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    れんこん

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    れんこん

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    第二回ベスティ♡ワンライ用
    フェイビリ/ビリフェイ
    お題「HELIOS∞CHANNEL」

    #フェイビリ
    phobility
    #ワンライ
    oneLai
    #ビリフェイ
    bilifay

    何度も何度も震えるスマホ、画面も何度も光って、最早充電も尽きかけてしまっている。
    鳴り止まなくなって電源ごと落としてしまうのも日常茶飯事ではあるけれど、今回は規模が違う。
    ……今朝おチビちゃんが撮ってエリチャンにアップロードした写真がバズっている。
    その写真は新しく4人の体制となったウエストセクターで撮ったもので……それだけでも話題性があるのは確かだけれど、それよりもっとややこしいことでバズってしまった。

    『フェイスくん、この首の赤いのどうしたの!?』
    『これってキスマーク……。』
    『本当に!?どこの女がこんなこと、』

    「はぁ〜……。」

    止まらない文字の洪水に、思わず元凶である自分の首を撫でさする。
    タグ付けをされたことによる拡散の通知に混じって、彼女たちからの講義の連絡も合わさって、スマホは混乱するようにひっきりなしに泣き喚いてる。
    いつもはなるべく気をつけているからこんなこと滅多にない。……ただ、昨夜共に過ごした女の子とはまだ出会ったばかり……信じて寝入っている間にやられてしまったらしい。
    今日はタワーから出るつもりがないから別にそのマークを晒していてもわざわざ突っ込んでくるのなんていつもながら暴走特急のおチビちゃんくらいしかいないし、まぁいいかと放置してたのがまずかった。寝不足であまり頭が働いていなかったらしい。
    こんなのどうだっていいけど、こうして面倒ごとが起きるとそうも言ってられなくなる。
    おチビちゃんが動揺して投稿を消そうとしたけれど、それは逆効果だからと放っておかせたまではいいけれど、さて、これからどうしたものか。考えるのも面倒。素知らぬフリで全部誤魔化せてしまえばいいけれど。

    「ハァ〜イDJ♡今DJが欲しいのは銀のビリーくん?それとも金のビリーくん?」
    「……っは、何ソレ。いろいろ混ざりすぎじゃない?」

    寝不足の頭にちょっとだけ煩く響く明るい声。
    なんだかんだこうして自分が何かに少し困っている時に素知らぬ顔で現れるのがこの、親友だと言い切る謎のトモダチ。
    でもまぁ……たしかに少しだけ当てにしていた。
    いつものビリーで、と戯れに乗ってやると、中途半端な泉の主は、正直者にはサービスで割引してあげるネ!とけたけたと楽しそうに笑う。
    金と銀をつけてくれるわけではないのが『ビリーワイズ』らしい。

    「……で、本当に頼めるの?」
    「ウン、いいヨ〜♪ちょっとだけ時間を頂戴。DJはそれまで普段通りに過ごしてればいいから〜。」
    「わかった。」

    すぐに大金を巻き上げていくし、その口でベスティなんて空っぽな言葉を振りまくけれど、仕事の腕に関しては信頼ができる。
    寝不足もあったのでそのままふらふらと部屋に戻って、責任を感じていそうだったおチビちゃんを揶揄うことで少し解して。ビリーの言う通り普段通りに過ごすことにした。




    *****



    翌朝。

    「……はぁ?」

    朝になってスマホの電源を入れると、また通知の山。いったいどう言うことだ、ビリーに仕事を頼んだはずなのに……とそれを焦りにまかせて元凶を辿ると。
    そこには身に覚えのない、自分が完全に寝入ってしまっているところに、ビリーが口紅を持って悪戯そうに笑っている写真。

    『モテモテのDJビームスに悪戯を仕掛けちゃった♡みんな引っかかってくれてアリガトー♡』

    こんな、眠っているところにビリーが来た覚えはないけれど……まぁ証拠がここにあるのだから、多分来たんだろう、どういう手段を使ったかはわからないけれど。
    そのビリーの投稿には、『引っかかっちゃった!』という声ばかりで、疑うようなコメントも否定的なコメントも無い……、これは多分ビリーの手腕だ。裏でなにをしてるかなんて聞けないけど。
    ……にしても、逆にビリーとどんな関係なのかとか一部で騒がれてるんだけど……。
    はぁ、とため息をついて身支度をする事にした。




