぶ人たちがいるらしい。単純に、「仲が良いんですね」というメンションが沢山届いて増えていく。
    それを見ているとなんとなく意地悪心が疼いてきて、ふ、と一度息を吐き出してから、横で難しい顔をしているビリーに向き直る。

    「…ね、なら付き合ってみちゃう?」

    そっとその細身の顎を持ち上げて、分厚いゴーグルの奥に視線を合わせる。案外大きな瞳がぱちくりとして、じっと見つめてくるのはなかなか愉快。これが見られただけでふふ、と自分の中のなにかが満たされたから、後はどうでも良いかな。
    しばらく無言のままビリーは固まっていたけれど、少ししてからその瞳がすぅっと細められて、たった一言「OK」とだけ囁かれる。
    ……あれ、そういえば俺って、自分から人に告白まがいの事をしたのって初めてかも。たとえ、揶揄い目的の言葉とはいえど。

    「これで恋人成立?なんだか呆気ないよネ〜?俺っちもDJハーレムの一員ってワケ。」
    「……なにそれ。そんなもの作った覚えはないけど?」
    「アタシ以外とデートしちゃいやヨ♡ダーリン♡」
    「えぇ……、面倒だから別れようかな。」
    「OK OK、このお話はここで破談デース!はいっ、これでまた恋人じゃなくなったってコト?」
    「いくらなんでもさすがにそれは極端じゃない?」
    「まぁネ!でも口約束ってそういうモンだよね〜。人との関係性に自然発生以外にあとからわざわざ名前をつけて関係性を付け加えるって結構人生に置いてレアな事じゃない?」

    ビリーと恋人だった時間は5秒程度で終わり、いつも通りの距離感に戻る。
    別に、物理的な距離感は全く変わらない。
    むしろ付き合うなんて言う前の方が腕にまとわりついてきていたくらい……なんだか変な感じ。
    ビリーは相変わらずただおしゃべりを続ける。

    「やっぱり『名前』があった方がいろんなコトの理由になるからってのが俺っちの見解〜。独占とか安心とか見栄とか性欲とかの大義名分?みたいな。」
    「ふぅん……、まぁどうでもイイし良くわからないけど……。」

    ちらりとビリーの方に視線をやると、なぁに?と悪戯な顔で返される。……この顔はわかっている顔だ。

    「……キミの言う『ベスティ』も大概だけどね。」
    「んっふふ♡そーだネ、ベスティ♡」

    名前をつけてあげた方が愛着が湧くから、ひとは何にでも名前をつけちゃうのカナ?なんていつもと変わらないテンションで楽しそうにするビリー。散々ベスティを諸々の免罪符として使おうとしているビリーだから、先程みたいな発想が出てくるんだろう。……まぁ、ある意味ビリーらしいかな。

    「……俺はそんなのはどうだっていいけど。……まぁでもほんの少し彼女達が縋りたくなるのも理屈は納得いったから、今日はこれから少し付き合ってあげようかな。」
    「ヒュ〜♪DJやっさし〜♡匂わせには気をつけてネ!」
    「はいはいっと。じゃあね……ベスティ。」

    きゃっきゃと楽しそうにするビリーを置いてソファから立ち上がると、ビリーは一瞬驚いたような顔をしてから、満足そうに笑って手を振った。
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    れんこん

    DONE第12回ベスティ♡ワンドロ、ワンライ用
    フェイビリ/ビリフェイ
    ほんのりシリアス風味
    目の前にひょこひょこと動く、先日見かけた忌々しいうさ耳。
    今日は見慣れない明るく所々にリボンがついた装束に身を包み、機嫌が良さそうに馴染まないタワーの廊下を跳ねていた。
    眩しいオレンジ頭に、ピンと立ったうさ耳はまだいいが、衣装に合わせたのか謎にピンク色に煌めくゴーグルはそのかわいらしさには若干不似合いのように思えた。胡散臭い。そういう表現がぴったりの装いだ。

    「……イースターリーグはもう終わったよね?」

    後ろから声をかけると、ふりふりと歩くたびに揺れるちまっとした尻尾が止まって、浮かれた様子のエンターテイナーはくるりと大袈裟に回って、ブーツのかかとをちょこんと床に打ち付けて見せた。

