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    清(せい)

    @sei_umi_00

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    清(せい)

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    美容師タル設定お借りしました。

    現パロ。


    現パロにするとタルと鍾先生の口調がよくわからん難しい。
    敬語タリヤがタメ口になるタイミングを考えている。いつ?
    美容師タルは付き合い始めてもしばらく敬語抜けなくてしょ先生によそよそしく感じるからいい加減やめろって怒られるんですかね。

    お客さんとプライベートで関わりを持っちゃいけないとかで好きになってしまってモヤるタ(文字数

    #タル鍾
    gongzhong

    19:24


    都心から少し離れた郊外の駅。



    冷たい空気に長時間さらされたせいか
    少しだけ身体の感覚が鈍い。




    ちらりと時計を確認して、出口へ向かって歩き出す。


    閉店作業の時間だ。


    今日も何人かに声をかけてみたけれど、
    実際に店に来てくれそうな人は居なかった。



    手応えのなさに沈んだ気持ちのまま
    はぁ、と小さくため息をついて
    ふと顔を上げると
    さらさらと揺れる長髪が目に入る。


    ロータリーと道路を跨ぐようにかかるデッキを
    冷たい夜風が通り抜ける。

    風が黒い髪を撫でる度に
    フットライトのオレンジ色を反射して、
    キラキラと輝いて見える。



    綺麗な髪だな、そう思ったと同時に追いかけていた。




    すみません、少しいいですか?



    声をかけてから進行方向に回り込む。



    きょとん、とした顔をするその男の双眸も
    キラキラとオレンジ色に輝いていた。



    綺麗な人だ。じわじわと顔が熱くなっていく。



    「あっ、 えーっと、ぼく、こういうもので」


    しどろもどろになりながら
    トートバッグからビラと名刺をセットで取り出して渡す。


    「近くの美容室のスタッフで…えっと、すみません…髪が綺麗だったので思わず声をかけてしまって…」



    「ははっ ありがとう」
    目を細めて笑う。
    整った顔立ちからなんとなく冷たさを感じていたが
    存外、気さくな人なのかもしれない。



    「お仕事の帰りですか?」


    「ああ。」



    「すみません…疲れてるのに引き止めてしまって。ほんとうに綺麗ですよ。普段はどうお手入れしているんですか?」



    「どうと言われても…特に何かをしているわけではないんだ。 一般的だと思う。」



    「え~ そんなに綺麗なのに…?すごいなぁ」


    美容院のスタッフと名乗っておきながら
    勧誘もせず髪への感想ばかり述べる目の前の男が面白くて、男は黒髪を揺らしながら小さく笑った。




    「テイワット…タルタリヤ…さん?」



    「あっ、そうだ」


    手渡した名刺で店名と名前を読まれて
    仕事中だったことを思い出す。



    「俺、最近やっとカットをさせて貰えるようになって、今日は格安でカットさせてくれる方を探していたんです。」


    「ほう。」


    「お店にもう大丈夫と判断されないとお客様の髪は切らせてもらえないので、最低限の技術はありますが、技術向上が主な目的なので営業時間外に格安でやらせてもらうんです。」



    「……………ふむ。検討しておく。」



    「え!? 」



    「ん?」




    あ、いや、こういうの興味無いかと思って、


    と目を丸くしながら言うと


    「興味はないが、頑張る人の力になれるなら悪い気はしない。試す価値はある。」



    そういってまた微笑んだ。



    そういう解釈でこの手の話を受け止めてくれる人はそうそういない。

    受けてくれる人の大半は
    安くやってもらえるなら…とお金に困っている学生さんや、 遅い時間しか時間が取れない忙しい人だ。
    特に男性は、美容への興味も薄く
    美容師と名乗っただけで勧誘と察して去っていく人も多い。

    変わった人だな…と思いながら、心が温かくなっていくのを感じた。



    「ありがとうございます。おつかれのところ引き止めてしまってすみません」



    「問題ない。」


    受け取ったビラを綺麗にたたんで
    名刺と一緒に鞄にしまう。


    「名刺は受け取ったから、頼みたくなったら連絡する。

    ………がんばれ。」



    そう言い残して去っていく後ろ姿




    「ありがとうございますっ」



    深々と頭を下げた。


    その後、彼の姿が見えなくなるまで見送ったあと
    踵を返して歩き始める。


    綺麗な人だったな。
    名前なんていうんだろう。
    仕事帰りだって言ってたな。
    なんの仕事してるんだろう。



    会話をしたのは数分で、短い間だったが
    タルタリヤの脳内は先ほど出会ったばかりの人物のことでいっぱいだった。




    明日も駅つかうかな。



    冬の夜の出会いは、駆け出したばかりの若者の心を温めた。





    ちらり、時計を確認して
    店までの道を急ぐタルタリヤの頬を
    やさしく風が撫でていった。
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