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    清(せい)

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    清(せい)

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    美容師タリヤの設定お借りしてます。
    続きなので前のやつを読んでいただけると幸い。


    恋が始まるのはまだだいぶ先…

    #タル鍾
    gongzhong

    あれから、数週間が経った。




    タルタリヤも若手とはいえ予約が入ったり、
    先輩のサポートのため、駅に行けない日もあったけれど、
    月の半分くらいはビラを配るという名目のもと、
    またあの綺麗な人に会えないかな と期待をして、それなりの頻度で駅に通っていた。
    待ち伏せともいう。





    今日も通らなかったな…
    駅も通らないし、予約も女性の名前ばっかりだし…
    そんな 沈んだ気持ちで今日も駅を後にし、店に戻る。






    カランカラン、


    「戻りました~」


    「おかえりなさい。出てる間に指名で予約入りましたよ。」



    「え、ほんと? 」



    はじめての方です、ほら。

    そう言って後輩から手渡された予約表。




    ショウリ 様 3/31 9:00~
    予約内容 未定



    「しょうりさん…? 未定か…」



    「駅で名刺を貰ったって言ってました」



    「そう…」



    表には出さないけれど、
    心臓は大きく脈打つ。
    だんだんと体が温まっていく。



    もしかして、そうかな。
    そうだといいな。



    ああ、楽しみだ。早く月末にならないかな。



    それまでに入っている予約はいくつもあるのに、
    ただその1日だけが楽しみで
    緩みそうな頬を奥歯を噛んで隠した。













    単純なもので、期待している人かどうかも分からないのに
    可能性が見えただけでタルタリヤの仕事ぶりは少し変わった。



    元々手を抜いたことも仕事が雑であったこともないが、店長に 最近機嫌がいいみたいだね、何かあったの? と言われる程度には。





    あの人 根元がプリンだな、と思えばすぐに追いかけて声をかけるし、
    自分の担当ではないけれど、ネイルやメイクのサービスの説明も意欲的だった。








    今日はここまでにしておくか、とふと顔を上げると






    「、!」




    向こうもこちらを見ていたようで
    バチッと目が合う。





    あの琥珀のような透き通ったオレンジ色の瞳に捕えられた。

    こちらに気づいて嬉しそうに細められる目。



    タルタリヤもつられて笑った。






    「こんばんは」


    「こんばんは、今お仕事の帰りですか?」


    「ああ、気がついたらこんな時間だった。」


    「お疲れ様です。」


    「先日、予約を入れたのだが。」


    「あ!やっぱり!」



    やっぱりそうだった!

    嬉しそうにニコニコと人懐っこく笑うタルタリヤに
    よろしく頼む、と微笑むショウリ。





    「実は予約の日は午後から式典があって」



    「式典?」



    「表彰状を送る側なんだ。受賞者に失礼のないように準備をして行きたい。頭髪のことは君に任せる。」



    そんな大事そうな場なのに…若手の俺でいいんですか…?



    自信なさげな声で問う。



    「若手とはいえ、腕は認められたプロなのだろう?
    何か問題があるのか?」




    「いえっ 精一杯やらせていただきます!」




    「よろしく頼む。」


    そういって優しく微笑んだ。









    そうだ、俺はもう
    先輩の隣にひっついてサポートするだけの見習いじゃない。
    美容師として認められてるんだ。






    まだ会うのは2回目だというのに
    この男は人を鼓舞するのが上手い。


    今の仕事に不満がある訳では無いけれど
    ショウリさんの下で働けたら
    どんな感じなのだろうと考える。





    その後、店に戻るまでの通り道だからと
    実際は若干遠回りになる駅の出口まで二人で歩き出した数分後

    え!切っちゃうんですか!?

    の声が夜の街に木霊した。




    綺麗なのに…とあまりにもタルタリヤが悲しそうな顔をするものだから、
    少し考えていただけだ。判断は君に任せると言う。



    月末までの2週間、
    タルタリヤはショウリの髪を切るか切らないかで悩み続けた。
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