    「ハローベスティ♡なになに、どこかに用事?」
    「それはこっちの台詞。……そんな格好してどこに行くの?もうその頭の上のやつはあまり見たくないんだけど。」
    「HAHAHA〜♪しっかりオイラもDJのうさ耳つけて戦う姿バッチリ♡抑えさせてもらったヨ〜♪ノリノリうさ耳DJビームス♡」

    おかげで懐があったかい、なんて失言をして、おっと!とわざとらしく口元を抑えて見せる姿は若干腹立たしい。……まぁ今更だからもうわ 3591

    れんこん

    DONE第二回ベスティ♡ワンライ用
    フェイビリ/ビリフェイ
    お題「HELIOS∞CHANNEL」
    何度も何度も震えるスマホ、画面も何度も光って、最早充電も尽きかけてしまっている。
    鳴り止まなくなって電源ごと落としてしまうのも日常茶飯事ではあるけれど、今回は規模が違う。
    ……今朝おチビちゃんが撮ってエリチャンにアップロードした写真がバズっている。
    その写真は新しく4人の体制となったウエストセクターで撮ったもので……それだけでも話題性があるのは確かだけれど、それよりもっとややこしいことでバズってしまった。

    『フェイスくん、この首の赤いのどうしたの!?』
    『これってキスマーク……。』
    『本当に!?どこの女がこんなこと、』

    「はぁ〜……。」

    止まらない文字の洪水に、思わず元凶である自分の首を撫でさする。
    タグ付けをされたことによる拡散の通知に混じって、彼女たちからの講義の連絡も合わさって、スマホは混乱するようにひっきりなしに泣き喚いてる。
    いつもはなるべく気をつけているからこんなこと滅多にない。……ただ、昨夜共に過ごした女の子とはまだ出会ったばかり……信じて寝入っている間にやられてしまったらしい。
    今日はタワーから出るつもりがないから別にそのマークを晒していてもわざわざ突っ込んでくる 2313

    れんこん

    DONE第11回ベスティ♡ワンドロ用
    お題「瞳」
    フェイビリ/ビリフェイ
    「ねぇねぇ、DJの口説き文句を教えてヨ。」
    「……何、突然。」

    いつもの談話室での唐突な話題。
    俺もビリーもなんとなくそれぞれのスマホを見たり、その場に誰かが置いていった街の情報誌なんか眺めたりなんかして適当に過ごして
    その自由気ままな空間になんとなしにビリーが切り込んでくる。
    相変わらずその分厚く高反射なゴーグルでその真意を読み取るのは難易度が高い。まぁいつもの情報収集みたいなものなんだろうけれど。
    本当にこの親友らしい男は、そういう俺からしたらどうでもいいような細かい事について余念がない。

    「DJって、なんだかんだ女の子に喜んでもらえちゃう言葉かけるの上手じゃない?そういうのを色男必勝のモテテクとして売り込みしようかな〜って!」
    「……やっぱり売るつもりなの。」
    「モチロン情報の対価はな〜んでもDJのお望み通り支払うヨ!面倒事の解決でも雑用でもなんでもドーゾ♡」

    だから、ねぇ教えてヨ〜なんて甘えたな声色で尋ねてくるのはその怪しげな風貌からだと滑稽だ。
    前々から女の子達に売り込むための情報収集はしょっちゅうされていたけれど、新たなターゲットに目をつけたのか。……ただ。

    「アハ 5056

    れんこん

    DONE付き合う事について雑談するベスティのお話
    フェイビリフェイ?
    「ん〜♪んっふふ〜ん♪ふ〜ん♪」
    「……なんだかご機嫌だね。」

    談話室で何やらるんるんと楽しそうに大きな声で鼻歌を歌うビリー。
    手元にはいつもハニーと呼ぶ、髪色と同じようなスマホがあって、その画面を手袋をつけた細身の指が辿っていく。
    特に用事もないので、隣に座ってどうしたの、と尋ねると、ビリーはにやりと笑って特徴的な八重歯を見せつけてきた。

    「みてみてDJ〜、昨日撮ったコレが今バズってるんだヨ♡」
    「……え、何…って、昨日寄ったカフェでビリーに隠し撮りされたやつじゃん…。」
    「やっぱりDJが被写体だと反応スッゴイんだよネ〜♪」

    ビリーが見せつけて来たのは俺が頼んだドリンクをただ飲んでいるだけの写真だけれど、たしかにやたらと反応が来ている様子だった。
    ……勝手に載せるなんて、と何度か言ったけど、ビリーは聞きやしないし、実害も特段無いからまぁいいかと今回は不問にする。
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