    談話室に向かうと、ソファで明るい髪がるんるんと楽しそうに鼻歌を歌っているのがわかる。
    仕事がうまくいって上機嫌といったところか。
    少しからかってやりたくて、足音を立てないようにしてこっそり近づいて、その背後から突然襲うようにがばっと腕を回してやると、さすがのビリーも慌てたらしい。ばたばたと手足を動かして、そのハニーと呼ぶ相棒をソファに落としてしまった。

    「うわ!?なになに!?……って、DJじゃ〜ん。今朝のモーニングコールは昨日より少し優しかったでしょ?」
    「……まぁね、でもなんだか別の方向で盛り上がってない?」
    「それも一部だし、むしろ知名度アップにつながるから俺っちとしては大歓迎〜⭐︎多分彼女たちからの誤解は解けてくれると思うヨ〜♪」

    誤解、ねぇ。
    楽しそうに言う男は自分が少しだけ事実と違うことを言ってるのに気付いてるのか気づいてないのか。おそらく意図的。わかるよ、だって『ベスティ』だもんね?
    すぐ目の前に晒された、キャンディの甘い匂いの漂うその首筋を唇で柔く喰むようにすると、余裕そうにきゃっきゃと笑っていた腕の中の親友がぎゅっと少し強張る。

    「……今夜の予定は?」
    「……噂の色男と秘密のデート♡」
    「へぇ、いい予定だね。」

    耳元に軽くキスを落とすと満足そうに、んふふ、と笑う。……どっちの方が「悪い男」なんだか。
    沢山「いいね」がつくといいね?なんていたずらに。
    その特徴的な八重歯を見せて笑う「トモダチ」といま拾い上げられたオレンジ色の『ハニー』に今日もだれもが騙される。


    HONEY’S TRAP


    2020年12月7日
    お題「HELIOS∞CHANNEL」
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    related works

    岩藤美流

    DONEアズイデワンライ「カップ」
    前回の「誕生日」の前、アズール視点の話。バグったアズールが双子に相談しているだけの話です。
    「おまえたち。イデアさんへの誕生日プレゼントに何を贈ればいいと思いますか」
     アズール・アーシェングロットがソファに腕組みをしたまま腰かけ、そう尋ねて来たのは11月18日の夜であった。テーブルの上には会計書や誓約書が束になっており、それを整理していたジェイドと、ソファに靴を履いたまま転がっていたフロイドがアズールを見る。
    「おまえたちの考えを聞かせてもらいましょう」
    「えー、なんでオレたちがアズールのプレゼントを考えなきゃいけねえの」
    「僕たちより、あなたのほうがイデアさんのことは詳しいでしょう?」
     リーチ兄弟の言葉に、アズールは「ふぅ」と溜息を吐いた。
    「いいですか? 僕とイデアさんの関係については、二人共理解していますよね」
    「恋人同士、ということですね」
    「そんな身内のプライベートなこと、オレ、首つっこみたくねぇんだけど」
     フロイドが嫌そうな表情を浮かべている。ジェイドも「できれば先に会計書を処理したいのですが」と顔に書いてあったけれど、アズールは無視して続けた。
    「そんな僕が、イデアさんへのプレゼントに失敗したとしましょう。どうなると思います? ああ、僕はショックのあまり会 2934

    岩藤美流

    DONEワンライお題「かわいい」です。
    何がかわいいって二人の関係ってことにしようと思ったんですけど、あずにゃんが「かわいい」って言いすぎていでぴが慣れて信じてくれない、みたいな設定でいこうかな、だけ考えて書きました。どっちかっていうと「火」とか「恋」のほうが主題に見える気もします。相思相愛です。


     あれは随分前のことだ。といっても、数か月程度のことだけれども。
    「イデアさんって、かわいいところがありますよね」
     何がきっかけだったか、部活の最中にひとしきり笑った後で、アズールはそうポツリと漏らしてしまった。気が緩んでいたのだ。口から零れ落ちた本音は、もう取り消せない。見れば、ポカンとした顔のイデアがこちらを見つめている。
     まずい。
     一瞬でアズールは、それまでの本気で笑っていた表情をいつもの営業スマイルへと切り替えた。
    「本当に、かわいい人だ」
     繰り返すことで、言葉に含まれた真実を、嘘で上塗りする。我ながら咄嗟の判断でよくできたと思う。思惑通り、イデアは顔をしかめて、「そーいう煽り、キツいっすわ」と溜息を吐いた。よかった。本音だとは思われなかったようだ。アズールはイデアに気付かれないように、そっと胸をなでおろした。



     陸の事はよく勉強したから知っている。人間は、一般に同性同士や親族間で番にはならない。今でこそ理解の必要性が問われ、寛容な社会の形成が始まっているとは言うけれど、それでも一般的なことではないのだ。多種多様な生態を持ち、性的タブーの形が全く異なる人魚の 3062

