そろそろノーベル平和賞とれそう 日が伸びたミッドガルは爽やかな朝日にすでに染まっていた。その中心地にある某高級マンションの一室にも透明な陽射しは届く。時刻は六時数分前。シーツに身を沈めた二人の男は共に新しい日を迎える。
先に目覚めたのは黒髪の男だった。端末を操作して鳴るはずだったアラームを解除する。欠伸をもらし、ベッドサイドの水差しからグラスに水を注ぎ飲み干した。
身に何も纏っておらずとも、肌寒さは気にならない季節が巡ってきた。黒髪の男、ツォンは隣で眠る恋人にブランケットを肩まで引き上げ、その金糸を彼が目覚めないように撫でていた。
しばらくその寝顔をみつめた後、そっと声をかける。
「ルーファウス」
その名前をツォンが数回呼びかけると、呼ばれた男はうっすらと目を開けた。
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