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    さけけ

    ルツォンル

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    さけけ

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    ココハメイセキム
    (リメイク/TR)

    #ツォンル―

     私たちのきっかけは忘れた。彼が地下に軟禁されている頃がはじまりであった。今は改装されてしまったかつての暗い地下室。今考えてみれば高貴なあの人が寝起きする場所として質素すぎた空間。私たちは共謀し、大人たちの目が届かない監視カメラの死角で酒盛りを繰り返していた。
     二人きりで覚えたてのウィスキーとワインを浴びるほど呷った。アルコールに身を委ね、背負う重圧からひと時投げ出した。バカになるのは癖になる。私は彼のそんな一面を垣間見ることを許されたことに、本当はかなり高揚していた。
     お互いにしたたかに酔っていた。間接照明に鈍く照らされたあの人の陶磁のような白い白い肌が黒いシャツから覗いた。そのコントラストは酒に侵された神経にはあまりに刺激的であった。私は彼の輝いていると思わせるほど磨き抜かれた容姿にくらりと目が眩んだ。何がタークスだ。私は神羅の暗部に招き入れられたことを誇っていたのにもかかわらず、その人の普段隠された素肌を馬鹿正直にじっと見つめてしまった。
     それを見逃さない彼ではない。私が慌てて視線を外すと、その人は「へぇーえ?」と興味深そうに挑戦的に笑みを浮かべたのを視界の端で捉えた。その人は細い首を反らせて、手にしていた半分ほど赤ワインが入っていたグラスを大胆に傾けた。彼がこくこくと喉にワインを流し込むたびに揺れるその喉仏をぼんやり見ていた。彼がぷはぁと景気よく一気にグラスを開けると、ソファーをずるずると移動してこちらににじり寄ってきた。
    「で、正直欲情したわけだ」
    「はい?」
    「ツォンも男の子だからなぁ仕方ないよな」
     一人頷くその人を憎々し気に睨むだけで、私はまともに言い返すことができなかった。その様子に白い人はおかしそうに笑う。珍しいものを見れて嬉しいとか、よくあることだから気にしていないとか。そんなことを言って茶化すようにころころと腹を抱えて笑っていた。酔っているとはいえ隙を見せたことが悔しかった。弄られるのが腹立たしかった。それらを解消するためにこの人を自分の下に屈服させたい。でもそれ以上はもう、まともに思い付くことを纏められなかった。
     口では勝てない。そう今でも。だから衝動的にその口を塞いでやった。驚愕に見開かれたこれまでで一番近い青に胸がすく気持ちであった。あんなにも美しく高貴なこの方が自分によって翻弄されている。歪な喜びがたちまち湧きあがった。この人を自分に閉じ込めたい。
     唇を重ねているうちに、そっと左手をその人の左脇に差し込みそのまま腰を支える。「鼻で息をするんだ」「舌の力を抜いて」確かそのようなことを言った気もする。
     御行儀良く並ぶ歯列を舌でなぞるのは私が初めてといった様子だった。彼がふうふうと苦しそうに息を漏らし、その白い頬がたちまち桃色に染まりあがるのを私は間近で見ていた。先程の減らず口が嘘のように、彼は私に与えられる感触に戸惑いつつ新たに与えられる快楽を求めていた。私は健気に私の舌を求めてたどたどしくキスの仕方を探るその人に胸がくすぐられた。普段とうってかわってかわいらしいその人を観察しながら思案する。誰が見ているわけでもなく、この人が告げ口をしなければ処罰もされない。ならいいだろう。安易な考えであったとツォンは今自嘲する。
     初めてキスをする彼に私は容赦なく口腔内の悦びを教え込んだ。苦しそうにしても自分より少し小さい後頭部に回した手を放さなかった。この瞬間だけでも彼の全てを私が占有したかった。角度を変えて息継ぎを繰り返してキスは続く。戯れに回した右手を伸ばして薄い耳朶に触れると、くぐもった声とともに肩が飛び上がった。私も初心なその人の鼓動をこれ以上奪うほどに鬼畜ではなかった。耳から手を離しても音を上げることなく私のキスに応えた。苦しそうに私の唾液を奪い、顎に疲労が溜まっていようが涙目で私の口腔内に舌を一生懸命伸ばし差し込んできた。私に口の中をいいように蹂躙されてもそのプライドを手放さない彼を、私は好きになったのかもしれない。
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