    岩藤美流

    DONEアズイデワンライ「誕生日」
    いつものハードプレイしている時空のあまあま誕生日。ノーマルなえっちをしたことがない二人にとっては特別なのは普通のことでしたとさ。
    『18日、金曜日ですよね。生憎モストロ・ラウンジの仕事も年の瀬を控えて忙しいので。当日はお伺いはできませんが、祝福しますよ、イデアさん』
     大切な後輩兼友人かつ恋人であるアズールが、いつも通りの営業スマイルでそう言ったのは先週のことだ。イデアは自室で一人、高級そうで繊細なティーカップを眺めている。青を基調とした優雅なそれは、確かにイグニハイドや、イデアの髪に近い色をしていたし、美しいとは思う。けれど、この汚部屋にリーチのかかったオタク部屋には不似合いだ。
     今日は日付変更からゲーム仲間にお祝いされテンションが上がったものの、この学園でバースデーボーイが晒し者になるのだということに気付いて憂鬱になりながら部屋を出た。顔も知らない寮生達にお祝いの言葉をかけられるのは、通りすがりに雪玉でもぶつけられているような気分で、イデアはとても気分が落ち着かなかった。
     購買に行く道、できるだけ人のいないところを……と、裏道を通っていると、ばったりとアズールに出会った。いやもうそれは、教科書に載せたいほど偶然に、ばったりと。
    『ああ、イデアさん。こんなところで会うなんて偶然ですね。そういえば今日、あなた 2794

    岩藤美流

    DONEアズイデワンライ第21回お題「お菓子」お借りしました!
    なんかキャンディキスの話を書こうかなと思って、詳細を調べようとしたらマシュマロをちゅっちゅするとそれっぽい感じがするという記事が出てきたので、これアズイデちゃんでやってたらかわいいなあ、と思って書いてみました。
    なお全く描写してませんが、アズールもめえっちゃ練習はしてます。努力の君だもんね。
    イデアはオルトがスリープモードに入ったことを確認すると、いそいそと机の引き出しに隠していた紙袋を取り出した。中に入っているのは、マシュマロとチョコレート、それにキャンディだ。なんのやましいところもないお菓子……なのだが。イデアはそれをこそこそとベッドの上に並べて、溜息を吐き出した。
     そう、これらはイデアにとっては、恥ずかしい品物……つまり、彼はキスの練習をしようとしているのだった。


     経緯を簡単に説明すると、イデアは部活の後輩アズールとお付き合いをする関係になった。アズールが了承してくれたのは奇跡だと思っているし、未だに彼が自分のことを本当に恋愛対象として見ているかどうかは怪しいのだけれど、とにかく、関係は築けたのだ。これまで、部屋デートのようなことや、スキンシップは繰り返してきた。次は、キスだ。年上であるからして、こういうことはイデアがリードするべきだろう、と思っている。しかし、やり方を全然知らない。
     そこで頼ったのがネットの知恵だ。キスをするにはまず清潔感、そしてムード、ダメ押しにテクニック。イデアは熱心に記事を読み漁って、念入りに歯磨きをするようになり、練習に踏み出そうと 2823

    れんこん

    DONE第二回ベスティ♡ワンライ
    カプ無しベスティ小話
    お題「同級生」
    「はぁ……。」
    「んんん? DJどうしたの?なんだかお疲れじゃない?」

    いつもの談話室でいつも以上に気怠そうにしている色男と出会う。その装いは私服で、この深夜帯……多分つい先ほどまで遊び歩いていたんだろう。その点を揶揄うように指摘すると、自分も同じようなもんでしょ、とため息をつかれて、さすがベスティ!とお決まりのような合言葉を返す。
    今日は情報収集は少し早めに切り上げて帰ってきたつもりが、日付の変わる頃になってしまった。
    別に目の前のベスティと同じ時間帯に鉢合わせるように狙ったつもりは特に無かったけれど、こういう風にタイミングがかち合うのは実は結構昔からのこと。

    「うわ、なんだかお酒くさい?」
    「……やっぱり解る?目の前で女の子達が喧嘩しちゃって……。」
    「それでお酒ひっかけられちゃったの?災難だったネ〜。」

    本当に。迷惑だよね、なんて心底面倒そうに言う男は、実は自分がそのもっともな元凶になる行動や発言をしてしまっているというのに気づいてるのかいないのか。気怠げな風でいて、いつ見ても端正なその容姿と思わせぶりな態度はいつだって人を惹きつけてしまう。
    どうも、愚痴のようにこぼされる 2767